「“やりたい仕事を選ぶ”のではなく、“合う会社と出会う”」 JT元採用担当が考える就活のあり方とは――

御神村さん

御神村さんは、東京大学農学部獣医学科を卒業されJTへ就職されました。JTでは研究開発職、研究企画職、採用担当、現在は経営企画職と幅広くご活躍されています。

獣医師の資格を持ちながら企業で全く関係のない仕事を幅広く経験されている不思議な経歴の御神村さんですが、お話している中で感じた印象は、「幸せそうに働いている」というものでした。今回、そんな御神村さんに「幸せに働くための秘訣」について話を聞いてみました。ご自身の体験と採用担当としておよそ300名の学生と話をしてきた経験から、学生の皆さんに「後悔のない就活」をしてもらうためのメッセージをお伝え頂きたいと思います。

 

幸せな就活のコツは「やりたい仕事」を選ぼうとしないこと

―いきなり単刀直入に聞いてしまいますが、御神村さんのように、幸せな会社生活を送れる会社を、就活を通してどのように選んだら良いのでしょうか?

 

皆さんは「就活」を通してどんな機会を得たいと考えていますか?いろんな学生さんと話をしましたが、自分のやりたいことをやり続けられる場所を探したい、という風に思う人が多いのではないでしょうか。

例えば、海外勤務したいから商社、グローバルに活躍したいから外資系、将来起業したいから戦略系コンサル、オシャレが好きだから化粧品メーカー、自分で裁量権を持って仕事をしたいからベンチャー等、そのような選択の仕方をする学生をよく見ます。

ですが、このように一面的な事業上の特徴だけ・・で会社を見てしまうのは、私はとても危険だと思っています。

 

―私の就活生時代を振り返っても、こういう考え方で会社を探していた人は多かった記憶があります。なぜ危険なのでしょうか?

 

それは、自分がやりたいと思っていることだけに固執した選び方をすると、仕事をしてから思っていたこととのギャップが非常に生まれやすいからです。

その理由は大きく3つの理由があると思っています。

1つ目の理由は、学生の皆さんが持っている仕事のイメージと、実際に働く実態とが一致しないから。

学生の皆さんとしては、一生懸命理由を考え抜いてやりたいことができる会社、つまり、事業内容をもとに実際に自分が働く姿をイメージして会社を選ぼうとしているのですが、どんなに頭で考えても仕事の実態を正確に捉えることは不可能です。

 

2つ目の理由は、世の中が変わっていくからです。世の中はどんどん変わりますし、それに合わせて会社も、事業内容も変わっていきます。異動はもちろん、自分がやりたかった事業が、数年後にはなくなっている可能性も十分にあります。

 

3つ目の理由は、自分自身の考えですら変わっていくからです。中学時代に今の自分が何をしていてどんな状況かなんてわからなかったですよね?

つまり、自分のやりたいこと自体がどんどん変わっていく。

 

まとめると、

①自分の事業に対するイメージがそもそも間違っている

②会社の事業自体が変わっていく

③自分の考え方が変わっていく。

 

これが良くある入社後のミスマッチの原因ではないかと考えています。

私はいろんな会社の若手社会人ともよく交流しますが、上記のような流れを経て、入社後に悩んでいる人が非常に多いと感じています。そのような実態も踏まえた上で、学生の皆さんには「後悔のない就活」にしてもらいたいと強く望んでいます。

 

JT元採用担当ミカムラさん_1

 

自分が幸せになるための「合う」会社選び

―それでは、学生がミスマッチをなくすためにはどうしたらいいのでしょうか?

 

自分にとってずっとやりたいことをやり続けられる会社を選ぶのは極めて難しいと思いますが、少し視点を変えて、「合う」会社を探すのはわりとやりやすいのではないかと思います。合う条件というのは、人によってマチマチです。そして、合う/合わないというのは極めて主観的な理由なので、時間が経っても変わりにくい。

 

―「やりたい仕事」ではなくて「合う」ですか。
その会社が自分に合う、合わないというのはどうやって判断すれば良いのでしょうか?

 

あなたにとって合う会社かどうかを、どのように見つけるのか。それは、社風が自分に合うかどうかです。仕事内容は時と場合によって変わることがほとんどですが、その会社における社風というのは、部署が変わろうとも根本的なところでは一緒です。

そして、同じ業界内であっても会社が違えば社風は全く異なります。同じスポーツをやっている部活だけど学校によってそのチームが持っている雰囲気や価値観が全く違う、逆に同じチームであればポジションが違えど雰囲気や価値観は共有されている、といったようなことと似ています。

 

―確かに社風が合っていると仕事が長続きするというのを聞いたことがあります。会社が違うと社風が全く違うとおっしゃっていますが、風通しがいいとか、仲がいいとか、みんな同じような事を言っていますよね(笑)

 

そうですね。ここで言っている社風とは、その会社の社員によってなんとなく形成される言外の文脈を指します。「チャレンジ精神旺盛」「フラットな人間関係」など、言葉で理解される要素も一部はあると思いますが、実は言葉にはできない要素の方が圧倒的に多いのです。

なので、同じような言葉を使っていても、言葉にできない要素が実は全く違うことがほとんどです。その言葉にできない部分を捉えるには、実際にその会社の社員さんに会って話してみて、自分で感じてみるしかありません。それも、内定者や1年目、2年目の大学のOBではなく、しっかりと社風に染まった社員と会う必要があります。

目安としてわかりやすいのは、社歴が5年以上あるかどうかです。仕事ではいろんな経験をするので、5年もあれば酸いも甘いも経験していて、「嬉しいことも楽しいことも悔しい想いも悲しい想いもしたけど、少なくともここで働いていたいと思っている」という状態になります。こういう、社風に染まった人と話をした時に、あなた自身がどう感じたかが大事なのです。話の中身も大事ですが、感じた印象の方がもっと大切です。

 

―5年以上働いている社員さんと、たくさん話して自分がどんな印象を持ったかという事が大切ということですね。

 

そういうことです。ちなみに私が最終的にJTに入社を決めた理由も一言で言えば「社風がしっくりきたから」です。仮に今、就活生時代に戻ったとしても、そういった観点で会社を見ていくと思います。

JT元採用担当御神村さん_4

 

学生が社風を見極めるためのコツ

―もう少し、社風が合うかどうか判断するための方法について具体的に教えてください。

 

学生がその会社を見極めるには、2つのコツがあると思っています。

 

1つ目のコツは、複数の社員と話すことです。

1人の人だけでは、その人の個性に引っ張られる部分も大きいので、同じ会社で3人以上と話すことが必要です。それぞれの人の個性はあるのだけれど、なんとなく重なるところに感じる雰囲気や価値観は、その会社でどこに配属されても大きくは変わりません。そして、それを1社だけではなくて複数社で比較すると、より明確にわかるようになります。

 

2つ目のコツは、その方を主語にして話を聞くことです。

「○○さんは好き/嫌いな上司はいるのか、その人はどういう人なのか。例えばどんな場面でそれを感じたか」や「○○さんの好きな映画のワンシーン」だったり「○○さんが思う、恋愛と結婚の違い」だったりを聞いてみると、なんとなくその人らしさが見えてきます。そして、面白いことに、同じ会社の社員にはその「らしさ」の共通項が見えてきたりします。

 

私もよく社外の方にこのような話を聞いて自社とどこが同じで、どこが違うのかを考えてみるのですが、やっぱりそれぞれの会社ごとに価値観が違うなと感じます。当然個人の差が大きいのですが、いろんな人に話を聞いてみるとなんとなくこの人はこの会社っぽいな、というのがわかってくるものなんです。(就活生ともこういう話をしてよく盛り上がります(笑))

 

JT元採用担当御神村さん_3

 

「自分が合うと感じること」と出会い、実行し、自分にとって意味のあるものにしていく

 

−とても主観的な感覚を大切にされていますよね。世間一般的には「論理的思考力」が大切と言われるように客観性を求められることが多いと思いますが、このような思考に至ったきっかけは何でしょうか?

 

当然、論理性・客観性は必要な視点ですよ。説明するときには論理的に説明しないとわかりにくいですから。ですが、就活や結婚など自分自身で意思決定する場面においては、誰かにわかりやすく説明できることよりも自分でどれだけ深く納得しているかということの方が、その後の生活ですごく大切なことだと思うんです。
私自身、会社選びで獣医学の専門知識を活かすだとか扱っている商品がどうだとか、そういう頭で考えられる客観的事実よりも、「自分がどう感じたか」を優先して意思決定した結果、今が幸せと感じています。

 

社会人生活をしていると、時々出会う面白いことがあります。自分の想定にはなかった事で、例えば、「思ってもいなかった部署に異動した」とか。獣医学科を出て研究開発職で入社して、まさか採用担当をやるだなんて夢にも思ってなかったですから。

そういうとき、いわゆる論理的に考えれば、必ずしもその時の自分には必要な経験ではないことのようにも思えるのですが、なんとなく合いそうだなと感じたらとりあえず全力で乗ってみるんです。やってみることで新しい世界がひらけて、実はそちらの選択の方が楽しかった、といった事がしばしば起きます。

 

こんな経験を何度かしていくうちに、「いかに想定外の出来事に出会っていくか」が大事なんだと思い始めました。今まで自分が想定してなかった出会いをどう創ってどう楽しむか、そしてやっていくうちに自分にとって意味のあるものにしていくことが大事だなと。
実際、この人は面白いと思う人に今やっていることのキッカケとかを聞いてみると、「案外そんなものか」と思うことって多いですよ。

一見今の自分にとっては意味のない(非合理な)ことのように思えても、少し視点を上げると意味のあることだったと後から気づくことが意外と多いもので、それによって世界が広がっていく感覚が面白いんです。

―一方で会社という組織において、「私がそう感じたから」という個人の感覚だけを根拠に行動するのは難しいと思うのですが、そのあたりはどうでしょうか?

 

行動原理としては、感覚がベースで問題ありません。自分が行動するだけですから。周りの人に納得して欲しい時などは何かしらのロジックが必要なときもありますが、それも極論、後づけの理由でいいと思います。

JT元採用担当ミカムラさん_2

 

就活生へのメッセージ

 

―最後に、就活生に向けてのメッセージをください。

 

日々、人はたくさんの人と会い、たくさんの情報を無意識に整理して、そこから自分はどのように行動すれば良いかを総合的に判断しています。意外と「自分がどう感じたか」というのは、自分が思っているよりもちゃんと考えられているし、そこには他人には測れない自分なりの尺度があるものです。その自分の心に素直になる感覚を研ぎ澄ますことが、本気で向き合う仕事選びをするからこそ、今必要なやるべきことなんだと伝えたいです。

逆に言うと、「やりたいことがない」ということに対して、それほど悩まなくて良いです。就活をする上で、「やりたいこと」を上手に語れないと感じている学生さんが非常に多いと感じていますが、やりたいことがなくたって大丈夫です。本当に合う会社に出会えたら、その中でやりたいことにも出会って行けます。だから、就活の段階では無理矢理「やりたいこと」を語れるように訓練するのではなく、むしろ「自分なりの尺度」を正しくわかる努力をして、合う会社に出会える確率を少しでも高めて行ってもらいたいと思います。

そのためにも、いろんな社会人と会ってみて「人と人」として話をしながら、「自分はどう感じたか」を見つめていって欲しいです。

是非、「後悔のない就活」を、がんばってください!

応援しています。

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