企業研究をする際に、必ずといっていいほど目にする企業の「クチコミ」。気になる内容があっても、なかなか人事には聞きづらい…。そんな人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、入社前には特に実感しにくい「成長・働きがい」や「企業カルチャー」といったクチコミにフォーカスをあて、現場で働く社員の方に「これって本当ですか?」という疑問をぶつけてみました。
(※エン人材教育財団が20代の成長環境がある企業を独自の基準で認定した「エンパワー認定」、キャリア自己選択力を20代から意図的に育成する企業を選定して表彰する「CSA賞」に認定済)
―須田さん、高橋さんどうぞよろしくお願いします。今回は「これって本当?」と気になるクチコミ(※)を3つの観点からピックアップしたので、「YES」「NO」を踏まえながらオイシックス・ラ・大地(以下オイシックス)についてざっくばらんに教えてください。
(※)会社クチコミプラットフォームの『ライトハウス』よりピックアップ
須田・高橋:はい、よろしくお願いします。
―クチコミでは企画から運用までを一貫しておこなうため短期間でスキルが身につきやすいとありますが、これは「YES」「NO」でいうとどちらでしょうか。
須田:これはYESですね。オイシックスでは産地直送や特集担当など、3〜10名で構成されたチームごとに販売戦略を練りながら企画立案をおこなっており、かつチーム全員でそれらに取り組むため、短期間でEC販売スキルが身につく実感があります。
また、クチコミにもある通り、やる気があれば新しいことに挑戦できる環境もあります。現在私は『Oisix eGift(オイシックス イーギフト)』というギフトサービスの 立ち上げとサービス進化を担当しているのですが、知識や経験がなかったにも関わらず、「やりたい!」という熱意でサービス立ち上げを任せてもらいました。
私たちは毎日の食を提供している会社なので、日々色々な企画が並行して動いており、なおかつ新しいものをどんどん提案していくことが求められます。そのため、新入社員であっても打席に立ってバットを振る機会が多く、短期間でPDCAを回しやすい環境があるといえますね。
その代わり一人ひとりの責任が重いので、売上が伸びなければ当然焦りもありますが、一から効果検証をおこないつつ、改善していく過程も含めて成長実感があります。
―「働きがい」という観点から、社会に貢献していると感じる場面について教えてください。
須田:私たちが提供しているのは食材という「点」ではなく、食卓や健康、ライフスタイルといった「面」だと捉えているので、サービス提供を通じて現代社会が抱えるさまざまな課題にアプローチできている実感があります。
また、オイシックスはお客さまの声をとても大切にしている会社なので、直接お客様にサービスについてヒアリングをさせていただく機会も多いんです。
例えば私の担当領域でいうと、ギフトサービスを立ち上げる前は「オイシックスを本当にいいと思っているが、友人や家族にうまくおすすめする方法がない」というようなお声をよくいただいていたのですが、自分でサービスを立ち上げたことによって、ダイレクトにお客さまのご要望にお応えできている実感があります。
ECサイトでありながらお客さまのリアルなご意見を聞く機会がたくさんあるので、貢献実感は得られやすい環境だと思います。―ありがとうございます。次は入社時に気になる教育・研修制度について教えてください。2018年に投稿されたクチコミを見ると、なかなか厳しい意見がありますが…。
教育・研修「制度」はないに等しい。基本的にはOJTですべてのことを覚えなければいけない。また、上司や先輩が教えるのではなく、個人が勝手に覚えるべきだ、という考え方があるように感じた。(クチコミ投稿日:2018年)
―このクチコミについては、どのように受け止められていますか。
高橋:研修やオンボーディングについては私が担当しているので、お答えします。
現在は新入社員向け研修、ロジカルシンキング講座などの全社員向け研修、マーケティング講座などの選抜メンバー向け研修を実施しており、全社員向けのデータリテラシー講座も今後リリース予定です。
過去には研修制度が整っていない時期もありましたが、経営統合をした2018年頃から変わり始め、以前は1日だった新入社員向け研修も現在は4日間の研修になり、立ち上がりをサポートする「SuppORD制度」も始まって、新入社員のみなさんがスムーズに仕事をスタートできるようになっています。
口コミにあげられているロジカルシンキング講座は全10回の講座と中間テスト、最終テストを実施するのですが、かなり難易度が高いため初回のテストで合格する人は半分程度です。ただその分効果は高く、ロジカルシンキングが全社員の共通言語になり、問題解決力の向上に繋がっています。
須田:私も初回で合格できなかったうちの一人です(苦笑)。研修を受けるまではロジカルシンキングというものにあまり触れたことがなかったのですが、研修を通じて課題を構造化して考えるという癖がつきました。
それによって、ポッとでたアイデアではなくロジックに基づいた精度の高い打ち手を打とうという意識が身に付きました。
食材を扱っている当社ではスピード感のある効果検証が求められるので、考え方の土台として全社員がロジカルシンキングを学んでおくことにはとても意義があると思います。高橋:このように、以前に比べると必要な研修制度は整っていますが、だからといってすごく研修制度の充実にこだわっているというわけではありません。
私たちはなによりも現場での実践を通じた成長を重視しているので、メンバーがチャレンジできる環境を整えていくことに、より注力していきたいと考えています。―ありがとうございます。3つめは、入社後のミスマッチを考えるうえで特に大切な「企業カルチャー」についての質問です。
―上記のクチコミについて「YES」「NO」と、社内やメンバー同士の雰囲気について教えてください。
須田:これはYESですね。特に「常に攻める姿勢なので、安定を求めると厳しい。変化しないと負け」というのは本当にその通りです。
私は入社した当初、すごく成長したいと思っていたので、(代表の)高島に「どうしたら成長できますか?」と聞いたことがあったのですが、「自分のためにやっていても成長しない。事業に向き合い、コミットできたときに結果として成長するものなんだよ」と言われたことがとても印象に残っています。
成長意欲が高いメンバーは多いですが、それはあくまでもお客さまのためであって、自分の成長が第一ではないという基本スタンスは共通していると思います。
社内やメンバー同士の雰囲気はフラットで、仲の良い先輩後輩という関係です。会社側も経営陣を含めたメンバー同士のコミュニケーションを推奨しており、コロナ禍以前は代表や役員を含めて飲む『社内BAR』や、社員が好きなテーマを立ち上げて集まる『ORDトーク』などが定期的に開催されていました。
コロナ禍になってからはオフラインでのコミュニケーション機会が減ってしまいましたが、オンラインで毎朝朝礼をしたり、情報共有の場を意識的に増やしたりという工夫をおこなっています。こんな状況だからといって消極的になるのではなく、こんな状況だからこそ自分たちで雰囲気を作っていこうというメンバーが多いですね。
―クチコミを踏まえて、オイシックスのカルチャーに合う人・逆に合わないかもという人の特徴について教えてください。
高橋:オンボーディングの観点から見ると、変化の多い環境でも最後までやりきれる人は特に活躍している印象があります。自然を相手にしているビジネスなので、突発的な対応が非常に多いのですが、その中で迷って足を止めてしまうのではなく、走りながらPDCAを回してやりきれる人は強いと思います。
須田:私も高橋の意見に共感します。また先ほども触れたように、早く成長して早く稼げるようになって…というふうに、自分のことが第一という人には合わない環境かもしれません。あとは会社全体で攻めの姿勢を大事にしているので、自らルールを作っていく人の方がより合っているかと思います。
―最後に、キャリアを考える学生に向けたメッセージをお願いします。
須田:私のときもそうでしたが、世の中には魅力的な会社がたくさんあるので、おそらくみなさんも自分にとって何が正しい選択なのかと悩むかと思います。その中で最後の決め手になるのが“自分軸”なので、まずはそれを追求し、大事にしてほしいです。
私の場合は、「自分が関わった商品やサービスを家族や友人に自信をもってすすめられるか」ということを軸にしていたので、最終的にオイシックスを選びました。
キャリアを決めるときには不安や迷いがつきものだと思いますが、頭で考えるのと実際にやってみることではまた違った発見があります。まずは“自分軸”に従って、新しい世界へ飛び込んでみてください。