企業がインターンを開催するにあたり、「他業界を志望している学生をターゲットにする場合、どのように接点を持ち、自社の魅力をPRすれば良いか」という課題に直面することがあるのではないだろうか。

その打ち手の一つとして、【異なる業界の企業によるコラボ・インターン】の開催が少しずつ広がりを見せている。

そこで今回は、今年8月に23卒向けのコラボ・インターンを開催したKPMGコンサルティングとエン・ジャパンで新卒採用に携わっている3名をお招きし、コラボ・インターンの振り返りと、開催する上で押さえておくべきポイントについてお話を伺った。

※本コンテンツは、2021年10月に開催されたiroots人事ミートアップの内容から構成されたものです。
 

KPMGコンサルティング株式会社 人材開発室 ディレクター 金子賢典

早稲田大学商学部卒。2003年外資系コンサルティング会社新卒入社。製造業・テクノロジー企業を中心として、業務改善・システム導入のコンサルティングに従事。現在、KPMGコンサルティング人材開発室ディレクターとして、採用リード。

KPMGコンサルティング株式会社 人材開発室 平賀仁菜

イギリス University of Sussex卒。2016年9月にKPMGコンサルティングに新卒入社。入社後は戦略案件を中心に、様々な業界における幅広い案件に従事。2021年より人材開発室へ異動し、新卒採用の企画等を担当。

エン・ジャパン株式会社 人財戦略室 採用グループ チームリーダー 宮崎好也

早稲田大学商学部卒、2015年新卒入社。入社後はセールスとしてIT/WEB業界を中心に中途採用支援を行った後、2018年5月より人財戦略室に異動。現在は新卒採用チームのリーダーを務める。

各社の採用概要について

 
ーまずは各社の採用概要について教えてください。

KPMGコンサルティング株式会社 人材開発室 平賀仁菜氏

KPMG 平賀:新卒採用ではコンサルタント職のみを募集しており、新卒として入社した際にはビジネスアナリスト職からスタートします。本選考は毎年秋からスタートするのですが、それよりも前の夏の時期に今日のテーマでもあるインターンを実施しています。本選考からの流入とインターンからの流入で合わせて毎年50〜60名ほどの新卒採用を目指しています。
 
 
エン・ジャパン株式会社 人財戦略室 採用グループ チームリーダー 宮崎 好也氏

エン・ジャパン 宮崎:エン・ジャパンはビジネスコース、企画マーケティングコース、コピーライターコースの3つのコース別に新卒採用を行なっています。ビジネスコースは法人営業やキャリアパートナーなどの職種、企画マーケティングコースはプロダクト企画やデジタルマーケティングなどの企画系職種、コピーライターコースは求人広告のコピーを書く職種、という分類で全コース合わせて毎年200名ほどの新卒採用を行なっています。
 
 

コラボインターンの開催目的と内容

 
ー今回KPMGコンサルティングとエン・ジャパンで行なったコラボ・インターンについて教えてください。
 
 
KPMG 平賀:まず、今回のコラボ・インターンが弊社の選考フローの中でどのような位置付けだったのかということを説明させていただきます。

今年度は図のようなプロセスで選考を行なっているのですが、昨年度までは他社とコラボした実践型インターンというものは実施しておらず、体験型インターンのみを学生に提供していました。
 
 

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KPMG 平賀:体験型インターンは学生がKPMGコンサルティング内の社員に向けて提案を行うというもので、内容はあくまでも模擬体験というレベルにとどまっていました。
 
しかし、今年度からはより実践的な体験を学生に提供したいという想いがあり、事業会社であるエン・ジャパンさんに協力を依頼し、学生がコンサルタントとしてエン・ジャパン様の課題解決を行うという実践型インターンを企画しました。
 
実践型のインターンを行うことで本選考前にターゲットとなる学生に会いたいという狙いももちろんありますが、リアルな業務体験を通じて企業・学生ともに入社後のギャップを軽減すること、本来あるべき就職活動の姿について考えてもらうということも大きな目的としてありました。

インターンの日程は5日間で、すべてオンラインで実施しました。エン・ジャパンさんから「学生アルバイトと就職活動をつなげるような新規サービス/施策を考えてほしい」という相談を受けたという想定で、グループワーク、エン・ジャパン様へのヒアリングおよびプレゼンテーション、それに対するフィードバックをいただくというのが主な内容でした。
 
 

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コラボインターンという形式を選んだ理由

 
 
ー実践型インターンを行うにあたって、コラボ・インターンという形式を選ばれた理由について教えてください。

KPMGコンサルティング株式会社 人材開発室 ディレクター 金子賢典氏

KPMG 金子:コロナ禍の影響で合同説明会などが中止になり、学生と企業の“偶然の出会い”が減ってしまったことに対する新卒採用全体への危機感がこのインターンを企画したきっかけです。
 
たとえコンサル業界を志望していたとしても、広く他の業界・他の会社を見るべきだと思いますし、学生には楽しんで就活をしてもらって元気に社会に出てきてもらうことが我々人事の責務だと思っています。
 
また弊社側の話でいうと、私はコンサルという仕事を“知的活動でお客様を喜ばせるサービス業”だと捉えています。ロジカルさが求められる知的活動の面だけでなく、お客様より“自分ごと化”して考え抜くというサービス業としての側面を体験した上でこの仕事を選んでほしいと思っています。

この二つの目的を達成するために、コラボ・インターンという形式を選びました。
 
 
ーこれはコンサルに限った話ではなく、入社前に社会のいろんな仕事や仕組みを知っておくことは入社後のパフォーマンスを上げるという観点でも重要ですよね。
 
 
KPMG 金子:そうですね。本来ビジネスは循環しているのに、それをぶつ切りにして自社の魅力づけだけを行うような採用活動には違和感を感じます。

ビジネスの循環を全体的に理解した上で「自分はこの部分を選ぶ」という選択をしてもらうのが本質的だと思っています。
 
 

エン・ジャパン側の目的と得られた成果

 
ーエン・ジャパン側はKPMGさんから打診があったときにどのような印象を受けましたか。
 
 
エン・ジャパン 宮崎:今までコラボインターンというものを実施したことがなかったので、かかる工数に対して自社のエントリー数や内定数がどれくらい増えるのか見込みが立っておらず、「やるべきか否かの判断は話を聞いてからだな」と思っていました。

しかしKPMGさんとお打ち合わせをさせていただく中で、「求職者にリアルを伝え、入社後活躍を目指す」というエン・ジャパンがすべてのサービスにおいて掲げている理念と、KPMGさんが新卒採用やマーケットに対して抱いている想いが共通していることを知りました。

そして「工数対効果などは一旦置いておいて、この人たちと一緒にやってみたい」という気持ちでお引き受けしました。社内では工数対効果を気にする声もありましたが、最終的にはほぼ私の独断で進めていきました(笑)。
 
 
KPMG 金子:そのようにおっしゃっていただけてとてもありがたいです。弊社でも似たような議論はあって、「それをやってどうなるの?数字は?」と言われることも当然あります。私たち人事は数字に追われる仕事なので、それをクリアすることは経営ニーズに応える上での絶対条件だと思っています。

ただ、その数字に答えるだけで精一杯になってしまうというのも良くないと思っています。余白がゼロということは、社会に還元できている要素はゼロということですから。なので、数字を達成するために極限まで考えられることをやり、そこで生まれた余白で付加価値を提供できればと思っています。
 
 
ー先ほど「工数対効果は一旦置いておいて…」という話がありましたが、実際に開催して得られた成果などはありましたか。
 
 
エン・ジャパン 宮崎:予想以上に得られた成果がありました。弊社は人材系の営業会社というイメージが強いので、エントリーの中でも大半の学生が営業を志望しています。しかし弊社では経営企画やマーケティングのポジションも募集しているので、コンサル業界を目指しているような志向性の違う学生とも接点を持ちたいと思っていました。

今回のインターンに参加してくれた学生に対して、エン・ジャパンへの印象や選考参加希望をアンケートで聞いたところ、3〜4割の学生がエン・ジャパンの選考にも参加したいと回答してくれました。インターンでのフィードバックを通じて、社員の人柄や熱量に好感を持ってくれたり、事業会社としてサービスを作っていくことに興味を持ってくれたりというのが主な理由でした。

もしかしたら興味を持ってくれる学生がいるかもしれないと期待はしていましたが、予想以上の反響でした。
 
 

今後取り組んでいきたいこと

 
 
KPMG 金子:それは私たちにとっても嬉しい成果です。弊社としてもこのインターンを通じて、“知的活動を行うサービス業”というリアルなコンサルの姿を学生に提供することができたと実感しています。これはエン・ジャパンさんがクライアントとして学生に率直なフィードバックをしてくださった効用も非常に大きいです。

会社同士で学生を取り合うという発想ではなく、学生も弊社もエン・ジャパンさんもwin-win-winになれることが一番良いと思っています。

今回はコンサルと人材という組み合わせで行いましたが、今後はもっと間口を広げていきたいと思いますし、2社とは言わずにもっと複数の会社でコラボしていければいいですね。

世の中の仕事はどんどん変わっていきますし、我々自身も変わっていかなければコモディティ化の波に溺れてしまいます。そうならないためにはどの会社もリーチしやすい層ではなく、自社に興味のない層にいかにアプローチしていくかが鍵になってくると思います。そういう点においても、他業界同士でのコラボ・インターンというものがもっと広がっていけば良いなと感じます。
 
 
ー同業同士でコラボ・インターンを行うということは今までもあったかもしれませんが、商流に沿ったコラボというのは新しい気づきでした。最後に、これからコラボ・インターンを検討している人事の方へメッセージをお願いします。
 
 
エン・ジャパン 宮崎:今回一緒に取り組みをさせていただいて、こちらからどんどん仕掛けていくことの重要性を改めて感じました。新卒採用はなんとなく毎年同じようにやろうと思えばできてしまいますし、どの仕掛けが当たるかは正直やってみないとわかりません。それでも私たちは仕掛けることを止めてはいけないと思いますし、今回のコラボ・インターンをきっかけに、もっと多くの企業様との輪を広げることができれば嬉しいです。
 
 
KPMG 平賀:コロナによって採用の形が大きく変わりつつある中で、逆にこれを機会と捉えて会社としても個人としてもさまざまなチャレンジをしていければいいなと思っています。今回のお話をきっかけに弊社とのコラボにご興味を持っていただける企業様がございましたら、ぜひ意見交換させてください。
 
 
KPMG 金子:私たち人事のミッションは社員を元気にすることであり、採用に関わっている身としては学生マーケットやジョブマーケットにも向き合っていかなければならないと思っています。でもそれは今回のコラボ・インターンと同じで私一人でできることではありません。

マルクスの「万国の労働者よ、団結せよ」という言葉のように、「万国の人事よ、団結せよ」という気持ちで協業していければと思っているので、会社を超えて良い採用を作っていきましょう。
 
 
ー本日はありがとうございました。