「今、自動車業界には100年に一度の大変革期が訪れています」。本田技研工業(Honda)で新卒採用を担当する小田切さんはそう語る。
今自動車業界で注目されている”CASE”とは?そして、これからのHondaが求めている人材とは?
電子・情報系学生向けに開催されたHonda×iroots限定座談会で、Hondaが見据えるビジョンと求める人材、電子・情報系学生からの質問についてお答えいただいた。

※本コンテンツは、2021年12月に開催された学生向けオンラインイベント【電子・情報系学生向け】Honda×iroots限定座談会の内容から再構成されたものです。

今、自動車業界には100年に一度の大変革期が訪れている

 
 
―まずは小田切さんの自己紹介をお願いいたします。
 
 
本田技研工業株式会社(以下、Honda)の小田切と申します。2015年に新卒入社し、現在は人事部で新卒採用に携わっています。
入社から一貫して人事領域に携わっているのですが、2年前には社内の海外トレーニー制度を利用し、カナダに赴任していた経験もあります。

私自身は文系出身ではあるのですが、この2年間は現場のエンジニアと連携をとりながら800名以上の技術系採用に携わってきましたので、本日はみなさんに技術系の方が活躍できるフィールドや働き方についてしっかりとお伝えできればと思っています。よろしくお願いいたします。
 
 
―Hondaといえば機械系学生の採用というイメージがあるのですが、現在は電子・情報系学生の採用にも注力していると伺いました。その背景について教えてください。
 
 
現在自動車業界では“CASE”というキーワードが注目されており、これらを軸にした「100年に一度の大変革期」の真っ只中にいます。
 

 
スマートフォンをはじめとしたデバイスとの接続、環境や安全に配慮した設計、車を所有することに対する価値観の変化…このように、社会が車に求めるものは大きく変わろうとしているのです。

これらの変化は、今まで車作りに携わってきたエキスパートたちの価値観を大きく超えるものです。言い方は乱暴かもしれませんが、今までの常識を「ぶっ壊して」いかないと自動車メーカーは生き残れない時代になっていると思います。

そのため、これから社会に求められる車作りを行うためには、皆さんのような新しい価値観やセンスを持っている若い世代の力が不可欠だと考えています。

その中でも今後の要となるのは、接続、制御、センサー、位置情報、電動化といった“ソフト面”での技術進化です。
車作りといえば“ハード面”の技術が求められる印象が強いかもしれませんが、皆さんのように電子・情報系という“ソフト面”の知識や技術を持っている方にとっては、むしろ多岐にわたって活躍できる可能性しかありません。

とはいえまだまだ自動車業界についてイメージしにくい…というところもあると思うので、ぜひみなさんが疑問に感じていることについて包み隠さずお答えできればと思います。
 

Q1.自分の研究分野と各職種において求められている知識やスキルが一致していなくても大丈夫?

 
Honda 小田切
確かにあまりにも専門性が異なっていると、その職種においては活躍できるフィールドが限られるかもしれません。
しかし、だからと言って専門性だけで遠慮する必要もありません。

例え自分が持っている知識や技術がニッチな領域であっても、それを逆手にとった提案や強みを発揮できる可能性は大いにあります。
一見自動車作りとは関係のないことも、Hondaが持っている技術とつなげることで新しい自動車が生まれていくと考えているからです。

私自身もそうなのですが、Hondaは生意気なぐらいがちょうどいい会社です。
遠慮がちな人よりも、役に立つか立たないかわからなくても、「これをやってみたいんです!」と主張してくれる人の方が合っていると思います。
みなさんも今まさに色んなことを学ばれていると思うので、それをまずは私たちにぶつけてみてほしいです。
 

Q2.職種別採用で入社した場合でも、あとからキャリアを変えることは可能ですか?

 
Honda 小田切
もちろん可能です。職種別採用はあくまでも初期配属を確約するものなので、入ってみてから「違うかも」と思えば、キャリアチェンジ制度を利用して別のことにチャレンジすることができます。

私もそうだったのですが、自分が何に向いているかなんて実際に働いてみないとわからないと思います。
私の同期にも入社時とはまったく違う分野で活躍している技術系の人もいるので、自分が何に向いていて、何をやりたいのかというのは働きながら見つけていってください。
 

Q3.技術系職種においてもグローバルなフィールドでチャレンジすることは可能ですか?

 
Honda 小田切
活躍できるフィールドは大いにあります。世界中に現地法人がたくさんあるので、出張や駐在という形で働くことができます。
私も自ら手を挙げてカナダに赴任しましたが、エンジニアのみなさんの方がチャレンジできる機会がたくさんあると思います。

現地での働き方としては、実際に手を動かすというよりも、ローカルアソシエイト(現地社員)と技術に関する情報交換や提案を行いながら協業していくというイメージです。

「どうしたら海外に行けるのですか」という質問をいただくことも多いのですが、まずは目の前の仕事に真摯に取り組むこと。
そして、自分のキャリアにおける次のステップとして海外へチャレンジしていただきたいです。

ちなみに私は英語が堪能なわけではありませんでしたが(苦笑)、「海外に行きたいので英語の勉強をしています」と日ごろから上司に伝えていたところ、配属されてから3年目で海外赴任の機会をいただきました。
グローバルなフィールドで活躍したいと考えている方には、ぜひ自ら手を挙げてチャレンジしてもらいたいです。
 

Q4.Hondaで働く人たちのイメージを教えてください。

 
Honda 小田切
企業カラーの赤と同じように、人間味があって熱い人が多いです。
その熱さの表現方法は人それぞれですが、Hondaの採用スローガンでもある「どうなるかじゃない、どうするかだ」という言葉を社員一人一人が体現しています。

みんな何事にも熱く勝ち負けにもこだわるので、社内のスポーツイベントにも全力投球です(笑)。
子どもっぽくて純粋な“熱さ”が根っこにあるからこそ、「商品だけでなく“Honda”という会社が好き」とおっしゃっていただけるファンの方が多いのではないでしょうか。
 

 

Q5.“CASE”について各社自動車メーカーが取り組んでいる中で、差別化しているポイントはなんですか。

 
Honda 小田切
もっとも大きな特徴は、“CASE”のすべての領域においてアプローチができているところです。
他社は”CASE”の中での選択と集中を行なっていますが、変化の激しい時代においては今後何が伸びていくのか誰にもわかりません。

Hondaは新しいことに対する抵抗感が少なく、柔軟でアグレッシブなところが強みです。
この強みを生かしてどの領域においても先手を打って種を撒くことができているのは、他社にはないポイントだと思います。
 

Q6.Hondaの採用において大事にしていることを教えてください。

 
Honda 小田切
学生本人の“本質を見極める”ということを大事にしています。
実は私がHondaに入社を決めたのも、選考の中で“本質を見極める”という姿勢に共感したからなんです。

私が就活時にHondaの面接を受けたとき、いきなり面接官から「申し訳ないけど、あなたが準備してきた自己PRや志望動機を聞くつもりはない。あなたが本当にHondaに興味を持ったきっかけについてそのまま話してほしい」と言われました。
他社ではそんなことを言われたことがなかったので驚きましたし、ありのままの自分をさらけ出してしまって本当に認めてもらえるのか、と不安になりました。
でもそれと同時に、この会社は本当の自分のことを理解しようとしてくれているのだと実感しました。

建前を取り払って本音でぶつかっていくという姿勢は、入社して仕事をする上でも変わらない社風だと感じています。

現在の就活はどうしても“仮面舞踏会”のような雰囲気がありますが、本来は企業も学生もお互いに腹を割って話さなければいけないと思います。
そのためにまずは企業側が自己開示しないと、学生の皆さんも安心して自分をさらけ出せないですよね。

ですので、選考においては良いところも悪いところも含め、Hondaの“リアルな姿”をお伝えしています。
それを踏まえて学生の皆さんに選んでもらいたいですし、私たちにもありのままでぶつかってきてほしいと思っています。
 

学生へのメッセージ

 

 
―最後に、小田切さんからメッセージをお願いします。
 
理系の学生さんとお話しする中で、よく「ニッチな領域についての専門性をどのように活かせばいいかわからない」「胸を張れるほどの研究成果が出なかった」という声をいただくことがあります。しかし、そもそも研究や技術に貴賎(きせん)というものはありません。

社会において何かしらの役に立つからその領域の研究や技術が存在しているのであって、それがマイノリティかマジョリティかということで皆さんが取り組んできたことの価値が決まるわけではありません。
今日のお話を通じて皆さんが自分の専門性に少しでも自信を持ってもらえれば嬉しいです。

その上で、「どうなるかじゃない、どうするかだ」というメッセージに少しでも共感してくれた方は、ご自身が持っている専門性と、“未来においてありたい姿”をぜひ私たちにぶつけてみてください。
 
 
―小田切さん、本日はありがとうございました!
 
 
(編集部コメント)
今回の座談会を通じて、「100年に一度の大変革期において今までの常識をぶっ壊してくれる人を求めている」という熱い想いをHondaの小田切さんにお話しいただきました。
今まで自動車業界をあまり見ていなかった、自分の学んだことが活かせるのかわからないという方も、まずは一度「どうなるかじゃない、どうするかだ」という熱いHondaの想いに触れてみてください。
 
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