22卒のサマーインターン開催時期を終え、各社はコロナ禍でのインターンシップをどのように振り返り、評価しているのか。
今回はすべてオンラインでインターンを開催したDeNAと、オンライン参加とオフライン参加を組み合わせたハイブリッド型でインターンを開催した三井不動産でインターンの企画・運営に携わっているお二人にお話を伺いました。

※本コンテンツは、2020年9月に開催されたiroots人事ミートアップの内容から構成されたものです。
 

株式会社ディー・エヌ・エー 新卒グループ 小川篤史

2016年に新卒としてDeNAに入社。プランナーやプロデューサーとしてゲーム事業に携わる。2019年に同社新卒グループにてビジネス職の採用、エンジニア職の採用、新卒育成に関わる。

 

三井不動産株式会社 人事部人材開発グループ 角田佑介

2011年に新卒として三井不動産に入社。入社から1年半は都心商業施設の開発を担当。その後、社内の新規事業として立ち上がった物流施設の部署へ異動。約6年間物流施設の開発業務、用地取得業務を担当。現在は新卒採用チームのチームリーダーとして採用業務を担当。

オンラインでの体験はインターン開始前から設計する

 
―22卒サマーインターンの概要について教えてください。

株式会社ディー・エヌ・エー 新卒グループ 小川 篤史氏

DeNA 小川:弊社では募集職種に応じて、7コースのインターンを開催しています。今年度はコロナの影響を受け、これら7コースの全日程をオンラインで開催しました。

オンラインで開催と言ってもコンテンツとしては特殊なことは行っておらず、ビジネスコースであれば新規事業立案、エンジニアコースであればアプリのパフォーマンス改善、デザインコースであればUIを考えてもらうといった内容で開催しました。

1dayのコースもあれば、3dayで開催したコースもありますが、選考からインターン終了までリアルで学生と会うことは一度もありませんでした。このように言うとなんだか変な気もしますが…(笑)。
 
 
三井不動産 角田:弊社は9月に実施しているサマーインターンのテーマとして、弊社の中長期経営方針の3つの柱に沿った形で、街づくり体感コース、新規事業立案コース、グローバルコースの3コースを開催しています。

今年度は弊社もコロナの影響を受け、街づくり体感コースと新規事業立案コースに関しては、関東圏に住む学生はオフライン参加、地方に住む学生はオンライン参加というハイブリット型で開催しました。
グローバルコースはコロナに関係なく、海外大の学生も参加しやすいように全員オンラインで開催しました。
 
 
―良かった点、反省点について教えてください。
 
 
DeNA 小川:良かった点は、学生とメンターが信頼関係を築くための時間をインターン開催前から設けていたことです。弊社のインターンの目的は、新規事業立案のノウハウを学ぶことに留まらず、事業家としての姿勢を体験するというところにあるので、学生とメンターがどれだけ信頼関係を築き、学生の内面にまで届くフィードバックができるかというところをとても大事にしています。心的距離が縮まっていないメンターに熱くフィードバックされても、学生は引いてしまうだけですからね。
 
そのための工夫として、インターン開催よりも前に学生とメンターの面談をセッティングし、お互いがインターンに参加する意義や目的などを確認しあう時間を設け、相互理解を深められるようにしました。また、メンターだけでなく、審査員と学生の心的距離もオンラインによって開いてしまわないように、弊社の南場からも「●●さん、3日後の成果を期待しているよ」とバイネームで声をかけてもらうなどの工夫を行いました。
 
オンラインではどうしても短期間で関係値を構築する難易度が上がるので、それであれば時間軸を伸ばしてインターン本番前から体験を創っていこうと手を打ったのが功を奏したと思います。
オンラインで苦労した点ももちろんありましたが、全体的には想定以上のUXを学生に届けられたと感じています。ですので、大きな失敗は今のところないですね。私が楽観的すぎるだけかもしれませんが…(笑)。
 
 

オンラインインターンで150点の満足度を得ることの難しさ

 
―“事業家としての姿勢を体験する”という目的をインターン期間中だけで達成しようとするのではなく、その前の段階から念密に準備されたことがポイントだったんですね。角田さんはいかがでしょうか。

三井不動産株式会社 人事部人材開発グループ 角田 佑介氏

三井不動産 角田:学生の反応を見ると、オンラインでもオフラインでも全体の満足度に差はなかったと思います。ただ、それが「オンラインだから」という枠の中での満足度になってしまっていないかというところは気になっています。弊社のサマーインターンの目的は弊社の仕事の本質、つまりチームで議論して一人ではできない発想や結論を皆で導くという体験をしてもらうこと、そして三井不動産を好きになってもらうことなので、満足度が100点だったからいいやというものではなく、120点、150点を目指す必要があるからです。
 
そしてそれを目指すためには、やはりオフラインでのコミュニケーションも必要なのではないかなと思っています。ハードとソフトの住み分けというのは弊社の本業でも今まさに直面している課題ではあるのですが、やはりzoom飲みだけだとどこか物足りない部分もあるじゃないですか。オンラインインターンもそれと同じで、学生も参加しているときは楽しいなぁと思っていても、終わってからどこか物足りなさを感じていて、結局150点にはできていないんじゃないかという課題感は持っています。
 
とはいえ今回はコロナに対して不安を抱えている学生もいたので、学生の希望に沿ってオンライン・オフラインを選べるようなハイブリット型にしたというのは、苦肉の策でありながらも最良の選択だったのではないかと思っています。
 
 

オンラインインターンは、“扱うテーマ”が成功を左右する

 
―オンライン参加の学生とオフライン参加の学生の間でワークのアウトプットレベルに差は出なかったですか。
 
 
三井不動産 角田:街づくり体感コースはフィールドワークを伴う内容だったのでやや難しい面もありましたが、新規事業立案コースに関しては、オンライン参加でもオフライン参加でもアウトプットに差はありませんでした。学生もオンラインに慣れているので、扱うテーマさえ工夫すればそこに差は生まれないと思います。
 
 
―小川さんは先ほど反省点は特になかったというお話でしたが、オンラインですべて完結したからこそ見えづらかった点や、今後起こりうる課題などはありますか。
 
 
DeNA 小川:私たちが思っているほど学生に刺さっていなかったということは起こりうるなと思っています。リアルで接しているときに比べると、どうしても学生の反応が見えづらいので。インターン後のアンケート結果や懇親会でのリアクションも例年と比べて差はなかったのですが、いい意味でも悪い意味でもやった直後はいい経験として咀嚼されるので…(笑)。
アンケートの結果が良かったからといって安心というわけではない、とは思っています。そういう意味で、インターン後のコミュニケーションも気を抜かずに工夫しなければと思っています。
 
 

「オフィスを見ること」が人生の意思決定をくだす上で重要なのか

 
―参加者の方から、「最後までリアルに会うことがないまま内定を出すことの是非」についてご質問をいただいているのですが、お二人はどのようにお考えでしょうか。
 
 
三井不動産 角田:その点については社内でもかなり議論したのですが、結論としてはやはり最後は対面で会いたいと思っています。これから働くところを決める重要な局面において、社員と一度もリアルで会うことがないまま学生に判断を迫るのは酷ではないかという気持ちが大きいです。ミスマッチを起こさないためにも、最後はお互いにリアルで会い、お互いが本当にフィットする相手なのか見極める方がいいと考えています。
 
 
DeNA 小川:ありかなしかでいうと、ありだと考えています。まず見極めという観点でいうと、オンライン上だけで充分に完結できると考えています。
しかし、学生が最終的な判断をくだす上でリアルに会うことが重要だと考えているのであれば、それを無下にするつもりはありません。学生さんから「オフィスを見てみたいです」という声をいただくことは弊社もあるのですが、本当に「オフィスを見ること」が人生の大きな意思決定をする上で最重要なことなのか?と良い意味で鵜呑みにしないように気をつけています。
 
おそらく「オフィスを見てみたいです」という気持ちを五段階ぐらい深掘りすると、きっと真のニーズが出てくるはずだと思っています。例えばそれが「自分はチームの雰囲気とマッチするのか不安」なのか「自分が集中して仕事ができる作業空間があるのか知りたい」なのかによって全然知りたいことが違うと思うんです。
 
その深掘りを丁寧に行い、学生の気持ちに向き合うことさえできていれば、必ずしもオフラインで会う必要はないのかなと思っています。とはいえ、オンラインでの採用を一年回した経験がまだないので、結果によっては半年後に前言撤回している可能性もありますけれど(笑)。
 
 
―ありがとうございます。本日お二人のお話をお伺いし、「オンラインとオフラインどちらが有効か」という議論ではなく、試行錯誤の中でそれぞれの利点を最大限に引き出す施策をトライアンドエラーでやり続けることが必要なのだと感じました。本日はありがとうございました。