企業研究をする際に、必ずといっていいほど目にする企業の「クチコミ」。気になる内容があっても、なかなか人事には聞きづらい…。そんな人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、入社前には特に実感しにくい「成長・働きがい」や「企業カルチャー」といったクチコミにフォーカスをあて、現場で働く社員の方に「これって本当ですか?」という疑問をぶつけてみました。

株式会社ボーダレス・ジャパン
「ソーシャル・ビジネスで世界を変える」ことを目指し、社会起業家が集うプラットフォームカンパニーとして2007年設立。現在、貧困・環境問題など社会問題の壁を超える47の事業を世界16ヶ国で展開中。2021年度の売上高は65億円を超える。(※エン人材教育財団が20代の成長環境がある企業を独自の基準で認定した「エンパワー認定」に認定済)

 

【疑問に答えてくれた人】

(左)ハチドリソーラー株式会社(ボーダレスグループ) 代表取締役社長 池田 将太さん
大学時代に国際協力と出会い、大洋州の島国ミクロネシア連邦へボランティアで訪問。
そこで島国であるミクロネシアや日本における『資源を消費し続けるエネルギー問題』に強い課題感を持ち、起業家採用でボーダレス・ジャパンに入社後半年で太陽光発電サービス「ハチドリソーラー」を設立。

(右)株式会社ボーダレス・ジャパン 人事 日野 美久さん
学生時代にフィリピンでストリートチルドレンに出会ったことをきっかけに貧困問題に関心を持ち、ボランティア活動を続ける。貧困の根本的な解決方法を考える中で知ったボーダレス・ジャパンの考えに共感してエントリー。入社して起業家と共に働く中で、自分はリーダーとして事業を引っ張っていくよりも、リーダーを支える方がやりがいを感じ、自分の強みも生かせると気づき、起業家コースからスペシャリストコースへと転換。広報を経て、現在は採用を担当。

20代の成長環境は?成長・働きがいについてのクチコミ

 
―池田さん、日野さんどうぞよろしくお願いします。今回は「これって本当?」と気になるクチコミ(※)を3つの観点からピックアップしたので、「YES」「NO」を踏まえながらボーダレス・ジャパンについてざっくばらんに教えてください。
(※)会社クチコミプラットフォームの『ライトハウス』よりピックアップ

日野:よろしくお願いします。先に補足させていただくと、ボーダレスグループには大きく3つの採用があります。まず、池田のような事業立ち上げを目指す方を対象にした「起業家採用」。次に事業を支えるスタートアップスタジオ・バックアップスタジオで働く方を対象とした「スペシャリスト採用」。そして、独立したボーダレス・グループの会社がそれぞれでおこなっている「各社採用」があります。

クチコミを見ると、それぞれの立場から見た意見や経験が混ざっているので、学生さんからすると少しわかりづらい部分があるかもしれませんが、今回は基本的に「起業家採用」としてジョインした池田からお話をさせていただきますね。

池田:よろしくお願いします。

①成長・働きがいについてのクチコミ
本気で社会問題解決を目指す人が集まるっている会社です。会社としての軸がブレないため、社会貢献を仕事にしたい人にはこれ以上ない環境だと思います。一方で、その想いが無ければ、グループとしてはスタートアップの集まりなのでしんどいと感じるかもしれません。(クチコミ投稿日:2021年)

 
―社会貢献を仕事にしたい人にはこれ以上ない環境という一方で、想いがなければしんどいというクチコミが寄せられています。これは「YES」「NO」でいうとどちらでしょうか。

池田おおかたYESです。私は「起業家採用」という枠でボーダレス・ジャパンにジョインしたのですが、これは解決したい社会課題を持っている人が社内で新規事業を立ち上げ、その後グループ会社としての独立を目指すというものです。

なので、本気で社会課題の解決を仕事にしたい人たちが集まっているというのはまさにそうです。

一方で、「起業したい想いがなければ居場所がなくなる」というわけではなく、それ以外にもさまざまな選択を自分ですることができるので、中にいる人間としてはクチコミに書かれているしんどさというのはあまりピンと来ないですね。

―21卒の池田さんはすでに独立し、現在ハチドリソーラー株式会社の代表を務められているとのことですが、働きがいを感じる場面やつらかった場面について教えてください。

池田:働きがいを感じることは、やはり自分の事業に共感し、価値を感じてくれるお客様に出会えたときです。

私は日本の自然エネルギー自給率の低さや地球温暖化を解決するために初期費用無料でソーラーパネルを設置するという事業をおこなっているのですが、ソーラーパネルを設置する家が10世帯集まれば発電所ひとつ分ぐらいの電気をつくることができるので、共感してくださるお客様が増えるとダイレクトに数字に反映されるので、何のためにこの事業をおこなっているのかというのを毎日実感できます。

ポジティブな性格なのでつらいと思ったことはないのですが、苦労したのは立ち上げた事業を1から10にしていく過程ですね。0から事業を立ち上げるももちろん大変なのですが、まったく経験がない中でマーケティングやプロモーションなどを手探りでおこない、考案から実装までをおこなう過程に一番難しさを感じましたね。

ぶっちゃけどんな雰囲気?企業カルチャー・組織体制についてのクチコミ

 
―企業カルチャー・組織体制についても、ボーダレス・ジャパンさんらしいクチコミが寄せられています。

②企業カルチャー・組織体制ついてのクチコミ
かなりカルチャー重視だと思う。ソーシャルビジネスをやっているだけあり、志ややりたいことが明確な人が多く、志向が似ているため組織としてのまとまりはかなり強い。合わない人にはしんどいかも。あとは、論理派より行動派が評価される。声を上げて行動しないと評価されない。基本的に悪い人はいない。会社のことが好きな人ばかりなので、職場の愚痴や不満を言える相手は意外といない。(話すと、かなり真剣に聞いてくれて、話すこちらがしんどくなってくることもある)(クチコミ投稿日:2020年)

 

―上記のクチコミについて、「YES」「NO」でいうとどちらでしょうか。

池田:これもおおかたYESですね。当社では、環境に配慮する「エコファースト」、メンバー同士が家族のように助け合う「ファミリーワーク」、社会にとって良いことを考え、新しいことに挑戦する「Something New」という3つの考え方をボーダレスイズムと呼んでいます。これはボーダレスグループ全社に共通している思想です。

職場の愚痴に関しては周りで聞いたことがなかったので、逆に言いたい人もいるんだと少し驚きました。ただ、このクチコミにもある通り、真剣に話を聞いてくれるというのは間違いないです。少しでも相談をするとすぐにPCを畳んで向き合ってくれますし、食事の場でもそれは同じですね。

逆にクチコミと違うなと思うところは、論理派より行動派が評価されるという部分ですね。私たち一人ひとりの評価するのは外にいるお客様なので、そもそも社内の評価はそこまで気にしたことはありません。なので、人物タイプによって社内の評価が異なるということもないと思います。

―上記のクチコミを踏まえつつ、貴社に合う人、合わないと思う人の特徴について教えてください。

池田:起業家採用の場合は、明確に解決したい社会課題があり、それに対して強い志を持っている人が合っていると思います。

逆に合わないと思うのは「手っ取り早く稼ぎたい」という人でしょうか。単に自分の会社を持ちたいなどと考える人も、最初から一人で起業することをおすすめします。

あとは、手取り足取り教えてほしい、研修で育ててほしいという人よりは、自分の足で立って自分から色んな人に学びを吸収しに行ける人が合っていると思います。

ベンチャーは残業が多い?働き方についてのクチコミ

 
―ありがとうございます。次に、学生さんがなかなか聞きづらい「働き方」についてのクチコミも寄せられています。

③働き方ついてのクチコミ
基本的に残業は推奨されない。仕事内容にもよるが、定時に帰れる。が、趣味を仕事にしているワークアズライフな人が多いので、人次第では残っている。(とはいえ、そうではないひとが帰ることに罪悪感を覚える職場では全くない)(クチコミ投稿日:2020年)

休日出勤や目立った残業はない印象。事業によって繁忙期は異なるため、時期によっては遅い時間まで残業している事業もあったが、人手不足の場合は他事業のメンバーがサポートして助け合っていた。(クチコミ投稿日:2020年)

 

―上記のクチコミについて、「YES」「NO」でいうとどちらでしょうか。

池田:これは完全にYESですね。基本的に残業はだめという姿勢なので、定時に帰りにくいという雰囲気はありません。

ただ、クチコミにもある通り、事業立ち上げ期においては定時に帰るよりも1秒でも早く事業を立ち上げることを考えていたので、誰かにやれと言われなくても昼夜問わずがむしゃらに働いていました。

しかし、最近は事業が立ち上がり仲間も増えてきたので、創業期に比べるとゆるやかな働き方に変わっていっています。マンパワーを削ってがむしゃらに働くというのは一生できるわけではないですし、色んなメンバーが新しい仲間としてジョインしてくれるので、持続可能な事業を作り込んでいくことも私たち起業家の責任だと考えています。

日野:当社が残業を推奨していない背景としては、インプットや自己内省などクリエイティブなことに時間を使うことが個人や会社の成長に繋がると考えているためです。また、社会を良くするにはまず一番身近な家族を大切にしようという考えをもっているので、その観点からも残業は推奨していません。

―人手不足の場合は他事業のメンバーが手伝うというのもよくあることなんでしょうか。

池田:そうですね。私も過去に別のグループ会社の出荷作業を手伝ったことがあります。といっても強制力があるものではなく、ヘルプの呼びかけに対して参加できる人が任意で名乗り上げて行くというものです。アルバイト代や昼食などの支給はありますが、それを求めて参加するというのではなく、持ちつ持たれつだよねという考え方です。起業家は孤独だとよく言われますが、独立しても孤立しないのが当社の良さですね。

気になるけど聞きづらい…年収・給与についてのクチコミ

―もう1点、こちらも学生さんが聞きづらい「年収・給与」のクチコミについて、疑問の意見が寄せられています。

③年収・給与についてのクチコミ
四半期に一度面談がある。が、評価についてはあいまいで、どうしてその給与額になるのかは最後まで分からずだった(クチコミ投稿日:2020年)

 

―このクチコミが投稿されたと推測される原因や背景について教えてください。

日野:池田のような起業家は自分で自分の給与を決めるので、このクチコミを書かれた方は各グループ会社の社員の方かと思います。また前提として、面談シートなどのツールは全社共通ですが給与の決め方は各社で異なります。

ここで疑問の声があげられている通り、面談をした社長からなぜその給与額になるのかについての説明が不足していたのかもしれません。こうした声をきっかけに仕組みや制度の見直しにつながったこともあるので、今後もよりよい形を追究していきたいと思います。

池田:メンバーの給与に関してはグループ会社ごとに制度も異なるのですが、私個人としてはメンバーの給与を私だけで決める必要もないと思っています。給与に対する納得感はすごく大事なので、一方的に決められるのではなく、自分で提案して決めるぐらい自由なものでもいいんじゃないかと構想しています。

―最後に、キャリアを考える学生に向けたメッセージをお願いします。

池田:ぜひ「何のために働くのか」という問いを持ってください。その答えがないまま面接で思ってもいないことを言って合否に一喜一憂し、そのまま就職して違和感を感じてすぐに辞めてしまう…というのはもったいないですよね。

すでに就職先が決まっている人も、少しでもモヤモヤした気持ちがある場合は自分の気持ちにウソをつかず、そこで何のために働くのかを考えてみてください。

その上で社会課題を解決したいという志を持った人は、ぜひボーダレスへ。みなさんの挑戦を待っています!