「宇宙医学」壮大な夢を、現実に

「宇宙医学」壮大な夢を、現実に

東京大学医学部3年、Space Medicine Japan Youth Community設立メンバー。スペースヒーローに憧れを抱いていた少年が今、なぜ東大理三に入り、なぜ宇宙医学の学生コミュニティを起こすに至ったのか、今回はそんな石橋さんのirootsに迫ります。

石橋さんの活動、「宇宙医学」とは?

──本日はよろしくお願いします!
早速ですが、石橋さんはどのような活動をされているのですか?

メインの活動として、Space Medicine Japan Youth Communityという宇宙医学の学生コミュニティを立ち上げ、運営をしています。できたばかりのコミュニティなので模索中ですが、LINEグループには宇宙医学に関心があると言ってくれた学生が70人ぐらい入ってくれています。宇宙医学の専門家の方を訪問する学生向けのツアーを作ったり、内部での勉強会を開催したり、学会発表を行ったりしています


──宇宙医学、すごいですね。きっかけは何だったのですか?

もともと宇宙飛行士になりたいという夢がありました。でも宇宙医学の存在を知らなくて、宇宙飛行士になるための一つのパスとして医学部に入ったんです。「弓道部とESSで体力と英語力をつけよう」というのが大学4年間の目標でした。
そしたら大学で「宇宙医学」という分野があることに気づいて、色々調べ始めました。その中で科研費のプログラムの資料を発見し、掲載されていた先生方に順番に連絡して話を聞きに行くことにしました。


──医学部に入ってから宇宙医学の存在に気づいたんですね。

僕がお会いした宇宙医学の先生は、多様な研究をされているのですが、医学的な専門分野をベースに宇宙医学もやっているという方がほとんどで、宇宙医学だけをやっている方は聞いたことがないです。
その中で1年の夏に、ある先生から「もっと色んな学生に来て欲しい」とのお話を伺いました。今後もっと宇宙医学が必要になるし、魅力的な分野なのに、まだ関心のある人が少ないというのは僕も感じていました。そこに挑戦できるのは学生だからこそできることだと思い、学生向けのツアーを作ったんです。


──そこから宇宙医学のコミュニティが始まったんですね。

最初は一回10人ぐらいでJAXAの方や宇宙医学の先生を訪問するツアーをしていました。
その後、ある先生の紹介で大阪医大の学生と意気投合し、宇宙医学コミュニティを作ることになったんです。
オンラインで繋がりつつ、ツアー、勉強会、ご飯会などオフラインでの繋がりも作っています。運営体制が整いつつあった頃、学会発表のプレゼンを担当するチャンスを頂いたりもしました。
宇宙医学に関心を持った学生の学びのチャンスを作って、将来の選択肢に宇宙医学を入れてもらえたらと思って活動しています。今すぐ没頭しなくてもいいんだけど、10年後20年後にでも参加してもらうための種まきですね。

宇宙飛行士の夢も、東大理三も、諦める理由なんてなかった

──そもそも石橋さんが宇宙に興味を持ったきっかけは何ですか?

物心ついた時からずっと好きで、幼稚園の時の夢がウルトラマンとかバズ・ライトイヤーでした(笑)。小学生ぐらいの時にそれは職業ではないと気づいて、そこから宇宙飛行士にシフトしたみたいです。
親の影響もあると思います。過去に宇宙飛行士試験を受験した経験があって、宇宙が好きなのはずっと変わらず、小さい頃から科学館とかに連れていってもらうなど、自分の興味を認めてくれていたのが大きいですかね。


──宇宙飛行士の夢って、誰もが持ちうるけど、現実的に考えてしまって諦めることはなかったですか?

なかったですね。これまで夢を諦めるポイントがどこにもなかったんです。他のことでは色々な挫折がありましたけど、非常に幸運なことに、この夢に関しては強烈なダメ出しを受けたことがなかった。なれるかどうかはわからないけど、なれないなんて別に誰も決めてないよね、というテンションです。宇宙飛行士以上に魅力的な夢も見つからなかったし。大学受験で理科三類を受けた時もそうでしたね。


──そうですよね、そのマインドが東大の理科三類に?

高校3年目は野球部のキャプテンに打ち込んでいて、部活が終わった高3の秋は文化祭の主体としてかなり大変な役割で、受験勉強どころじゃなかったんですよね。そして浪人の1年間、誰も入れると思っていなかったと思うのですが、目標を変えることなく、自分自身を疑うぐらいストイックに勉強したんです。そしたら入れました。


──東大の医学部にこだわりがあったのはどうしてなんですか?

もともとは宇宙飛行士になるための資格として医学を考えていたので、あまり人に言ってませんでした。
しかしある時つい友達に言ってしまって、そしたら面白いじゃんと受け入れられたんです。さらに大きかったのは、宇宙に人がいる限り医者が必要になると気づいたことです。その気づきを得てから、「人あるところに医あり」という言葉を大事にして、自信を持って周りにも言えるようになりました。


──確かに、医者はどこにいても必要とされる。宇宙なら尚更ですよね。

それで、東大にした理由は総合大学に行きたかったからです。あとは経済的理由から国立大学、実家から通いたいということがありました。あとは、東大を目指して勉強していれば、後から下げることは出来るけど、逆はそうはいかない。そして「入れる可能性」と「入ってから開ける可能性」とのどちらを目指していくか考えた時に、東大は後者に関して圧倒的でした。

結果的に、東大理三に入れて本当によかったです。東大は他の学部もレベルの高い人たちと、ディスカッションできるし、関わりを持てます。東大という環境は、かなり使い倒しています。

プレイヤーでありたい。コミュニティを広げる理由とは

──Bizjapanの代表もやってたんですよね。自身のプロジェクトも忙しい中、なぜやろうと思ったんですか?

宇宙医学のスタディツアーも今は独立していますが、最初はBizjapanのプロジェクトでした。
プロジェクトを立ち上げ、回していく中で「この団体は、今よりももっとできるはずだ」と思ったのが、一番の理由ですね。当時の団体の状態に対して、ポテンシャルのある人は集まっているのに、できていることがしょぼくて、もっとエネルギーのある活動ができると、悔しい気持ちを持ったんです。
リーダーというレベルではないものの、自分自身の活動で団体の価値観を体現しながら、資金やメンバーなど団体の課題に取り組んでいました。


──ご自身が抱いた問題意識を、行動に繋げることができてきたんですね。
医学部だけでも大変な中、なぜ他の人たちも巻き込む活動をされているのでしょうか?

1つ目は、宇宙オタクだけでやってもつまらない、多様な興味を持っている人の中でやるからこそ面白いと思っています。
2つ目は、コミュニティの中で自分の活動や興味を語りまくっていたら、宇宙オタクじゃない人でも興味持ってくれたんです。そこから、BizJapanやコミュニティの外でも、自分自身のやっていることを発信することは大事にしています。


──自分の活動を語って人を惹き込んでいく力は、どこから湧き上がっているんですかね?

価値観として、自分がプレイヤーであることへの憧れがあるんです。「多少アホっぽくても、愚直に建設的に物事に取り組んでいる方がいいじゃん」という思いです。
きっかけとしては中学高校の時の周囲の仲間が、頭が良くて批評や提案は良くするんですけど、実際にやらない人たちだったんですよね。彼らとは仲が良くて今も大好きだけど、批評するだけの姿勢には少し違和感を感じて、問題提起するだけでなく、自分で動こうよと思うようになりました。それは大学に入ってからも変わっていないです。

 

自分を突き動かす感動、そして特別な存在へ

──石橋さんの原動力は何でしょうか?宇宙に対する熱はどこから湧き上がっているんですか?

そうですね、宇宙が好きな理由は3つあって、まだ誰もやっていない特別な存在であること、目から鱗を出させてくれる未知のものであること、人類にとっての一大プロジェクトに携わることができるということです。

まとめるとしたら、英語だとawe、色んなものに対する畏怖とか感動ですね。小さい頃から、重力で上に投げた消しゴムが戻ってくるとか、神経細胞ってミクロレベルの細さなのに1mあるとか、なんでそんなことができるんだ?すげえ!って、自分とは異なるものに対して抱く素直に感動して尊敬や畏怖の感情が、すごく楽しいなと思いました。


──そうした探究心と、自分がプレイヤーであることへのこだわりが、石橋さんを動かしてきたんですね。

昔から特別な存在でありたいという価値観があり、目立つ存在が好きでした。人に頼られると嬉しいし、自分からでもみんなを盛り上げてやりたくなるタイプですね。それから、自分の興味ややりたいことは、あまり否定されることはありませんでした。両親も随分好きにやらせてくれたなと思っています。自分の興味や関心を伸ばしてくれる環境がありました。


──最後に、今後の展望を聞かせてください!

学生時代のうちに、自分が理想とする世界観を突き詰めたいと思っています。あらゆる知見を取り入れながら、「なぜ自分が宇宙医学をやるのか」という問いに確信を持って答えられる状態にしたいです。あとは宇宙医学のコミュニティを育てて行くことです。
最終的には、医学というバックグラウンドから宇宙開発に貢献すること、これは変わらないので、その中で自分の方向性や位置づけを定めていきたいと思います。


──今後も石橋さんの宇宙医学への挑戦、すごく楽しみです。石橋さん、ありがとうございました!
 

編集後記

迷いなく、自分の興味を、自分自身で探求し続け、周囲にその価値を広げていく。生まれてから常にそれを体現し続けてきたからこそ、今の石橋さんがあるのだと思います。

彼の姿勢から学べることはとても多いのではないかと思います。
自分が本当に情熱を注ぐものに夢中になる。皆さんも「羨ましい」で終わらず、自分自身でやってみようと思ってみてはいかがでしょうか。

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