【富士通人事が語る】“マスから個へ”の採用改革を実現するHRスペシャリストの育て方

大学1・2年生を対象とした「FUJITSU Academy」、リクルーターの教育制度導入、通年採用の実施など、かつては「待ち」の採用だった富士通の新卒採用は、現在大きな変革期を迎えている。

今回、富士通で新卒採用責任者を務める渡邊氏と、新卒採用現場の最前線でチームリーダーを務める秀島氏をお招きし、「変革の富士通-マスから個への新卒採用改革-」をテーマにディスカッションを開催した。

マス向けの施策をやめ、個にフォーカスした採用へ転換した背景や、HRテックの時代に採用担当者が専門性を持つことに意義について語られた様子をレポートする。

※本コンテンツは、2019年12月に開催されたiroots人事ミートアップの内容から構成されたものです。

 

マス向け採用から、個にフォーカスした採用へ

【富士通株式会社 人材採用センター マネージャー 渡邊 賢氏】2005年に新卒で入社。主に採用部門、BPHRを経て、2016年からシンガポール法人へ駐在。2019年に帰国し、現在新卒採用業務の担当マネージャー。

 

 – 富士通さんは今期さまざまな取り組みにチャレンジされていますが、それを始められた背景について教えてください。

渡邊:まず今期大きなテーマとして掲げたのが、”1 on 1リクルーティング”です。もちろん今まで行ってきたようなマス向けの採用も両方できればいいに越したことはないのですが、それでは工数が2倍になってしまう。何かを始めるには何かをやめなければいけないので、今まで自社で開催していた1000人以上の学生を集めるキャリアフォーラムなど、マス向けの施策をすべてやめました。その分、採用担当者の工数を個にフォーカスした1 on 1リクルーティングに注力することにしました。

このような決断をした背景は実は二つあって、一つはシンプルに待つのではなく、自分たちから積極的に採りに行く採用へシフトさせること。そしてもう一つは、AIやRPAなどのテックが発達していく中で、採用担当者の専門的なスキルを高めていきたいと思ったからです。

私を含めてですが、当社の採用担当者を見ていると、イベントをうまく回したり、人を集めたり、リクルーターの調整をしたり、そういうことが上手くできることに満足している傾向があった。でもそれって、極論で言えば、採用担当でなくてもいい、全部アウトソーシングできることですよね。そのようなスキルではなくて、採用をコンサルティングできるような本当のスキルが身につかないと、採用という重要なミッションに携わる意味がないと思ったんです。

富士通という看板がなくても戦える採用担当者になってほしいという想いもあり、1 on 1リクルーティングを導入しました。

 

1on1リクルーティングを通じて、学生の”源泉”を探る

【富士通株式会社 人材採用センター 主任 秀島 俊氏】2012年に新卒入社。BPHR業務を経て、海陽学園に1年間出向。2016年より、採用部門へ帰任。現在新卒採用業務のリーダー。

 

 – 1 on 1リクルーティングについて具体的に教えてください。

秀島:シンプルに言うと、学生が来てくれるのを待つのではなく、会いたい学生に我々から会いに行くというのが1 on 1リクルーティングです。それを行う上で、我々が設定したステップがいくつかあります。

まず一つ目は、自分たちが採用したい学生とはどんな人なのか?また、何をすればその人に会えるのか?ということを本気で悩みながら考え抜くこと。

そして二つ目は、学生と何時間も、何回も時間をかけて対話し、その学生の本質や人生の源泉はどこにあるんだろうと考えること。学生時代だけにフォーカスするのではなく、その人の人生について一緒に深掘りしていくようなイメージです。

そのように学生の本質を理解した上で、その人に入社してもらうためにはどんな社員と会ってもらうのが良いのか、また、どの時期に内定を出すのが良いだろうか、などの採用計画を練っていくこと。

このようにお話をするとすごく基本的なことのように思えるのですが、今まで我々はそれをしっかりやってきた経験がなかったので、今期はまずこのステップをやりきろうということを社内で決めました。

 

学生と向き合うために、まずは採用担当者が自分に向き合う

渡邊:一方で、1 on 1リクルーティングがちゃんと実行できるように、採用担当者に対してトレーニングも行いました。これは秀島も参加したよね?

秀島:はい、参加しました。我々採用担当者は、採用経験を積めば積むほど、”うまく採用できて嬉しかった気持ち”よりも、”採用したかったけれどできなくて悔しかった気持ち”の方が心に強く残ります。その経験が積み重なると、いざ採用したい学生と対面した時に、「自分ではこの学生に魅力を伝えられないのではないか」、「他の人に任せたほうがいいんじゃないか」という気持ちになってしまいます。

そうならないために、トレーニングを通じてまず我々自身が自分の強みや弱み、また、当社の強みや弱みを徹底的に棚卸しし、それを再確認しました。このようなトレーニングを事前に行なったからこそ、「よし、1 on 1リクルーティングを始めよう」と自信を持ってスタートすることができました。

 

“発信力”と”専門性”を武器に社内を巻き込む

 – 富士通さんのように新たな施策を始める際、気をつけるべきポイントについて教えてください。

渡邊:プロジェクトの必要性を説明する上で根拠となる数字集めももちろん大切ですが、それ以上に意識していることは、いかに社内の人を巻き込むか”ということです。

例えば、人事以外の社員にも採用活動に参加してもらい、「今まで自分が経験してきたことは、採用を通じて社会の役に立つんだ」と実感してもらうこともその一つです。そういった実感は社員自身のモチベーション向上にも繋がりますし、その積み重ねが、社内で採用を応援してもらうことのきっかけになるんじゃないかなと思います。

あとは、やっぱり社内の根回しですかね。(会場笑)

採用チームが取り組んでいることを日常的に社内で発信するようにしています。採用チームがどんなことをしているのかきちんと発信しないと社内での理解が得られず、「会社の予算を使って楽しそうだね」と言われたり、逆に会社の経営が落ちてきた時には、「採用費を削る」という話がでてきたり…。

採用はすぐに結果が出ないからこそ、おもしろく、会社や社会にとって役に立つ取り組みを行なっていると日々社内で発信することが大事ですね。

 

秀島:先ほど渡邊は「根回し」という表現を使っていましたが、私が渡邊から学んだことは、採用の専門性を武器に他の部門の社員と折衝することです。他の部門の方に協力を仰ぐと、「現場の仕事が忙しいから」などと言われてしまいがちだと思うんですが、それに対して渡邊は、今の採用市場や優秀学生の動向について説明し、良い人材を獲得するためには必須な取り組みであることをしっかりと、伝え続けています。

根回しというと一般的にすり寄っていくようなイメージがありますが、渡邊のように専門性を活かして折衝を行なっていく方法もあるんだ、と気づきましたね。

 

たくさんの失敗経験と、一つの成功体験を言語化することが第一歩

 – 今後採用を行なっていく上で、目指す姿について教えてください。

秀島:今期は新しいことにたくさんチャレンジしているので、メンバーとは「たくさんの失敗経験と、一つの成功経験をしよう」と話しています。そして、たくさんの失敗要因をひとつひとつ振り返り、それをきちんと言語化していくことが採用の専門家に近づく第一歩になるのではないかと思っています。

そして我々が採用の専門家となり、その知識やナレッジを現場のリクルーターたちに伝えていくことで、今後現場主導の採用がより活発になったときにはプラスになっていくのではないかなと思っています。

 

渡邊:当社の採用チームのメンバーには、オペレーション業務をこなす人ではなく、採用のコンサルタントになってほしいと思っています。1 on 1リクルーティングを行うのであれば、どうすればその学生が富士通に入ってもらえるのかを考え抜き、学生と絆を作っていけるような人になってほしい。

他の人から聞いてすごく印象的だった話があるんですが、就活生が自分のキャリアを決める際、その意思決定に影響を与える身近な人が、(家族を除いて)必ず2〜3人いるらしいんです。それを聞いて思ったことは、「我々採用チームは、そのうちの一人に必ずならないといけない」ということです。

最終的に当社に入社しなかったとしても、学生の意思決定に影響を与えられるような人になる、という気持ちで採用活動を行なっていければと思っています。

 

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