今回お話を伺ったあの• •

加藤みどり(かとう・みどり)
共同印刷株式会社/技術開発本部/容器開発部

国公立大学の工学部を卒業後、インターンをきっかけに共同印刷株式会社へ入社。技術開発本部に配属後、基礎開発を経て医薬品の包装材の開発リーダーを担当。その後も幅広い製品の開発に携わり、3人の子育てと両立をしている。

個性豊かな友人に囲まれ、内弁慶だった自分から卒業できた

 
 
―現在の加藤さんのご活躍を紐解くために、まずはルーツについて教えてください。
 
幼少期はすごく人見知りで、内弁慶な性格でした。家の中ではマイペースに過ごしていても、外に出ると全然人と話せず…。いつも母親に隠れているような子どもでしたね。

当時は運動が苦手だったということもあり、毎日児童館に通い端から端までひたすら本を読んでいました。特に好きだったのが花や英語の辞典で、言葉の意味が理解できなくとも、毎日夢中で眺めていました。

そんな自分に転機が訪れたのは、高校生のときでした。文化祭の華やかさと文武両道の校風に憧れて入学した女子校は、個性豊かな人たちの集まりで、“目立つ”という概念すらないような環境でした。

それまでは周りの人にどう思われるのかをとても気にしていたのですが、高校に入ってからは少しずつ自分を出せるようになり、内と外でのギャップもなくなっていきました

英語部と茶道部に所属し、日本と海外それぞれの文化について学んだり、クラス委員として文化祭を盛り上げたり、体育祭で応援団を務めたり…今振り返ると、とても高校生らしい青春時代を送っていたなと感じます。今でも続く友人関係に恵まれたのも、自分にとって大きな財産になりました。
 

公務員試験で「自分はここに馴染める気がしない」と直感

 
 
高校3年生の頃から徐々に将来について考えはじめ、「人の役に立つ仕事がしたい」という気持ちから看護師に憧れていました。しかし、生物と化学のコースを選択した結果、解剖実習で貧血を起こしてしまい…。

それであればせめて薬剤師として医療に関わりたいと思い、一浪して薬学部を目指すものの、それも叶わず…。結局、地元にある国公立の工学部へ進学しました。
 
―大学生活はいかがでしたか。
 
せっかく浪人させてもらったのに受験に失敗してしまったという気持ちが大きかったので、せめて将来は親に安心してもらえる仕事に就こうと、大学1年生から国家公務員の勉強をはじめました。

大学2年生でも勉強を続け、大学3年生の春はじめて試験を受けたのですが、試験会場で他の受験生の方を見て、「この雰囲気に馴染んで働く自分が想像できない」という不安に襲われたんです。

どの受験生もすごく優秀そうで…仮に試験がうまくいったとしても、自分らしく働けないのではと直感的に思いました。

それをきっかけに改めて自分の将来について考えるようになり、公務員試験の勉強は続けながらも民間企業にも目を向けるようになりました。
 

入社の決め手になったのは、“個”を尊重してくれる安心感

 
 
―就職活動はいかがでしたか。
 
大学3年生の夏に、先生から企業のインターンに参加してみたらというアドバイスをいただき、紹介されたのが共同印刷でした。

2週間のインターンは共同印刷としてもおそらくはじめての取り組みで、インターン用に用意されたコンテンツがあるわけではなく、基本的には現場の仕事を体験するという内容でした。

そのときに印象的だったのは、社員の皆さんが楽しみながらお仕事をされていたことです。

社員の方からも「仕事は人生において長い時間を費やすものだから、楽しめるものを選んだ方がいい」という言葉をかけていただき、「毎日ここに来たい」と思える視点も職場を選ぶ重要なポイントだと感じました。

その後、大学3年生の秋頃から本格的に就活がスタートし、医薬品系や化学メーカーからも内定をいただいたものの、どうしてもその会社に入った自分のイメージが持てず…。結局一番安心感を持てたのが、インターンに参加した共同印刷でした。

就職の面接では同じような質問を何社からも受けます。同じ質問をされても各社それぞれ受ける印象がまったく違いましたが、共同印刷の対応は“個”をすごく尊重してくださっていることが伝わってきました

目指していた医療業界に携わりたいという想いはあったものの、自分は共同印刷の雰囲気が合いそうだという直感に従い、入社を決めました。
 

20代は新領域の開発リーダー、30代は子育てとの両立に奮闘

 
 
―入社後はどのような業務に携わられているのですか。
 
入社後は技術開発本部に配属され、フィルムやインキなど基礎開発の分野について知見や加工技術を深めた後、立ち上がったばかりの産業資材部門へ異動し、8年ほど医薬品の包装材の開発を担当しました。

学生時代に医療関係の仕事に携わりたいと思っていたので、それが思わぬ形で叶ったことはとても嬉しかったです。

また、工場を建てて設備を導入するという立ち上げフェーズから、受注が決まり商品を市場にリリースしてだれかの役に立つという拡大フェーズまでを開発リーダーとして経験できたことも、自分のキャリアにとって大きな糧になりました。

初めてのことばかりでしたが、社内外多くの方に助けてもらい成長することができました。改めて、共に働く人たちとの相性の重要性を感じました

当社は営業、管理、開発研究部門などが本社に集まっているので、他の部門ともコミュニケーションが取りやすく、柔軟は発想で働ける環境が整っています。また幅広い製品を扱っているので、転職したかのようにさまざまな製品に携われるのが魅力です。

私も医薬品の包装材だけでなく、紙製品や容器など幅広い製品開発に携わらせていただいているので、在籍年数に関わらず、新鮮な気持ちで開発に取り組むことができています。余談ですが、私が愛用している英和辞典も当社が製造していることを入社後に知り、改めてその幅の広さと身近な存在に驚きました。

30代に入ってからは結婚と出産を経験し、今は時短勤務制度を利用して働いています。働き方も変化し、20代の頃の自身の成長を実感する毎日から、仕事、職場や家族の状況を把握し、優先度を意識するようになりました。

育児をしていると子供の突然の病いなどトラブルはつきものなので、仕事と家庭のバランスを取ることは簡単ではありません。そんな中でも共同印刷は個々の生活に寄り添い働く制度が整っており、育休についても男女問わず取得する社員が多くいます。仕事だけではなくプライベートも大事にするという風土が根付いているのも、心強い環境です。

育児をしているとどうしても仕事から離れる時間は増えますが、スケジュール調整やトラブル対応、作業効率化など、仕事に活かせるスキルは伸ばせているように思います。今は周りの方に仕事の調整をしていただくことも多いので、育児でスキルアップした部分を仕事に還元していきたいです。
 

“今”実現できなくても、「きっといつか」を持ち続けて

―今後加藤さんはどのようなキャリアを歩みたいとお考えですか。
 
一番下の子どもはまだ1歳なので、子供の成長に寄り添い、自分も成長できるよう、周りと自分のバランスを取りながら働いていきたいです。

一方で、3人目を出産した後に管理職になったので、今後はモノづくりだけでなく人材育成にも力を注いでいきたいですね。「ここなら楽しく働けそう」という雰囲気に惹かれて共同印刷に入社したので、その風土を育てていけるような役割を担っていきたいです。
 
―最後に、これからキャリアを考える人に向けたメッセージをお願いします。
 
自分が「やりたい」と思う気持ちを持ち続けてほしいです。私も進学や就職のタイミングで医療業界にご縁を持つことはできませんでしたが、共同印刷に入社してからそれを思わぬ形で叶えることができました。

今もスキルアップのために勉強したい気持ちでいっぱいですが、時間を割くのが難しい現状です。でも、それでいいと思っています。

キャリアを選択する上で今すぐに叶えられないことがあったとしても、「やりたい」という気持ちをいつかどこかで実現しようと切り替えてみてください。自分らしいキャリア設計ができるはずです。
 
 
 

インタビュアー:アイルーツ+(プラス)編集部 小笠原寛

1999年上智大学 経済学部 経営学科 卒業。
新卒採用責任者他、様々なHR事業経験を積む中で、本音の大切さを実感。
2012年にirootsに参画し、「学生と企業の本音フィッティング」に従事する。
横浜市生まれ、現在は岐阜県関市に在住し、自然と人との対話に耳を傾ける日々。
 

文・編集:アイルーツ+(プラス)編集部 西村恵

2015年にエン・ジャパンの子会社である人材系ベンチャーに中途入社。
2018年にエン・ジャパンに転籍後、新卒スカウトサービス「iroots」の企画として、
ミートアップやメディアの運営、記事のライティング・編集に携わる。
その傍らで現在は芸大に通い、芸術史やデザインについても学び中。