グローバルな環境での成長を求める学生の中で、短期的な留学だけでなく“海外大学への進学”という選択肢も増えつつあります。
コロナ禍によって国を跨いだ移動の制限が続くものの、就活がオンライン化したことによって海外大生と日本企業の距離はむしろ縮まったと言えます。“海外大学への進学”という大きな決断をした学生は、どんな理由でその選択肢を選び、何を学び、どこを目指すのか。

今回はマレーシアの大学でビジネスについて学び、2023年春に日本の半導体メーカーへ就職予定の萩原美桜さんにお話を伺いました。

気になる海外での大学生活や就職事情についても本音・ありのままでお話いただいているので、今まさに海外でチャレンジしている人や、これからチャレンジを考えている人はぜひご覧ください。

祖父の仕事を見て、「海外の人と関わる仕事がしたい」と思うように

 
 
―最初に自己紹介をお願いします。
 
 
萩原美桜です。日本の高校を卒業後、マレーシアのサンウェイ大学でマーケティングやファイナンスなどビジネス全般について学んでいます。2022年の夏に卒業予定で、2023年の春からは日本の半導体メーカーに就職予定です。
 
 
―日本の高校を卒業後、海外の大学を選んだ理由について教えてください。
 
 
祖父が日本の製品を海外へ輸出する仕事をしており、それを見て自分も海外の人と関わるビジネスがしたいと思っていたのがきっかけです。小学校で自分の夢を発表するときにも「海外の人と関わる仕事がしたい」と言っていたので、私のルーツとも言えますね。

高校生になってからは英語で演劇を行う英語劇部に所属し、英語を話すことの楽しさを知ったことで、よりその夢が自分の中で現実味を帯びたものになっていきました。

そういう私の姿を見ていた親から「留学という選択肢もあるんじゃない?」と言われ、「その選択肢があるなら絶対挑戦してみたい!」とすぐに海外大学への進学を決めました。

それまでは日本の大学に進学するつもりでいたものの、実はあまりしっくりきていなくて…。でも海外大学という選択肢を提案されたときには自分の中ですごくしっくりきたので、すぐに飛びつきましたね(笑)。
 
 

多民族国家で経済成長まっただ中のマレーシアに魅力を感じた

 
 
―マレーシアの大学を選んだ理由について教えてください。
 
 
金銭的な面で選択肢に上がったというのもあるのですが、一番の決め手はマレーシアが多民族国家であるというところでした。

マレー系、中国系、インド系という異なる人種の人たちが一つの国の中でお互いの文化を尊重しながら暮らしているところに魅力を感じ、単一民族国家の日本で育ってきた自分にとって視野を広げる機会ではないかと思ったんです。

また、サンウェイ大学へ見学に行った際にOBの方からマレーシアはビジネスのスピード感が早いというお話を聞き、経済成長まっただ中の国でビジネスについて学べるところも魅力的だと感じました。

マレーシアに行くまでは留学経験がなく、大学の学部に入学できる英語力が備わっていなかったので、マレーシアに行って1年半はファウンデーションコースという準備コースに通い、その後ビジネススタディーズコースに入学しました。
 

大学のクラスメイトとの一枚
 
 

英語に苦戦し、「次に単位を落としたら退学」という危機に直面

 
 
―マレーシアでの大学生活はいかがでしたか。
 
 
英語が全然できなかったので、日々のコミュニケーションにおいても勉学面においてもかなり苦労しました。

英語がうまく通じず自信をなくして、話すのが怖くなってしまう…という負のスパイラルに入ってしまって、一時期はふさぎこんでいました。だからとって日本人のいるコミュニティには入りたくないというこだわりもあったので、意固地になってしまい…。

今思えばそこまで頑なにならなくても良かったと思うのですが、当時はせっかく留学に来たのだから日本人と過ごすのはもったいないという気持ちが強かったですね。

また、授業も最初の1〜2ヶ月は本当にひどいものでした。一生懸命勉強はしていたもののそれが自分の中に全然落とし込めておらず、単位を落としまくった結果、「次に単位を落としたら退学だよ」と言われてしまい…。

これは本当にやばいと思い、周りに協力を仰ぎながら基礎の基礎から英語の勉強をやり直しました。ちょうどその頃に大学の野球部にマネージャーとして入部していたので、そこで多国籍な友人たちとコミュニケーションがとれたことも大きな助けになりました。

野球部にも日本人の友人はいたのですが、そこにこだわるよりもだれかれ構わずコミュニケーションを取る方が大事だと思うようになり、そこからは一気に英語が話せるようになっていきました。一時期は一方的に塞ぎ込んでしまいましたが、多くの友人に助けてもらって抜け出すことができたので、とても感謝しています。
 

野球部ではマネージャーとしてチームを支えていた
 
大学2年生の1月からは新型コロナウィルスの影響でオンライン授業に切り替わったのですが、オンラインであれば繰り返し授業を聞くことができ、わからない部分も反復することができるので、今では問題なく課題もクリアできるようになりました。

海外大生と聞くと華々しいイメージがあるかもしれませんが、私の学生生活は泥臭い勉強の日々でしたね(笑)。
 
 

キャリアとライフプランの両方を叶えられるところに惹かれ、日本の半導体メーカーへ

 
 
―就職活動について教えてください。
 
 
2021年の5月ぐらいにirootsの記事を新聞で読んだことをきっかけに、「就活やらなきゃ」というスイッチが入りました。

祖父と同じように日本の製品を海外に届ける仕事をしたいと思っていたので、海外での就職はあまり考えていませんでしたね。

海外に日本の技術を届けられる、海外で学んだ自分のスキルを活かせる、そして成長産業であることという3つの軸にもとづいて就活を行い、スカウトをきっかけに接点を持った日本の半導体メーカーと化学メーカーから内定をいただきました。

そして最終的に働き方や住む場所を自由に選べて、キャリアとライフプランの両方を叶えられるという点で半導体メーカーに就職を決めました。入社後は営業として海外の企業に自社の商品をPRできればと思っています。

就活はすべてオンラインでしたが、特別苦労した点などはありませんでしたね。ただ、同じ海外大学の友人の中には「最終面接は対面で」と言われているケースもあったので、帰国するまで内定が決まらないのは心もとないだろうなと思いました。
 
 

生で経験することはすごく大事。コロナ禍であっても、チャンスがあればぜひ挑戦してみて

 
今年の夏に大学を卒業し、来年の春からは半導体メーカーに就職予定
 
―最後に、これから海外でチャレンジしたい学生に向けたメッセージをお願いします。
 
 
生で経験することはすごく大事なので、チャンスがあるならぜひ海外に行ってみてほしいです。

私もコロナ禍で帰国しようか迷った時期もあったのですが、ロックダウンのマレーシアで生活できるのも“今”しかないと思い、とどまりました。生で経験することによって見えてくるものも変わってくるので、興味がある人はコロナ禍に負けずにチャレンジしてみてほしいです。

また、今すでに海外にいるという方は就活を始める前に他の海外大生とつながりを持っておくことをおすすめします。

留学先で日本人と仲良くなることに抵抗感のある方もいるかもしれませんが、私はESの書き方や自己分析の仕方がわからず最初のころにかなり苦戦したので…。海外大生の交流会などに積極的に参加し、同じように海外にいながら日本に就職する仲間を見つけておくと心強いと思います。

当時の私のように頑なにならず、ぜひいろいろな人とコミュニケーションを取りに行ってみてください。
 
 
 
 

インタビュアー:アイルーツ+(プラス)編集部 周恬(シュウ テン)

2010年中国で高校卒業後に来日。上智大学卒業後大手小売会社に新卒入社。
社会人3年目にエン・ジャパンに転職。猫とうさぎの三人暮らし。趣味は漫画と映画。最近はピラティスに夢中。
 

文・編集:アイルーツ+(プラス)編集部 西村恵

2015年にエン・ジャパンの子会社である人材系ベンチャーに中途入社。
2018年にエン・ジャパンに転籍後、新卒スカウトサービス「iroots」の企画として、
ミートアップやメディアの運営、記事のライティング・編集に携わる。
趣味は映画鑑賞・美術館めぐり。