【レモンの原理とは】レモンの原理について詳しく解説します!

【レモンの原理とは】レモンの原理について詳しく解説します!

レモンの原理を故事で表すなら「羊頭狗肉」がぴたりと当てはまるでしょう。一人のモラルの欠如が、社会全体に影響を及ぼす可能性がある事を我々に教えてくれます。レモンの原理が、レモンがすっぱい事を表す言葉ではなく、経済学用語としての意味を持っている事に注目しましょう。

レモンの原理の概要

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レモンの原理(レモン市場)は、経済学の用語です。

2001年にノーベル経済学賞を受賞したジョージ・アカロフ博士によって、1970年に提唱された原理で、「売り手と買い手の情報の非対称性によって、市場に悪い品質の製品しか出回らなくなる原理(市場)」という意味です。
 

レモンの原理の“レモン”とは?

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レモンの原理のレモンは、皆さんご存知のあの酸っぱいレモンの事です。

レモンの意味を英英辞典で引くと、以下の5つの意味があります。

①真っ黄色の表皮と酸っぱい果汁を持つ果物

②〔イギリス英語〕酸っぱい味の飲み物

③淡黄色(= lemon yellow)

〔アメリカ英語〕役に立たない(スラング)

⑤〔イギリス英語〕お馬鹿さん(スラング)

レモンの原理の意味を表す“レモン”は④ですね。「役に立たない」という意味が転じて、「欠陥品」という意味が生じました。

また、レモンの表皮は固く、外からは果肉が腐っているのか、そうでないかを判別する事が出来ない。という意味も含んでいるという説もあります。(対義語はピーチ)

中古車市場を例にしたレモンの原理の説明

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情報の非対称性

例として中古車市場がよく挙げられます。中古車の状態を素人目で、その良し悪しを判断することは難しいですね。

一方で、売り手、この場合は中古車ショップの店員は、中古車の状態を判断する材料を持っています。その車の状態の良し悪しを知っています。売り手の買い手の情報が同じではない事を「情報の非対称性」といいます。

買い手は限られた情報から、中古車の良し悪しを判断しなければならない。その判断のひとつの指標が、中古車の販売価格だ。

画像では売り手(左側)と買い手(右側)の認識、情報のずれがある。売り手は詳しい車の詳細を知っているが、買い手は外見だけで、車の走行距離を推察しようとしていた。(ただし、会話が共有された時点で、情報は「公開された」情報になるので、情報の非対称性はなくなる事に注意!)

悪い中古車ショップの店員は、「ボロ車を高い値段で客に売りつければ、ボロ儲けだ」と考えます。しかも買い手(お客さん)は、その車の状態の良し悪しを判断する材料を持っていません。

逆選択と逆淘汰

買い手であるお客さん側は、品質が良い車だと思い、高いお金を出して買った車が品質が悪い車だった場合、どうなるでしょうか。

このときお客さん側は、一部の悪い中古ショップのために、「中古ショップで買った車は品質が悪い」と決めけるようになります。

すると、品質の良い中古車であっても、品質の悪い中古車と同程度の価値しかないと、考えるようになります。これを逆選択(逆選抜)といいます。

買い手が十分な情報を持っていない為、品質に見合った金額を払おうとしなくなる。皆一様に、品質の悪い中古車であると決め付けるようになる。

結果的に品質の良い中古車を売り手は売ろうとしても、買い手が「ここには品質の悪い中古車しかない。だから高いお金は出せない。」と考え、価格が高く品質が良い中古車を買わなくなってしまいます。
それによって売れない品質の良い中古車は市場から消えていきます。そして残った品質の悪い中古車が市場に溢れ返るのです。これを逆淘汰といいます。

このように、「売り手と買い手の情報の非対称性によって、市場に悪い品質の製品しか出回らなくなる原理」をレモンの原理といいます。

チェックポイント

  • 買い手と売り手に情報の非対称性がある
  • 買い手は品質の良し悪しを判断できなくなる
  • 品質の良い製品が売れなくなり、市場に出回らなくなる

どうしたら未然にレモン市場を防げるか、その対策とは?

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品質を担保する第三者機関に介入してもらう

中古車販売を例にすれば、中古車販売を行うためには「古物商許可」が必要になります。

中古車に対する古物商許可はチェックが厳しく、車に対する知識や品質管理の責任を負うことが求められるようになります。

そうすれば、「この人は許可を貰って中古車を売っているんだな」と買い手側は安心することが出来ます。

ブランドを確立する

中古車の販売会社だと、ガリバーやヤナセが知られています。知られている会社ということは、ブランド力があるということです。

有名な会社の中古車だから、きっと品質も良いに違いないと、買い手はブランド力を一つの指標にすることができます。

レモンの原理に類似したもの

グリシャムの法則

貨幣の額面上の金額と貨幣の実際の価値の間に大きな隔たりが生じた場合、実際の価値が高い貨幣は利用されなくなり、より価値の低い貨幣が流通する法則です。

悪貨は良貨を駆逐する」という言葉で有名な法則です。16世紀のイギリス人トーマス・グリシャムが、エリザベス一世に対して進言した故事を19世紀の経済学者ヘンリー・マクロードが著書『政治経済学の諸要素』にて命名したものです。

レモンの原理と混同されますが、レモンの原理は売り手と買い手の情報の非対称性があるのに対して、グリシャムの法則では、国(流通させた側)と国民(市場でお金を使う側)が、悪貨と良貨の質を見分けることが出来る。つまり、情報は対称であるという点で、異なっています。
 

黒いお金=悪貨を流通させると、元々の価値の高いお金=良貨が使われなくなる。この法則はあくまで、金本位制で成り立つ法則です。

まとめ

レモンの原理とは、ジョージ・アカロフ博士が提唱した経済学用語のことでした。lemon(レモン)には「役立たず」という意味のスラングがあり、そこからレモンの原理という言葉が生まれました。中古車市場の例にあるように、レモンの原理とは、買い手が市場を信用しなくなり、質の悪いものだけが市場に溢れてしまうことでした。その対策として、公共機関が質を担保したり、個々のブランド力を高めるなどが挙げられます。

このレモンの原理をしっかりと理解して、経済学の勉強を進めていきましょう。

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