「信用力」と「編集力」を身につけよ。代官山 蔦屋書店のコンシェルジュが選ぶこれだけは若者に読んで欲しい本7選(前編)はこちらへ
今までの人生において、目標に向かって何をすべきかなんとなくわかる人が多かったのではないでしょうか。
例えば大学受験において、どこの大学にいきたいのか、その大学に行くには何をすればよいのかある程度理解していた人も多いと思います。
しかし、変化の激しい現代の就職活動においては、「自分が何をしたらよいかわからない」、「自分のロールモデルが見つからない」などといった学生も多いことと思います。
代官山 蔦屋書店
今回は代官山 蔦屋書店のビジネスコンシェルジュの湯澤様に、現代の若者が今後社会で活躍するために読んでおきたい本を教えていただく後編となっています。
5.信用と情報編集力が大切〜10年後君に仕事はあるのか?〜
出典: 10年後君に仕事はあるのか?:Amazon.co.jp
これは好きなことを仕事にしていくためにはこういう能力を身につけた方がいいですよっていうことを教えてくれる本です。この本の著者はリクルート→民間校長という異色のキャリアを持つ藤原和博さんです。この本は、企業が取りたいと思う人間になるにはどうすればいいのかを教えてくれる本です。
でも、企業に縛られるのは嫌だっていう人もいますよね。そういう人は独立するのもいいですし、この本は独立する人にも役に立ちます。ちなみにこの本はキングコングの西野さんもおすすめしていました。
---稼げる人になるためには、自分で考えて強みを作っていくことが大事だということを教えてくれる一冊ですよね。
この本は直接就職に関係あるわけではないんですが、これからの10年をどう生きたらいいのかってことが書かれています。20代って本当に大事だと思っていて、自分がまだ経験不足だと、どんな仕事をしていてもただ流されるままに仕事をしてしまう可能性があるんですよ。それで結構差がついてしまうんですよね。
自分の信念をしっかりと持ち、「これはこのためにしているんだ」という風に意味を理解し、一つ一つの情報を自分で編集しながら、これから先10年間を過ごしてほしいです。
だから、どこに就職するにしても、この10年間を有意義なものにするために読んでもらいたい一冊です。
---ありがとうございます。
この10年間は本当に大事だと思っていて、僕らの世代は起業っていう考えがなかったんですよね。終身雇用が大前提で、一つの会社に就職したらそこで一生過ごすっていうのがこの25年くらい前まで当たり前だったんですよ。だから最初の10年とかあまり気にする必要がなくて、会社の歯車として働けばいいっていう考え方だったんですよね。でも今は違って、二人ともあわよくば起業や、独立したいっていう考えを持っていますよね?
---どっちもありますね。
ですよね。そしたらこの10年本当に大事になってきます。できれば海外にいくとか幅広い経験ができる10年を過ごすことが大切です。
6. 全ての人にとってテクノロジーリテラシーが必要になる〜未来に先回りする思考法〜
---残りの2冊は先を自分で見据えるっていうのが共通して見られる気がするのですがどうですか。
そうですね、そういう視点で選びました。まず佐藤さんの本からいきましょう。
この本の著者はメタップスの代表の佐藤航陽さんという方です。メタップスは「テクノロジーでお金と経済のあり方を変える」を理念として、様々な事業を展開されている企業です。最近では人の時間を売買する「タイムバンク」というサービスを開始したことで話題となっています。
この本は正直難しいです。メタップスの佐藤さん、頭良すぎますね。先に行き過ぎて何を言っているのかわからないです。これもそうなんだけれども、僕達の時代ってITって言葉自体なかったし、携帯って言葉もなかったです。
でも今は本当にテクノロジーが全てで、どんな業種についたとしてもテクノロジーと関わっていかなければいけないんですよね。例えばリアル店舗を構えていても、同時並行でECもやっていかないと、これから先、生き残っていけないんですよ。
それで、そのテクノロジーとどう向き合えばよいかっていうことがこの本に書かれています。今って、モノを買うのではなくて、コトとか体験を買うんですよね。だからこちらで情報を必死に提供していかないと、モノを買ってくれないんですよ。そのためにテクノロジーを駆使するのが主流になっていて、例えばマイクロソフトや富士通といった会社は以前はモノを売って稼いでいましたが、今はモノではなく、トータルパッケージでシステムを売ったりしているんですね。
この本にテクノロジーって書いてあるのは、全ての業種の人に向けて、「テクノロジーとちゃんと付き合っていかないと、これから先、生きていけませんよ」っていうことを伝えたいからだと思います。
だから、どんな業種についたとしても、しっかりとテクノロジーと向き合ってください。「僕は金融が希望だからテクノロジーとかあんま関係ねえや」っていうのは今後通用しなくなります。
そしてテクノロジーと向き合うためにはこの本を読んでください。これはビジネスに使えるテクノロジーの本です。
まあでも今の学生ってテクノロジーとか意識している方ですよね?
---昔に比べたら意識している方だと思います。
意識してますよね。でもしてない子はしてないと思っています。
「プログラミングは最高のビジネススキルである」っていう本があるんですけど知っていますか?
あれってどういう人向けに書いたかっていうと、プログラミングを自分の本職にしていない人向けに書いた本なんですよね。
例えば僕に該当するかもしれないし、会計とか経理とか担当している人かもしれない。そういう人にも、「プログラミングの能力がないとこれからは食っていけないよ」ということを伝える本で、今すごい売れている本なので是非読んでみてください。
7.会社の見方、お金の使い方を知ることができる〜持続可能な資本主義〜
これは、どちらかというと企業に就職したい人に向けた本です。鎌倉投信って知っていますか?
---ニュースに出てくる記事とかでしか知らないですね。
この著者の新井和宏さんって方は、昔NHKの「プロフェッショナル」とかに出ていて結構有名な人なんですよね。
もともと外資系金融出身で何兆円とか動かすトレーダーだったんですけど、リーマンショックの時に体調を崩してしまって精神的に病んでしまって辞めたんですよね。それでそのときにもう一生食っていけるだけの給料をもらっていたので、スキーのインストラクターでもやろうと思っていたらしいんですよ。
でも、金融を通して社会貢献したいと思い、鎌倉投信の立ち上げに参画しました。今だとどうしても金融って、最先端の金融工学を駆使して金を儲けるって感じになっているんだけれども、新井さんはそういうのを体験して病んでしまったんですよね。
金融ってもともとは、お金がないけど社会に貢献する事業をやりたい人にお金を出して、事業がうまくいったらその金利で報酬をもらってお互いにwin-winになろうっていう考えなんですよね。そこで新井さんは、本来金融があるべき場所に立ち返って社会に貢献したいと思い、鎌倉投信っていう会社を立ち上げたんですよ。
鎌倉投信って投資会社なんだけれども、普通の証券会社と違うんですよね。まず自分で足を運んで経営者のお話を聞き、その会社が本当に社会に貢献をしているか見るんですね。また、社員に優しいとか、いわゆるブラック企業じゃないとか、そういうのを総合的に見て、「ここは信用できる」という会社にだけ投資しているんですよ。
この本には実名で社名が結構掲載されていて、その中でも新井さんは特にヤマト運輸が大好きらしいんですね。創業者の小倉さんの考えにすごく共感しているみたいです。
ただ給与が高いとかっていう基準でなく、社会に貢献しているとか、そういう基準で会社を選ぶ方法もあるっていうことを教えてくれます。これはどちらかというと会社を知る術を教えてくれる本ですね。
今ってどうなんだろう、、まだ給料とかネームバリューとかで企業選びをする学生が多いんですかね?
---そうですね。でも昔に比べると今それがちょっと崩れてきていて、いろんな見方ができるという考えがやっと出てきている感じです。
優秀な学生がいたとして、誰もが羨む大手企業から内定をもらった時に、別にそんなに興味ないけど、入れるなら入ろうかなっていう人がいるかもしれない。でもそういう会社の選び方はよくないんですよね。
あと、この本は正しいお金の運用の仕方についても教えてくれます。
外国って幼い頃から自然とお金について学んでいるみたいなんだけど、日本ってあんまりないよね?ちなみに二人、投資とかやっていますか?
---あまりないですね。
---僕は仮想通貨だけちょこっとやっているって感じですね。
そうなんですね。小さいときから投資とか触れていましたか?
---全然触れていなかったですね。
そうですよね。でも外国の子供たちってお金儲けをするためではなく、お金ってどういう動きをするのかっていうのを小さいときから学んでいるらしいんですよ。そういう重要性も説いている本ですね。
日本はただバイトで稼いで、その分のお金を自由に使うっていう学生が今も多いですよね?
------はい、おっしゃる通りだと思います。
そう。でも社会人になって給料をもらうようになると、年金とかも払わなければいけなくなってきてお金に対して貪欲さが芽生えてくるんですよね。
---日本って結構お金の話ってタブーとされているというか、お金儲けが悪いみたいなイメージがあります。
そうですね。でも大学を卒業したらすぐお金と関わる世界に飛び込むわけで、最初ってあぶく銭みたいな感覚があるんですよね。アルバイトのお金と全然違っていっぱい入ってきます。
それで保険や年金も払うようになるし、お金に対する感覚って全然違ってくると思うんですよ。多分学生のときは稼いだ分だけお金を使っていると思うんだけど、そうもいかなくなって。ちゃんとお金と向き合わなければいけないんだけれども、急にやれって言われてもできないですよね。
そのときのためにこの本を読んでほしいです。会社の選び方や見方もこの本に書いてあるし、ここに掲載されている企業の中に、もしかしたら自分が就職したいと思う会社もあるかもしれない。またこれから先、みなさんには結婚や育児など、様々なライフイベントが待っていると思うんですよね。そういう中で、長期的なお金との付き合い方についても教えてくれる一冊なので是非読んでみてください。
「信用力」と「編集力」を身につけよ〜学生にメッセージ〜
---7冊紹介していただきありがとうございました。最後に、改めて学生やこれから社会に出ていく若者に対して、身につけておいてほしい姿勢などあれば教えていただきたいです。
これらの本を全部選んだ共通して選んだキーワードがあって、それが「信用力」と「編集力」なんですよね。
人に信用される力を身につけて欲しいですね。「人ってこういう風に信用を作っていくんだ」っていうことを知っておいた方がいいです。仕事ができる人とちょっとできない人がいた時に、ちょっとできない人の方が信用力の違いで選ばれることもある社会なんですよ。外資はバリバリ仕事ができる人が選ばれると思いますけどね。
「人生の勝算」の著者の前田さんも「信用できる人と仕事したい」、「自分が信用される会社にしたい」と言っています。それもずっと言っていて、そのために行動し続けているから、実際に信用力が生まれるんですよね。支持されるって結局はそういうことなんですよ。
ちなみに7つの習慣は前田さんのバイブルらしいです。前田さんは学生さんにも貢献していきたいと言っているので、もし興味ある人がいたらイベントとかに行ってみて直接聞いてみるのもいいんじゃないんですかね。
あとは編集力、情報リテラシーを身につけておいてほしいですね。
---藤原さんもおっしゃっていますよね。
そうですね。何か情報があった時に、自分でそれを切り崩して、自分なりに解釈して強みを作っていく「編集力」が大切なんですよね。
特にキングコングの西野さんは本当にすごいです。出す企画が全て的を射てるんですよ。例えば絵本をweb上で無料公開にして、そこでお母さん達に読んでもらって、面白いと思ったら実際に本を買ってもらう。また、こういう企画は話題にもなるので、認知も勝手に広がっていくんですよね。
金儲けは入り口ではなく出口で稼げと言っていて、認知された時ではなく、そこにハマっていただいた時にお金を落としていただくことが大事だと。信用力とそういうこともできるようになってくんですよね。
---西野さんは本当に信頼をお金にしようとしてますよね。僕たちも信用されるような人間になれるよう、様々な本を読んで勉強して行動していきます。
本日はお忙しい中お時間いただきありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。頑張ってください。何かあればいつでも蔦屋書店にきてくださいね。
編集後記
「信用力」と「編集力」。この2つの力はこれからの社会でますます必要になってくると感じました。現代ではTwitterやFacebookなど、友達の数が可視化されてきていて、ますます信用が大事になってきています。仕事に対するモチベーションも、ただお金を稼げればいいのではなく、その人や企業に対する共感や社会貢献といったことにモチベーションを感じる人が増えてきています。自分にやりたいことができたときに、お金がなくてもFacebookで呼びかければ助けてくれる人がいるかもしれない。そのためには、日々いろんな人に対して感謝の気持ちを持ち続け、困っているときには助け合って「信用力」を高めていくことが大切であると感じました。
また、自分なりの強みを作っていくためには自分ならではの価値を出していくことが大事だと思っています。世の中に無数に転がっている情報をどう自分で紐付け、自分ならではの価値を生み出していくのか。そういった「編集力」を身につけていくことも大事だと思いました。
この7冊を読んでみて、これからの社会で活躍していくためには「将来を見通す力」と「自分を徹底的に理解すること」、「自分ならではの価値を生み出して人から信頼されること」が大切になってくると思いました。常に読書などを通してインプットをしつつ、自分ならではの価値を生み出せるよう日々考え、アウトプットしていきたいですね。
取材:Kai&Koba 文章:Koba
「信用力」と「編集力」を身につけよ。代官山 蔦屋書店のコンシェルジュが選ぶこれだけは若者に読んで欲しい本7選(前編)はこちらへ