今回お話を伺ったあの• •

河村 充起(かわむら・あつき)
アクセンチュア株式会社/テクノロジー コンサルティング本部/デジタルコンサルタント

中学時代に出会った中村哲さんの著書に感銘を受け、京都大学農学部でダムや用水路づくりについて学ぶ。大学院を修了後、アクセンチュアにデジタルコンサルタントとして入社。現在は海外チームと協力しながら、企業のセキュリティ課題の解決に取り組んでいる。

医者でありながらアフガニスタンに用水路を作った中村哲さんに感銘を受けた

 
 
―現在の河村さんのご活躍を紐解くために、まずはルーツについて教えてください。
 
 
幼い頃からみんなをまとめたりサポートしたりするのが好きだったので、学生時代は積極的に学級委員や生徒会委員を務めていました。

一方で負けず嫌いな一面もあったので、小学校からはじめた水泳にも力を注いでいました。周囲の環境に影響されることなく純粋に自分のタイムを追求し、競い合えるところが自分の性格に合っていたんだと思います。

将来を考える上で転機になったのは、中学生時代に出会った中村哲さんの著書でした。
医師としてアフガニスタンに行ったものの、根本的な課題は水環境にあると考え、土木技術について学びながら現地に用水路を作ったという中村さんの活動に感銘を受け、農業やインフラに興味を持ちました。
 

インドネシアの農村地域で、日本の地方創生のヒントを探した

 
 
その後もその想いは変わらず、大学入学後は農学部の地域環境工学科で農村地域でのダムや用水路づくりについて学び、大学4年生からは地方創生をテーマに当時主流だったインバウンド事業についての研究を始めました。

大学4年生の時点で1年だけでは研究期間が足りないだろうと思っていたため、就活はせずにそのまま院へ進学しました。

大学院時代にもっとも印象に残ったのは、インドネシアの農村地域での調査です。

研究で訪れたインドネシアにて

農村地域でありながら海外から観光客がたくさん訪れる、ある村に興味を持ち、その実情を知るために1ヶ月ほど滞在して現地の人と交流しながら調査を行いました。

その村はステークホルダーもユニークで、調査の許可を得るために最初に訪れないといけない場所が村長ではなくシャーマンだったことに驚きました。もともとは日本の農村地域におけるインバウンド事業との比較も兼ねていたのですが、文化があまりにも違うので残念ながら比較にはなりませんでした(苦笑)。

それでも、地域特有の文化を持ちながら閉鎖的にならず、観光客と積極的に交流する村の人々の姿からは多くのことを学びました。

村での生活は驚きの連続だったという
 

「クラウドって何…?」IT未経験でありながら、デジタルコンサルタントとしてアクセンチュアに入社

 
 
―6年間を通じて農業やインフラについて学んでいたところから一転し、デジタルコンサルタントという道を選んだ理由について教えてください。
 
 
医者でありながら用水路の建設に取り組んでいた中村さんのように、一つのスキルだけでなく、かけ算することでより価値を高められるような知識や経験を身につけたいという想いもあったので、大学時代に学んでいた土木分野ではなく、あえて未経験だったIT分野を選びました。

とはいえ当時の私は「クラウドって何…?」というレベルだったので(苦笑)、社員の成長に重点を置いて研修や人材育成に力を注いでいるアクセンチュアを志望しました。

ここであればITの知識がない自分でも成長できる環境が整っていると思いましたし、実際に入社してからは3ヶ月間みっちりと研修を受けました。

研修の中でも「LinuxとかPythonってどういうこと?」とわからないことだらけでしたが、同期と助け合いながら課題をこなしていきました。特に私は関西オフィスの新卒一期生だったので、関西オフィスの同期との結束力は3ヶ月間でかなり深まりました。

わからないことがあっても気軽に相談できる仲間をすぐに作ることができたのは新卒入社ならではのメリットだと思いますし、その関係性は入社3年目の今も変わっていません。
 

インドとフィリピンを繋ぎながら、お客様のセキュリティ課題を解決する

 
 
―入社後はどのような業務に携わられていますか。
 
 
お客様のセキュリティ課題に対するコンサルティングを行っています。アクセンチュア・インドのセキュリティチームから指摘されるセキュリティ課題に対してお客様と相談・交渉を行い、作業が必要な場合にはフィリピンにいる作業者へ依頼を出す…というのが一連の流れです。

1年目のころはセキュリティに関する知識も浅かったですし、インドやフィリピンの英語には独特の訛りがあり、また文化の違いもあるので、間に入って相談や交渉を行う際にはかなり苦労しました。インドチームから期日は年末と言われていたのに、「クリスマスがあるから15日までには仕上げてね!」と連絡が来たときのことは今でも忘れられません(笑)。

それでも海外チームとお客様の間に入って課題をクリアしていくことにはやりがいを感じますし、セキュリティと事業は切っても切り離せない関係なので、お客様の事業を深く理解し、相談しながら折衷案や解決策を考えていくのは楽しいです。
 
 
―アクセンチュアに入社してギャップを感じたことはありますか。
 
 
働いている人の印象はいい意味で大きく変わりました。正直入社前はコンサルの人たちといえば冷たい、ドライ、論理的に詰められるという印象がありましたが、アクセンチュアの人たちは親身に相談に乗ってくれますし、経験や年齢に関わらず意見を言うことが歓迎されるカルチャーがあります。

研究室時代は教授と話す時間をもらうことだけでも一苦労でしたが、アクセンチュアでは壁も根回しの必要もなく役職者の方と意見交換をすることができるので、そこは意外な発見でしたね。
 

専門性の“かけ算”で、自分だけのスキルを身につける

 

―今後、河村さんはどのようなキャリアを歩みたいとお考えですか。
 
 
今はクラウドを中心に扱っていますが、そこで線引きをせずに戦略の立案や提案にも関わっていきたいです。アクセンチュアではプロジェクトの計画フェーズから運用フェーズまでのすべてに携わることができ、さまざまなことにチャレンジできる環境があるので、その環境を十分に生かしていきたいです。

そしていつかは専門性という“点”を線で繋いでいけるように、今はその点を増やしていくことを目標にしています。
 
 
―最後に、これからのキャリアを考える人に向けたメッセージをお願いします。
 
 
今は昔に比べると1つの会社でずっと働き続けるということが少なくなってきています。そのため、これからは「会社内でのゼネラリストになる」ことよりも、「どの世界でも通用するスキルを身につける」ことがより重要になってくると思います。

私がかけ算の知識や経験を身につけるためにあえて専門外のアクセンチュアを選んだように、いくつかの専門性をかけあわせて自分だけのスキルを身につけていくことをおすすめします。
 
 
 

インタビュアー:アイルーツ+(プラス)編集部 小笠原寛

1999年上智大学 経済学部 経営学科 卒業。
新卒採用責任者他、様々なHR事業経験を積む中で、本音の大切さを実感。
2012年にirootsに参画し、「学生と企業の本音フィッティング」に従事する。
横浜市生まれ、現在は岐阜県関市に在住し、自然と人との対話に耳を傾ける日々。
 

文・編集:アイルーツ+(プラス)編集部 西村恵

2015年にエン・ジャパンの子会社である人材系ベンチャーに中途入社。
2018年にエン・ジャパンに転籍後、新卒スカウトサービス「iroots」の企画として、
ミートアップやメディアの運営、記事のライティング・編集に携わる。
趣味は映画鑑賞・美術館めぐり。