今回お話を伺ったあの• •

大浦 光晴(おおうら・みつはる)
フリービット株式会社/NN技術本部-R&D部

北海道大学工学部環境社会工学科建築都市コース卒。2020年4月にエンジニアとしてフリービット株式会社へ入社。入社1年目から新規事業のプロジェクトマネジメントを担当し、現在はブロックチェーン関連のプロジェクトにエンジニアとして参画。

「本当に医者になりたいんだっけ?」。大学受験を機に、はじめて自分に問いかけた

 
 
―現在の大浦さんのご活躍を紐解くために、まずはルーツについて教えてください。
 
幼い頃から内気な性格で、いつも決まった友人と遊んでいるような子どもでした。

当時好きだったのはサッカーをはじめとしたチームスポーツで、自分に力がなくても、一人一人の強みを補完し合うことで、強い相手に立ち向かっていけるチームスポーツの楽しさを感じていました。

一方で、両親が教育熱心なタイプだったこともあり、小学生の頃から塾に通いはじめ、特に好きだった算数では誰にも負けないほどの成績になっていきました。

両親や祖母の勧めをきっかけに、漠然と「将来医者になろうかな」と思いはじめたのもその頃です。何かきっかけとなる原体験があった訳ではありませんが、人の命に関わるやりがいのある仕事なのかなと思っていました。

中学受験を経て中高一貫校に入ってからも、基本的には勉強に比重を置いた生活を送っていました。成績は上位をキープしていたものの、絶対に勝てないぐらい優秀な人や、自分とはまったく違う価値観を持っている人もいて、周りに刺激を受けながら充実した学生生活を過ごしていました。

そんな自分に転機が訪れたのは、高校時代です。高校から入学してくる生徒もいたことで、生徒数がいっきに7倍になり、自分よりも優秀な人も増えたことからあっという間に順位が落ちてしまい…。

勉強へのモチベーションが下がると同時に、ゲームに熱中するようになってしまいました。幼少期からテレビやゲームを制限されていたので、その反動が一気に来てしまったような感覚です。

それでも「医者になる」というのは当たり前の目標として持っていたのですが、結局医学部への受験にも失敗してしまい…。それをきっかけにはじめて「本当に医者になりたいんだっけ?」と自分自身に問いかけるようになり、浪人生活の中で将来について深く考えるようになりました。

その中で興味を持ったのが、建築領域です。

チームスポーツのように、一人では難しい一つの大きな建物の建設をチームで構築していくことへの憧れや、地図に残る仕事というところに惹かれて、2浪の末に北海道大学の建築学科に進学しました。
 

安藤忠雄氏の熱量に触れ、改めて将来について考えるように

 
 
―大学生活はいかがでしたか。
 
高校時代まで新しいことに積極的にチャレンジした経験がなかったので、大学では自分の殻を破るために120人ほどのよさこいソーランサークルに入りました。

まったくの初心者からのスタートだったのですが、目標とする先輩や自分を支えてくれる仲間に出会い、今までやったことのないチームマネジメントをするスタッフ業にも一歩踏み出して挑戦したことで、得られる経験の大きさを体感しました。

よさこいソーランサークル時代

3年生になってからはサークルを離れ、建築学科での勉強に専念しはじめました。しかし、これがかなり大変で…。

2か月に一度ほど設計課題が出されるのですが、それをこなすために毎日17時間ほど、建築に向き合っていました。考えに考え抜いた成果物を作り上げたく、建築家と何度も壁打ちさせてもらい、プロトタイプを作っては、0から作り直すことを何十回も試行錯誤をしていました。

しかし、プレゼン資料や図面、模型などそれぞれの提出要件に成果物を間に合わせることができず、プレゼン時間の短縮や、評価対象外になったり、未だに夢に見るほどの失敗を数多く経験してきましたが、それを乗り越えてきた経験が今の自分を作ってくれたように思います。

そのぐらい一生懸命建築に向き合っていたので、大学院に進学し、建築を学ぶつもりでいたのですが、学部生のときに参加したインターンをきっかけに変化が訪れました。

私のインターン先は大阪にある安藤忠雄さんの建築事務所だったのですが、70歳を超えてもなお衰えない建築への熱量に圧倒されると同時に、「自分はここまで建築を愛しているのだろうか」と思うようになり…。

他の選択肢も体験した上で、本当に建築業界で生きていきたいのか、腹落ちした状態で最初のキャリアを決めたいと考えたため、大学院への進学を辞退し、さまざまな業界イベントへの参加や、数社のベンチャー企業でのインターンをしながら、大学4年生の2月から就活をはじめました。
 

「この人の元で働きたい」と思えたのはフリービットだけだった

 
 
―就職活動について教えてください。
 
大学では建築しか学んでおらず、他の知識や知見はまったくなかったので、どの業界でどの分野をやりたいのかが決めきれずにいました。

その中でいくつかの業界を見ているうちに、さまざまな産業に参入し、異なるアプローチで各産業に変革を起こしているIT業界に惹かれるようになりました。

その中でも若手のうちからさまざまなチャンスが与えられる企業がいいなと思っていたので、メガベンチャーやスタートアップを見ていくうちに出会ったのが、フリービットでした。

他の企業もいくつか受けていたのですが、選考の中で「この人の元で働きたい」と思える人に出会えたのはフリービットだけでした。

また、領域の垣根なくさまざまな事業にチャレンジしているところや、若手でも挑戦しやすい環境があるところが自分の志向性とマッチしていたので、最終的にはフリービットへの入社を決めました。

エンジニアとして採用いただいたのですが、当時は学習サイトで勉強している程度のレベルだったので、内定をいただいたあとはスタートアップ企業でWeb開発の勉強をさせてもらいながら、技術を磨いていきました。
 

入社1年目から新規事業のプロジェクトマネジメントを担う

 
 
―入社後はどのような業務に携わられているのですか。
 
NN技術本部戦略デザインセンター部というところに、iOSアプリのエンジニアとして配属されました。ただ、メインとしておこなっていたのは新規事業のプロジェクトマネジメントで、コロナ禍の働き方に対応するための全社員向けアプリ開発のプロジェクト進行を任されました。

まさか入社1年目から新規事業のプロジェクトマネジメントを任せていただけるとは思っておらず、右も左もわからない状態だったのですが、社長、エンジニア、デザイナー、人事、法務などとの打ち合わせをおこないながら企画や仕様設計を固めていきました。

自分よりもはるかに経験豊富な方々と一緒に仕事をさせていただく中で実力不足を痛感することもありましたが、その分貴重な経験になりました。無事にリリースされたそのアプリは今でも全社員の方に使っていただいているので、大きなやりがいにもつながっています。

2年目は遠隔医療系サービスの立ち上げのプロジェクトマネジメントを経験し、3年目の現在はブロックチェーン関連のプロジェクトに参加し、学習段階ではあるもののエンジニアとしての経験を積んでいます。

1、2年目はプロジェクトマネジメントの経験を積ませていただいたのですが、やはり自分は、自ら手を動かして、技術を理解した上でものづくりに直接関わりたいという気持ちがあったので、社長に直談判をして異動させていただきました。

経営陣との距離が近く、可能な範囲で社員の志向性に寄り添ったチャレンジをさせてもらえるところもフリービットの魅力の一つだと感じます。
 

興味はいずれ変わるかもしれない。だからこそ、“今”の自分に捉われない選択を

 
 
―今後大浦さんはどのようなキャリアを歩みたいとお考えですか。
 
2度の部署移動を経て現在3つ目の事業に携わらせていただいていますが、専門性の積み上げがまだまだ足りていないことを実感しています。そのため、業務に取り組む傍らで自己研鑽に励み、毎日少しずつでもスキルの積み上げをおこなっていきたいです。

もっと長期的な視点でいうと、自分のアイデンティティとなるような、思い入れのあるサービスを世の中にたくさん生み出していきたいですね。

まずはエンジニアとして自ら手を動かすことを通して、技術を理解しながら、「この技術を使ってどんなことができるのか」ということを知り、サービスを生み出していきたいと思っています。
 
 
―最後に、これからキャリアを考える人に向けたメッセージをお願いします。
 
私が就活をしていたときは、自分がどの分野に進みたいのかまったくわかりませんでしたし、そもそも学生の視野のまま将来を決めてしまっていいのか?と疑問に思っていました。

もし私と同じような悩みを抱えているのであれば、「興味はいずれ変わる」という前提で就職先を選ぶことをおすすめします。

今まで自分が学んできたことだけに捉われず、今興味を持っていることや、今盛り上がっている分野など違う分野にも視野を広げつつ、幅広く活躍のチャンスがある場所をぜひ探してみてください。
 
 
 

インタビュアー:アイルーツ+(プラス)編集部 小笠原寛

1999年上智大学 経済学部 経営学科 卒業。
新卒採用責任者他、様々なHR事業経験を積む中で、本音の大切さを実感。
2012年にirootsに参画し、「学生と企業の本音フィッティング」に従事する。
横浜市生まれ、現在は岐阜県関市に在住し、自然と人との対話に耳を傾ける日々。
 

文・編集:アイルーツ+(プラス)編集部 西村恵

2015年にエン・ジャパンの子会社である人材系ベンチャーに中途入社。
2018年にエン・ジャパンに転籍後、新卒スカウトサービス「iroots」の企画として、
ミートアップやメディアの運営、記事のライティング・編集に携わる。
その傍らで現在は芸大に通い、芸術史やデザインについても学び中。