グローバルな環境での成長を求める学生の中で、短期的な留学だけでなく“海外大学への進学”という選択肢も増えつつあります。
コロナ禍によって国を跨いだ移動の制限が続くものの、就活がオンライン化したことによって海外大生と日本企業の距離はむしろ縮まったと言えます。“海外大学への進学”という大きな決断をした学生は、どんな理由でその選択肢を選び、何を学び、どこを目指すのか。

今回はハワイとニューヨークの大学で生物学や環境保全について学び、2022年春にコンサル企業へ就職予定の柳澤匠さんにお話を伺いました。

気になる海外での大学生活や就職事情についても本音・ありのままでお話いただいているので、今まさに海外でチャレンジしている人や、これからチャレンジを考えている人はぜひご覧ください。

環境問題に興味を持ったきっかけは、父の単身赴任先で見た火力発電所

 
 
―最初に自己紹介をお願いします。
 
 
柳澤匠です。日本の高校を卒業後、ハワイ大学付属カピオラニ短大に進学し、生物学を専攻していました。短大を卒業後、ニューヨークにあるビンガムトン大学の環境学部に入学し、2021年の秋に卒業しました。

現在は帰国し、2022年の春にコンサル企業へ就職予定です。
 
 
―柳澤さんのルーツについて教えてください。
 
 
父親の仕事の関係で、0歳から5歳まではインドのムンバイで暮らしていました。当時が人生の中で一番英語が上手かったころだと思います(笑)。

帰国した後も父親の単身赴任先であるアジア系の国によく遊びに行っていたので、幼い頃からグローバルな環境には馴染みがありました。

あるとき父親の単身赴任先で日本の火力発電所を見せてもらったことがあったのですが、そこではじめて日本の火力発電技術が海外と比べても非常に高いことを知り、環境問題に興味を持ちました。

また、幼い頃から生物採集が好きだったこともあり、生物の多様性を守るためにも将来は生物学や環境保全について学びたいと考えるようになりました。

幼い頃から今も変わらず生物が好きだという

 

将来は日本の技術力や文化を発信していきたい。だからこそ、“外の世界”で学ぶ必要があった

 
 
―日本の高校を卒業後、海外の大学を選んだ理由について教えてください。
 
海外で見た日本の火力発電所のように、日本の技術力や文化を世界中に発信していく役割を担いたいと思っていたのが大きな理由です。

そのためにはまず海外の技術や文化を知る必要があると思い、海外の大学を選びました。

その中でも、せっかく海外で学ぶのであればまったく環境の異なる国の方がいいだろうと思い、ハワイの大学を選びました。ハワイは自然豊かな環境なので生物学を学ぶのに適していると思いましたし、短大で学費が安かったというのも理由の一つでした。

ハワイで生物学と環境保全について2年間学んだ後、より学びを深めるためにニューヨークにあるビンガムトン大学に編入しました。

自然豊かなハワイで生物学と環境保全について学んだ

 

1日10時間以上勉強、休みの日は少し遠くのマックへ…海外ドラマのような世界とは無縁だった学生生活

 
 
―ハワイとニューヨーク、それぞれの大学生活はいかがでしたか。
 
ハワイでは奨学金を得るために1日10時間以上みっちり勉強していたので、あまりそれ以外のことに時間を割く余裕はありませんでした。

また、ハワイは観光地と居住地で街の雰囲気が大きく異なり、日本人が想像する“アロハ”な場所はごく一部の地域に限られています。観光で行くにはいい場所かもしれませんが、住む場所としては正直あまり馴染めなかった、というのが正直な感想です。

しかし言語や学費の面でハードルが低く、海外生活のスタートダッシュを切る上ではいい場所でしたし、勉強に専念できたからこそビンガムトン大学へ編入することができたので、結果的には満足しています。

ハワイ滞在中の一コマ
 
ビンガムトン大学に編入後は、環境学部で人間の経済活動が与える環境への影響について研究していました。

海外の大学は勉強に専念できるよう大学エリア内で生活が循環できるようになっているので、ハワイほどではないですが勉強中心の大学生活を送っていました。休みの日もドライブがてら少し遠くのマックに行くのがささやかな楽しみだったので、海外ドラマに出てくるような派手なパーティーとは無縁な生活でしたね(苦笑)。

海外といえば華やかなイメージがあるかもしれませんが、真面目に勉強をしている学生の生活は日本も海外もさほど変わらないと思います。
 

最終面接では役員に「アルバイトさせてください!」と直談判

 
 
―就職活動について教えてください。
 
就活を始めたのは2021年のはじめごろで、自分の研究テーマである“環境学”を軸に総合商社、重工業、メーカー、コンサルなど10社ほどの企業にエントリーしました。

研究との兼ね合いで就活に時間を割くのが難しかったので、スカウトサービスやエージェントに登録し、企業を絞って選考を受けたのち、最初に内定をいただいたコンサル企業に入社を決めました。

その企業は環境分野に関わるプロジェクトにも積極的に取り組んでおり、コンサルを通じてさまざまな組織に環境学のアプローチができるところが魅力的でした。少しでも早くその会社の仕事に触れたいと思っていたので、最終面接では役員の方に「アルバイトさせてください!」と直談判したほどです(笑)。

それが叶って、今は内定者アルバイトとしてリサーチ業務などのお手伝いをしています。
 

就活のノウハウ論に煽られて対策ばかりやるよりも、興味のあることにパワーを割いた方がいい

 
 
―コロナ禍での就職活動で不便さや不安を感じたことはありましたか。
 
特になかったですね。選考はすべてオンラインで完結しましたし、「こちらは深夜ですが時差なんて関係ないです!」と、オンラインや海外という環境を味方につけて熱意を伝えるようにしていました。

オンラインだと会社の雰囲気がわかりづらいという意見もありますが、結局会社の雰囲気なんて入社してみないとわからないものなのではないでしょうか。

なので、無理に相手を見極めようとするのではなく、結局は入ってみないとわからないし、もし合わなければ転職すればいいよね、というぐらいの考え方でいいんじゃないかと思います。

それでも不安なのであれば、自分のように内定先でのアルバイトを直談判するのも一つの手です。実際私も内定先でアルバイトをはじめてから会社の雰囲気が掴めるようになってきましたし、スタートダッシュを切ることで少しでも早く入社後の活躍に近づければいいなと思っています。

就活を通じて感じたのは、ネット上に転がっている就活のノウハウ論に振り回される必要はないということです。

僕は就活でインターンに参加したことはありませんでしたが、その代わり自分の研究テーマを深く掘り下げてきたという自負があったので、他の学生に負けていると感じたことは一度もありませんでした。

就活のノウハウ論に煽られて対策ばかりやるよりも、自分ができることや興味のあることを深掘りすることにパワーを割いた方がいいですし、それで落とされたとしても単純に合わなかったというだけで落ち込む必要もないと思います。
 

「何を」「どれぐらい」やったかという自信が、自分を支える大きな力になる

 
 
―最後に、これから海外でチャレンジしたい学生へメッセージをお願いします。
 
大事なのは、“海外に行くかどうか”ではなく、“そこで何をするか”ということです。海外に行ったからと言って何かが劇的に変わるわけでも良くなるわけでもありません。

海外に来ると、「海外の大学に入ったから自分の将来は安泰」と思ったり、逆に海外の優秀な学生と比べて「自分は何もできていない」と思ったりして落ち込むことが往々にしてあります。

でも本当に大事なのは、自分が「何を」「どれぐらい」やったのかということ。

そこに数字的根拠や経験が加わると、環境や周囲に振り回されることなく自信が持てるようになりますし、その自信は自分を支える大きな力になります。

良くも悪くも「海外だから」と気負わず、自分がやりたいことや興味のあることを深掘りしていってほしいです。
 
 
 
 

インタビュアー:アイルーツ+(プラス)編集部 周恬(シュウ テン)

2010年中国で高校卒業後に来日。上智大学卒業後大手小売会社に新卒入社。
社会人3年目にエン・ジャパンに転職。猫とうさぎの三人暮らし。趣味は漫画と映画。最近はピラティスに夢中。
 

文・編集:アイルーツ+(プラス)編集部 西村恵

2015年にエン・ジャパンの子会社である人材系ベンチャーに中途入社。
2018年にエン・ジャパンに転籍後、新卒スカウトサービス「iroots」の企画として、
ミートアップやメディアの運営、記事のライティング・編集に携わる。
趣味は映画鑑賞・美術館めぐり。