今回お話を伺ったあの• •

高清水 美乃(たかしみず・よしの)
エン・ジャパン株式会社/経営企画室

早稲田大学卒。大学時代には留学先のテニスサークルでキャプテンを務め、全米2位の成績をおさめる。2019年にエン・ジャパン株式会社に入社し、インドにある子会社のNew Era社に出向。その後社長室で子会社管理、ベンチャーキャピタルへの出向を経験し、現在はエン婚活エージェントのクライアントサクセスチームに所属。

テニスと勉強…周りの期待に敏感だった学生時代

 
 
―現在の高清水さんのご活躍を紐解くために、まずはルーツについて教えてください。
 
 
幼いころは男の子とケンカをして、親の前で先生に怒られるぐらい活発な性格でした。

小学校低学年からは弟の影響でテニスをはじめて、それからはずっとテニス漬けの日々を送っていました。父から厳しく教えられて泣いてしまうこともありましたが、昨日できなかったことができるようになっていく感覚が好きだったんです。

小学校低学年からはじめたテニスに夢中になった

中高一貫校に入ってからもその生活は変わらず、学校が終わったらテニスの練習をしてあとは寝るだけ…という毎日でした。友だちと遊べない不自由さはありましたが、そのころにはテニスをするのが当たり前になっていたので、特に辞めたいとは思いませんでした。

ただ小学生のころとは違い、試合で負けたらどうしようというプレッシャーを強く感じるようになり…。運動センスのいい弟に追いつかれるのではないかという恐怖もあったので、せめて成績では負けないようにしなければと勉強も頑張っていました。昔から周りの期待に敏感なタイプだったと思います。
 

「こんな広い世界があったんだ」。はじめての海外生活で多様な価値観に触れた

 
 
同時期に米軍基地の近くに住んでいたことから、海外での生活や多様な国籍の人と交流することに興味を持つようになり、中学3年生のときには3泊4日でニュージーランドにホームステイしました。

そこでさまざまな価値観に触れ、こんな広い世界があったんだと感銘を受けると同時に自分の語学力の低さを自覚して、高校1年生からは社会人の方に混じって英会話のレッスンに通うようになりました。

高校生になったらまた留学に行きたいと思っていたのですが、テニスの練習や試合が忙しく、結局高校生の間に留学に行くことはできませんでした。

中学時代は負けたくないけれど、具体的な目標やどうしたらいいかわからないという苦しい気持ちでテニスをしていることが多かったのですが、高校に入ってからは全国大会に出たいという明確な目標ができたので、苦しいというよりは必死に練習していました。その努力が報われ、高校3年生で念願だった全国大会に出場できたときはすごく嬉しかったです。

一方で大学では絶対に留学したいと思っていたので、重点的に英語の勉強を続けて早稲田大学の国際教養学部に進学しました。
 

大学で出会った多様な仲間から、「どんな生き方をしてもいいんだ」と学んだ

 
 
―大学生活はいかがでしたか。
 
 
すごく楽しかったです。それまでは中高一貫校に通っていたので、友だちも比較的真面目で勉強熱心なタイプの人が多かったのですが、大学にはいろんな人がいて新鮮でしたね。

ずっと遊んでいる人や騒がしい人、長期インターンに熱中してほとんど大学に来ない人など…自分とは異なるタイプの人たちと仲良くなることで、「世の中にはいろんな人がいる」ということを本当の意味で実感しました。

そして大学2年生の夏からは念願が叶い、カルフォルニア大学のアーバイン校に約1年間留学しました。

大学に入学後、念願だった留学へ

私が住んでいた地域は毎日快晴で、ビーチも近くにありすごく素敵な場所でした。アメリカの大学には体育会と公認のサークルが一つずつ存在しており、一番得意なことを活かして友だちを作ろうという気軽な気持ちからテニスサークルに入ったのですが、そこで女子キャプテンをやってみないかとコーチに声をかけられました。

何年か在籍している人もいる中で、「なんであの子がいきなりキャプテンなの?」という空気を感じつつ、女子チームの実力を上げるために練習内容を工夫したり、メンバー一人一人とコミュニケーションを密にとったりしながら少しずつキャプテンとして受け入れられていきました。

そして最終的には団体戦で全米2位という成績を残すことができ、大学初の快挙として胴上げされたときはすごく嬉しかったです。

大学生活を通じてさまざまな仲間と出会い、多様な価値観を知ることで「どういう人生を送りたいかは人それぞれで、どんな生き方をしてもいいんだ」と気づき、自分の中にずっとあった「〜〜すべき」という思い込みについて一度考え直してみようと思いました。

多様な仲間との出会いを通じて価値観が広がった
 

海外で学んできたことをどのように就活と結びつけたらいいかわからなかった

 
 
―就職活動について教えてください。
 
 
大学3年生の夏頃に日本へ戻り、その後すぐに就活をはじめました。ただ、海外で学んできたことをどのように就活と結びつけたらいいのかわからず…。

美味しいものが好きだから食品メーカーのサマーインターンに参加したり、周りの人に影響されてコンサルや外資系、ディベロッパーを見てみたり…と今思えば軸がぶれぶれの就活生でしたね。

その中でエン・ジャパンのインターンに参加し、「働く」ということについて考える機会を持ったことでエン・ジャパンを含めた人材系やベンチャー企業に興味を持つようになりました。

最終的にエン・ジャパンと外資系コンサル、外資系メーカーの3社から内定をいただいたのですが、今までの自分の人生を振り返ってみて、こだわりを持ってコツコツとやりぬける、テニスのように日々成長を感じられる、個を尊重する姿勢を持っている、という点において一番自分の価値観とマッチすると感じたエン・ジャパンに入社を決めました。
 

インドの子会社やベンチャーキャピタルへの出向を経て、婚活の新規事業へ

 
 
―入社後はどのような業務に携わられていますか。
 
 
「海外で働きたい」という気持ちがあったので内定者時代に子会社であるインドのNew Era社配属に応募し、入社1年目はインドで人材紹介の仕事を行っていました。

海外で働きたいという熱意が届き、入社1年目からインドへ

顧客である日系企業に人材を紹介するだけでなく、インド人社員と日本人社員のコミュニケーションギャップを埋めるための研修を提案するなど、自由に営業活動をさせてもらうことができて楽しかったです。

2年目からは日本に戻り、社長室で子会社管理をする役割を任されました。インドにいたころは一営業として働いていましたが、2年目からはNew Era社の社長と対等に経営についてディスカッションをする必要があり、経営視点を身につけるうえでとてもいい経験をさせていただきました。

子会社管理を1年経験したあと、次はエン・ジャパンの出資先であるXTech Venturesというベンチャーキャピタルに出向しました。子会社管理を行なっていたときに投資案件の発掘にも関わっていたのですが、どういう会社に投資をすればいいのか全然わからなくて…。そんなときにエン・ジャパンがXTech Venturesに出資すると聞き、その会社で投資について学んでみたいという想いで手を挙げました。

実際にXTech Venturesで働いてみてわかったのは、投資はすごく奥が深くて難しいということ。また投資だけでなく投資先のバリューアップにも関わっていたので、経営者の方と二人三脚で営業戦略や予算管理について話し合うなど、新規事業立ち上げに近しい経験もできました。投資や新規事業立ち上げと聞くとかっこいいイメージがありますが、実際はPCに向き合って手を動かしながら泥臭く作業することも多く、社会人経験が浅い私にとってはとても学びの多い経験でした。

XTech Venturesへの出向は1年間と決まっていたので、次にどの組織で働く?と上司と相談していた際に、このままハイプレーヤーとして投資の道を極めていくよりも、組織やチームワークの中で働くということを経験してみたいと思い、エン・ジャパンの子会社であるエン婚活に配属されることになりました。

代表含めメンバーもサービスに対して熱い想いを持っているところや、「幸せが続く結婚をすべての人に」をビジョンとして掲げて、入社後活躍ならぬ結婚後の幸せを見据えた婚活をサポートするという精神がとても素敵だなと思っていたので、思い切って飛び込みました。

現在は婚活をしている方のサポートをするチームに所属し、まずは一人前になれるように研修を受けています。XTech Venturesとはまったく違うフィールドですが、この部署でもとても充実した日々を過ごせています。
 

自分のキャリアを考えるときは「何をしているときに夢中になったか」を振り返ってみて

 
 
―今後高清水さんはどのようなキャリアを歩みたいとお考えですか。
 
 
将来的にはエン・ジャパンが買収した会社や子会社の経営に関わり、事業を伸ばしていくような役割を担っていきたいです。そのためには経営視点の知識やノウハウだけでなく、組織や風土を作っていく必要があるので、組織で働く中でそれを学んでいきたいと思っています。
 
 
―最後に、これからキャリアを考える人に向けたメッセージをお願いします。
 
 
これは他の方の受け売りなのですが、キャリアを考えるときに自分の好きなことをやりたいことを「名詞」で捉えないようにしてほしいです。

私も就活をはじめたころは「食品」や「テニス」などの名詞で企業を探していたのですが、そこで働くイメージがどうしても持てませんでした。そうではなく、「どんなときに成長したか」「何をしているときに夢中になったか」というふうに動詞や形容詞で今までの人生を振り返り、そこからやりたいことを探してみてください。

そうすればきっと、自分が本当に夢中になれるものが見つかるはずです。
 
 
 

インタビュアー:アイルーツ+(プラス)編集部 小笠原寛

1999年上智大学 経済学部 経営学科 卒業。
新卒採用責任者他、様々なHR事業経験を積む中で、本音の大切さを実感。
2012年にirootsに参画し、「学生と企業の本音フィッティング」に従事する。
横浜市生まれ、現在は岐阜県関市に在住し、自然と人との対話に耳を傾ける日々。
 

文・編集:アイルーツ+(プラス)編集部 西村恵

2015年にエン・ジャパンの子会社である人材系ベンチャーに中途入社。
2018年にエン・ジャパンに転籍後、新卒スカウトサービス「iroots」の企画として、
ミートアップやメディアの運営、記事のライティング・編集に携わる。
その傍らで現在は芸大に通い、芸術史やデザインについても学び中。