「これからは一人一人の個性を尊重し、人の可能性を最大化させるための教育が必要だ」。そんな想いを胸に、2023年4月に通信制サポート校「青楓館高等学院」を設立した岡内大晟さん。他校にはない独自の教育方針を打ち出し、全国から注目を集める青楓館高等学院の魅力、そして今回はじめて募集を開始した新卒採用への想いについてお話を伺った。
岡内 大晟 / 青楓館高等学院 代表教育実習にて、「社会のことを何も知らない自分が、何を教えられるんだ」と違和感を抱き、就職の道を選択。PR会社に就職後、400人以上の経営者にインタビューを行う。そこで学校教育の真逆(右向け左)の人材が経済を回し、世の中を作っていることを痛感。「個性教育」の価値に気づく。その後、AO入試の専門塾に転職し、合格率100%の校舎を達成。これらの経験を活かし、青楓館高等学院を藤原と共に創業。
- 徹底した1on1と多彩な進路。独自の強みで、生徒一人一人の個性を開花
- 日本の教育と若者の未来に対する危機感が創立のきっかけに
- さらなる成長を目指し、新卒一期生の採用を開始。海外大学生にも注目
- 10年以内に教育の王道を獲り、日本を世界一の教育大国に
TOPICS
―最初に、青楓館高等学院(以降、青楓館)について教えてください。
青楓館は2023年4月に設立した私立の通信制サポート校です。兵庫県明石市を拠点に、“「右にならえ」の教育に終止符を。”という教育理念を掲げ、一人一人の個性を尊重した教育を目指しています。青楓館では、通常の科目の授業に加え、PBL(Project Based Learning)を中心に取り入れたオリジナルカリキュラムを採用しており、企業との共同商品開発や行政とのイベント企画など、さまざまなプロジェクトを通じて生徒の学びを支援しています。
―青楓館の強みについて教えてください。
強みとしては、進路対策と個別サポートの充実があげられます。進路対策に関しては、総合型選抜入試(旧・AO入試)では日本トップレベルの合格者数・率を誇っており、また通信制高校としては初めての海外50大学との指定校推薦をスタートさせました。通信制高校の数は年々増加していますが、当校ほど進路指導に力を入れている学校はまずないと自負しています。個別サポートに関しては、毎週生徒との1on1をおこなっています。人間関係や生活習慣から、将来はどうなっていきたいのかというキャリアに関する相談まで、個に合わせた支援をおこなっています。このような形で生徒一人一人に向き合い、進路という出口を整えることで「好きなことをしていいんだよ」というメッセージを綺麗事ではなく教育として届けられるのが青楓館の最大の強みです。
―青楓館にはどのような生徒が在籍しているのでしょうか。
さまざまな生徒が在籍していますが、総じて現状に満足していないというのが青楓館への入学のきっかけになっています。不登校や発達障害を抱えている子、全日制高校から転校してくる子など、背景はさまざまです。青楓館では通常科目の授業に加え、生徒一人一人の個性を伸ばす課外活動にも力を注いでいるので、他校で居づらさや物足りなさを感じていた子でも、それまで発揮できていなかった個性や強みを開花させていきます。
ある生徒は、デザインの才能を活かし、高校1年生のときに電車に掲載する広告をデザインしました。高校2年生の現在はインターンとしてVtuberのキャラクターデザインを有料で請け負うなどの仕事をおこなっています。他にも、進学校の高大一貫校から転校してきた生徒が大手人材会社の協力のもと淡路島でコミュニティーカフェを開き、その活動が新聞やニュースで取り上げられるなど、一言では紹介しきれないほど個性豊かで自慢の生徒が青楓館に集っています。
―なぜ青楓館ではここまで生徒の個性を開花させることができるのでしょうか。
一言で言うと、成長する仕組みがあるからです。青楓館では自己分析やゲスト講演、PBLなどの見えやすい支援をおこなっていますが、もっとも大事にしているのは「見えにくい支援」です。自由が土台となる文化から個性を承認する文化まで、科学的実証に基づいた教育支援をおこなっているので、どんな状態であってもきちんと成長・活躍できる仕組みが整っています。このような仕組みは、どうすれば人の可能性を広げられるのかという問いから逆算して作り上げたものです。自分を知る、社会を知る、社会とつながるというステップの必要性に関しては設立前から考えていたのですが、見えにくい支援の部分に関しては、生徒から得られた気づきを通じて必要な支援を一つ一つ言語化していったものです。この骨子が大きく変わることはなくても、生徒から得られた気づきをもとにブラッシュアップを続けていきます。
―PBLや1on1など、独自の取り組みで全国から注目を集めている青楓館ですが、創立に至った経緯や想いについて教えてください。
私はもともと教員を志望していたのですが、教育実習をきっかけに「社会を知らない自分が学生に何を教えられるのだろう」と思うようになり、新卒では就職の道を選びました。しかしいざ社会に出てみると、「右向け右」の学校教育とは真逆の人材が活躍していることに気づき、これからは一人一人の個性を尊重し、人の可能性を最大化させるための教育が必要だと考えるようになりました。
再び教育の道へ進むためにAO入試専門の塾へ転職し、校舎長としてマネジメントや売り上げ管理などの経営に関する知識を身につけながら、合格率100%の実績を出すことができました。しかし、肝心の学校での環境を変えなければ生徒の可能性を広げられないと感じ、同じくAO入試専門の塾で塾長を務めていた藤原に声をかけ、進路指導に特化した通信制サポート校の青楓館を設立しました。
青楓館を設立した背景には、日本の教育と若者の未来に対する危機感があります。コミュニケーション能力や主体性、チャレンジ精神など、新卒時に社会で求められるスキルを今の教育では習う機会がなく、ギャップが生まれています。また、ある調査では、若者が毎月自由に使えるお金は1万円以下、「将来に期待が持てない」と答える割合は70%を占めています。つまり、若者の未来は真っ暗です。こんな現状がありながらも日本の教育は100年以上変わっていない。しかし、私たち教育者には、この真っ暗な未来に生徒を送り出す責任があり、だからこそこの状況を変えなければいけないという使命感から、社会に開かれた教育機関として青楓館を立ち上げました。
―今回初めて新卒採用をはじめられた理由について教えてください。
教育機関としては最先端を目指している自負はあるのですが、まだまだ道半ばですし、もっと成長していきたいと思っています。そして新しい風を吹かせるためには、柔軟な発想を持つ新卒入社の方の力が必要だと考え、新卒採用を開始しました。メディアなどでも報じられている通り、賃金や長時間労働などの問題を起因とした日本の教員不足は深刻な状況になっており、それに伴う教育の質の低下が問題視されています。それによってもっとも被害を被るのは子どもたちであり、彼らの未来が閉ざされてしまうという状況を打破するために、青楓館としては初任給30万円や長時間労働の回避、キャリアを広げていくためのスキルアップなどの取り組みをおこなっています。このような取り組みを通じて、教員をもっと憧れられる職業へと変革し、教育の質の向上を目指しています。
―今回の新卒採用ではどのような方にお会いしたいと考えていますか。
特に重視しているのは、生徒としっかりと向き合うためのコミュニケーション能力と、「できないこと」に対するストレス耐性の高さです。私たちは日本の最先端教育を目指しているので、ITスキルやビジネススキル、教育知識に関して最初から求めているレベルに届くとは考えていません。ただ、できないことに対してストレスを抱え込むのではなく、むしろそれをやりがいとしながら生徒のために成長できる方にお会いしたいと思っています。逆に、教員免許はもちろん、教育に関する知識は現時点でなくても構いません。新卒の方に期待しているのは知識や経験よりも柔軟な発想ですし、入校後には0から人材を育成するためのプログラムもデイリーでご用意しているので、その点はご安心いただければと思います。
―今回の新卒採用では、海外大学で学ばれている方にも注目されていると伺いました。その理由について教えてください。
先ほどもお話しした通り、青楓館では海外50大学との指定校推薦を導入していますが、生徒たちにとって海外大学はまだまだハードルの高い存在です。生徒たちの可能性を最大化するためにそのハードルをどれだけ下げられるかが重要となる中で、実際に海外大学で学ばれていた方の生の声や経験は、生徒たちの選択肢を増やすきっかけになると考えています。また進路指導だけでなく、海外でのプロジェクトも進行しているので、語学力やコミュニケーション能力、各地域に関する知識なども存分に活かしていただけます。
―新卒で入校した際、青楓館ではどのような経験・スキルを得られるのでしょうか。
大きく分けるとPM(プロジェクトマネージャー)としてのスキルと、マネジメントスキルです。例えばPBLにおいて企業や行政との共同プロジェクトを進めていく際には、マーケティングの知識や企業・行政との調整、生徒と大人をつなぐためのネゴシエーションなど、多くの関係者を巻き込んでプロジェクトを進行していくスキルを身につけることができます。加えて、社会人よりもマネジメントが難しい高校生と向き合うことによって、指導力やマネジメントスキルは間違いなく身につきます。相手が社会人なら「お金をもらっているんだから」と言えるかもしれませんが、高校生にはそれが通用しないですからね。このように、高いレベルでのPM経験とマネジメント経験を積むことができれば、どのような企業からも求められ、同時にどこでも活躍できる人材になれると確信しています。
―今後の青楓館の展望について教えてください。
青楓館では、日本の教育の王道を10年以内に獲り、日本を世界一の教育大国にするというミッションを掲げています。冒頭でもお伝えした通り、日本の教育は危機的状況を迎えています。その状況を変えていくために、まずは目先の生徒たち一人一人を救っていく必要があります。さらに今の拠点・規模にとどまらず、全国の学校や教育機関と提携しながら、日本人の可能性を世界に示していきたいです。
―最後に、この記事を読んでいる学生の方へメッセージをお願いします。
日本の若者の未来に対する危機感はみなさん感じられているかと思いますが、それを打破できる唯一の方法が教育だと思っています。そのぐらい可能性のある領域なので、この現状を変えていきたい、一人一人の生徒を救いながら日本全体を盛り上げていきたいという想いに共感していただける方は、ぜひ一度お話をさせてください。