今回お話を伺ったあの• •

大成一聖(おおなる・いっせい)
ブラザー工業株式会社/マシナリー事業産業機器営業部/国内営業グループ

神戸大学経営学部を卒業後、2020年にブラザー工業へ入社。産業機器営業部に配属後、工作機械の国内営業として大阪営業所で活躍しながら、コロナ禍での訪問営業の課題を解決するためにYouTubeを活用したデジタルマーケティングプロジェクトのリーダーも務めている。

周囲の期待に応えるべく、勉強と部活に打ち込んだ中学時代

 
 
―現在の大成さんのご活躍を紐解くために、まずはルーツについて教えてください。
 
 
活発というよりは大人しい性格で、親や先生の言うことをよく聞く真面目なタイプでした。私が生まれ育った東大阪はモノづくりが盛んな中小企業の街で、両親も町工場で働いていたことから、子どもながらに将来は自分も工場で働く人になるのかなと思っていました。

中学では友人に誘われて陸上部に入ったのですが、かなり厳しい部活で…。大阪府の駅伝で入賞するほどの強豪校だったので、365日休みなく練習するほどでした。

一方で高校受験を見据えて塾にも通っていたので、夕方まで部活をして、そのあと22時まで勉強をして…という忙しい日々でしたが、陸上も勉強も目標から逆算してこつこつと努力するのは自分の性に合っていましたし、周囲からの期待をプレッシャーに感じつつも、それに応えたいという気持ちが強かったです。
 

“優等生”から一転、燃え尽き症候群に…

 
 
ただ、受験期に頑張り過ぎてしまったのか、志望校に受かってからは燃え尽き症候群のようになってしまいました…。高校に入学した途端、中学時代の時間を取り戻すように毎日友人と遊び、勉強も部活も中途半端になっていきました。

やがて受験期になると一緒に遊んでいた友人たちも受験モードに入りはじめたのですが、私はなかなか切り替えることができず…。自分だけ取り残されたような、もやもやした気持ちを抱えていました。

ただ、そんなときでも友人や先生たちがいつも自分を気にかけてくれたので、一人で黙々と努力していた中学時代よりも周りの人のありがたさに気付かされることが多かったです。

そのあと徐々に勉強をはじめましたが、遅れを取り返すことができず浪人という選択肢を選びました。

浪人生活がはじまってからは「親に浪人させてもらったからには絶対に結果を出さないといけない」と思うようになり、一気に意識を切り替え、中学時代のように目標から逆算してこつこつと勉強に取り組みました。

すると徐々に成績が上がり、親や予備校の先生からも「もしかしたら志望校に受かるんじゃないか」と期待をかけてもらえるようになり、最終的には第一志望だった神戸大学合格という形でそれに応えることができました。

そのときに、やはり自分は周りから期待されたり頼られたりすることがエンジンになるんだなと学びました。
 

一社一社に向き合いたい。エントリーした会社はたったの6社

 
 
―大学生活はいかがでしたか。
 
 
大学時代は幅広い年代の方とコミュニケーションをとる機会が多かったです。

ジムのインストラクターのアルバイトでは、老若男女のお客様と長いお付き合いをすることが多かったので、お客さまがハマっていることや家族の様子など、些細な会話を覚えておき、次にお会いしたときにさりげなく話題を引き出すようにしていました。

また、所属していたフィールドホッケー部ではOBの方々から寄付を募っていたのですが、その際には単に「頑張るので寄付金をお願いします」というのではなく、必ず一つは話のネタを持っていき、気持ちよく応援していただけるように心がけていました。

そういった経験の積み重ねの中で、自分は案外人と話すことが好きで、交渉も得意なのではないかと思うようになっていきました。
 
 
―就職活動について教えてください。
 
 
就活を意識しはじめたのは大学3年生の秋頃でした。アルバイトや部活の経験からいろいろな人と話をする仕事がしたいなと思っていたので、営業職を視野にさまざまな業界の説明会に参加しました。

ただ、あまり多くの企業にエントリーをしても一社一社を深く知ることはできないし、自分自身も選考に集中しきれないだろうと思ったので、①成長できる ②さまざまな人と関われる ③一緒に働く人の雰囲気が自分に合っているという3つの軸に注目して企業を厳選し、結果的にメーカーを中心に6社のみにエントリーしました。

その6社の中にブラザー工業も入っていたのですが、ブラザー工業は特に人事部の採用担当者や現場社員がざっくばらんに等身大で話をしていて、最初から好感を持っていました。

そのような会社の雰囲気に加えて、若手から大きな仕事を任せてもらえる環境や、成長が期待されている業界における提案型営業の仕事があることにも魅力を感じていたので、いくつか内定をいただいた中で最終的にはブラザー工業を選びました。
 

周囲のサポートを借りて、文系でありながら工作機械の提案営業に

 
 
―入社後はどのような業務に携わられているのですか。
 
 
入社後は希望通り、産業機器営業部の国内営業グループに配属されました。

一年目は愛知県(刈谷市)にある事業所で先輩社員の営業同行や工場でのライン研修を経験しながら、プログラミングなどについてもじっくり学び、二年目からは東大阪にある営業所に配属されました。

現在は入社三年目になりますが、自分が生まれ育った街で中小企業のお客様を中心に提案営業をおこなっています。

工作機械は売って終わりではなく、お客様が加工してはじめて完成するため、お客様が求めている加工ができるかどうかを図面と睨めっこしながら考える必要があります。文系の自分は図面を見ること自体がはじめてだったので、やはり戸惑うことも多かったです。

しかし、周りの上司や先輩方がとても熱心にサポートしてくださったおかげで、モチベーション高く学ぶことができました。

入社一年目から展示会にも参加

YouTubeを活用し、町工場への“オンライン提案”を実現

 
 
現在は町工場のお客様に対して工作機械の導入を提案しています。大学時代に経験したことを活かして、アポイントの際には必ず一つはお客様が知りたいネタを仕入れていくように工夫し、会話を引き出しながら提案をおこなうようにしています。

また、コロナ禍になってからはお客様のところへ訪問することが難しくなってしまったのですが、お客様の中にはオンラインミーティングに馴染みのない方もいらっしゃるので、YouTubeを活用して機械の説明をおこなうという新たな取り組みをはじめました。

会社で撮影用の機材を購入し、撮影や編集などは私を含む若手チームですべておこなっています。営業所でこのような取り組みをおこなうのは会社としてはじめてのことだったようです。こういった新しいチャレンジを会社全体で後押ししてくれることはとてもありがたいですね。

工作機械は電気自動車や半導体の需要増加によって今後ますます市場の拡大が見込めるため、会社も成長領域と位置付けています。先ほどのYouTubeを活用した取り組みに限らず、若手のうちからさまざまなことにチャレンジさせてもらえるので、自分自身が会社と一緒に成長している実感があり、職場環境に恵まれていると感じます。
 

いろいろな経験の中から、自分が一番輝ける場所を探そう

 
 
―今後大成さんはどのようなキャリアを歩みたいとお考えですか。
 
 
「ブラザー工業の大成だから買う」と言って頂けるお客様を増やせるように、成長していきたいです。学生時代もそうでしたが、やはり自分は誰かに期待されたり頼られたりすることに大きなやりがいを感じるので、社内外問わず多くの人の期待に応えてきたいというのは変わらない想いですね。
 
 
―最後に、これからキャリアを考える人に向けたメッセージをお願いします。
 
 
就職先を選ぶときには、自分らしく働ける環境・自分が輝ける環境はどこか、という視点を大事にして欲しいです。

私は大学受験やアルバイトの経験を通じて、周囲の期待に応え、「ありがとう」と言われる瞬間に自分が一番輝いていると気付くことが出来ました。

同じように皆さんにも自分が一番輝ける場所を見つけてほしいです。そのためにも、まずは色んな人に会って、色んな経験をしてみるのが良いのではないでしょうか。
 
 
 

インタビュアー:アイルーツ+(プラス)編集部 小笠原寛

1999年上智大学 経済学部 経営学科 卒業。
新卒採用責任者他、様々なHR事業経験を積む中で、本音の大切さを実感。
2012年にirootsに参画し、「学生と企業の本音フィッティング」に従事する。
横浜市生まれ、現在は岐阜県関市に在住し、自然と人との対話に耳を傾ける日々。
 

文・編集:アイルーツ+(プラス)編集部 西村恵

2015年にエン・ジャパンの子会社である人材系ベンチャーに中途入社。
2018年にエン・ジャパンに転籍後、新卒スカウトサービス「iroots」の企画として、
ミートアップやメディアの運営、記事のライティング・編集に携わる。
その傍らで現在は芸大に通い、芸術史やデザインについても学び中。