企業完全審査制の新卒スカウトサービス「iroots」が、就活生におすすめしたい企業と若手活躍社員にフォーカスするインタビュー企画。今回は、神奈川県東南部に位置し、東京・横浜のベッドタウンとして人口約44万人の暮らしを支える藤沢市にて、2025年度に新設された「共創推進課」で活躍する小野さんのキャリアに迫ります。

Interviewee’s Profile

藤沢市役所
業界:地方自治体 従業員数:4,044名(2025年4月1日時点)
神奈川県東南部、湘南地域の最東端に位置し、人口約44万人の藤沢市。その市政のあらゆる分野において、施策の企画立案・実施、税や福祉などの窓口業務、内部管理業務など幅広い業務を担っている。

小野 広士郎 共創推進課
学習院大学法学部を卒業後、2014年に新卒で藤沢市役所に入庁。教育委員会の教育総務課で3年間を過ごした後に福祉健康部へ異動。地域包括ケアシステム推進室に4年間従事。2021年より総務省のデジタル基盤推進室で1年間、2022年より藤沢市の企画政策部デジタル推進室で2年間、2024年より民間企業のスマートシティ関連部署で1年間を過ごした後、2025年に新設された「共創推進課」にて活躍している。

教育、福祉健康、DX、スマートシティなど、入庁からの12年間で幅広い仕事を経験する

Q1.入庁後から現在に至るまでのお仕事内容について教えてください。

2014年に入庁し、これまでさまざまな部署を経験してきました。
最初に配属されたのが、教育委員会の教育総務課という部署です。藤沢市内の小・中・特別支援学校55校の管理運営、子どもの貧困対策としての給付型の奨学金創設などに携わり、約3年間を過ごしました。

その後に異動したのが、福祉健康部の地域包括ケアシステム推進室です。そもそも地域包括ケアシステムというのは、高齢化が進んで社会保障費が膨れ上がっていく中で、高齢者のケアを国頼みにするのではなく、街ぐるみで困りごとを解決していこうというシステムです。その中で藤沢市では、「藤沢型包括ケアシステム」という独自の枠組みを考案。もともと高齢者が対象だった地域包括ケアシステムを全世代対象へと広げ、みんなで支え合い、みんなが安心して暮らしていけるようなまちづくりを推進していました。
ここでは4年間にわたり、例えば高齢者のみならず社会的に孤立している方々の居場所づくりをはじめ、企画から実行までさまざまな取り組みを担当しました。

その後1年間は、総務省での勤務となりました。私が派遣されたのはデジタル基盤推進室で、全国の自治体システムの標準化に向けた業務を担いました。いろいろな自治体にヒアリングや、IT企業とのやりとりが主な仕事でしたが、このときの経験はその後のキャリアにもつながったと感じています。

総務省から帰ってきてからは、企画政策部デジタル推進室に配属されました。総務省での経験を活かし、DX、デジタル化の推進や、スマートシティに関する取り組みに携わりました。例えば健康アプリを使った健康なまちづくりの推進にも関わりました。
その部署で2年間を過ごした後は、藤沢市と協力してFujisawaサスティナブル・スマートタウンというまちづくりを進めているパナソニックオペレーショナルエクセレンス株式会社に1年間派遣されました。もともと藤沢市内に約19ヘクタールの工場跡地があったのですが、そこをスマートタウンとして2014年に街びらきを行い、住宅を建てたり、商業施設を誘致したりといった都市開発を進めているんですね。このプロジェクトでは、さまざまな企業が大学や行政と連携して多種多様な取り組みを行っており、企業主体でのまちづくりにも関わることができました。

Q2.現在のお仕事内容と、大変ながらもやりがいを感じる場面を教えてください。

民間企業で1年間過ごした後、藤沢市役所へと戻り、2025年度に新設された「共創推進課」にて勤務しています。この部署は市長室にできた部署で、スマートシティを推進する部署と、企業・大学との包括連携やパートナーシップを推進する部署が一緒になり、共創の取り組みを進めていく部署となります。
大変ながらもやりがいを感じる場面で言うと、さまざまな企業や大学と連携し、多くの関係者を巻き込みながらまちづくりを進めていくことです。まちづくりは、行政だけで進めることはできません。「こんな街をつくっていきたい」というビジョンを示し、価値観を共有したうえで、さまざまな主体が志を合わせて同じ方向を向いて動いていくことが重要だと感じています。

例えば、ICT(情報通信技術)を活用できる人とできない人の間で生じる格差「デジタルデバイド」の問題などは分かりやすいのですが、街中にはスマホの使い方が分からないと困っている方が多くいらっしゃるんですね。「遠くに住む家族にスマホを買ってもらったけど、使い方が分からない」と。じゃあそういった方々向けにスマホ講座を開催しようとなった場合、開催場所を提供してもらったり、スマホ操作を教える講師を探したりと、開催までには関係各所と多くの交渉や調整が必要になってきます。途中までうまく進んでいても最後の最後の調整のところでうまくいかなくなってしまうこともあるわけです。

デジタル推進室から共創推進課に引きついだ藤沢市のデジタルデバイド対策事業では、多くの部署、通信キャリアをはじめとした企業、市民ボランティアの方にもご協力をいただいて、スマホ講座や相談会を開催しています。月20回ほどのペースで開催していますが、これも関係者の中で考え方や価値観を合わせて取り組んでいる、実際に多くの方に喜んでいただくことができる、良い事業だと感じています。

こうした様々な官民共創の取組を通じて、市役所内外を問わず、チームでプロジェクトを推進していく際の進め方、面白さを感じられるようになりました。また、市役所や企業、大学など組織と組織とのやりとりでも、最終的には自分と目の前の相手との個人と個人のやりとりとなってきますので、目の前の相手に良いと思ってもらう、協力したいと感じてもらうためのコミュニケーションを大切にできるようになったのではないかと思っています。
こうすればうまくいくという成功パターンがあるわけでもなく、毎回うまくいくわけでもないですが、誰かの役に立てたときには非常に達成感を感じられます。

誰かの役に立つ仕事がしたい、社会にとって価値のある仕事がしたいと、藤沢市役所への入庁を決めた

Q3.学生時代を振り返って、今の自分に影響を与えた経験を教えてください。

法学部での経験が今の自分に影響を与えています。法制度についてざっくり分類すると、法制度をつくる仕事と、それを運用する仕事に分けられます。私は、法制度を運用するほうに興味がありました。例えばある法律がつくられたとしたら、どういった理念や考え方が根底にあるかを理解したうえで、目指す社会をつくっていくほうへの関心が強かったんです。

だからこそ法学部時代も、各法律が何のためにあるのか、誰のためにあるのかをよく考えていました。そのときの経験は、藤沢市役所の職員になってからも役立っています。

Q4.就活時代の軸を教えてください。

就活を始めた当初は、民間企業への就職を考えていました。インターンに積極的に参加することもなく、就活が一斉解禁となるタイミングで、周りの友人と同じようにスタートしました。企業探しの軸も特になくて、強いて言えば誰かの役に立つ仕事、社会にとって価値のある仕事がしたいと考えていたくらいです。

さまざまな業界、企業を見ていく中でも、時代的にはITかなと思い、IT企業を多く受けていました。その中でも社会にとって価値があるという観点で、例えばネットワーク会社や会計システムの開発会社など、社会の制度や仕組みに関わる企業や、インフラなどをつくっている企業に惹かれましたね。いろいろな企業を受ける中で就職先も内定し、そのまま就職しようと考えていたんです。

Q5.藤沢市役所に出会ったきっかけと、入庁の決め手になったことを教えてください。

そんな私が藤沢市役所に入庁することになったのは、本当に偶然でした。大学4年生の秋頃、ある日たまたま藤沢市の職員募集が目に入ったんです。
気になって募集要項を見てみると、専門科目などの試験がなく、一般常識に関する筆記試験と面接に合格すればいいことが分かりました。そこからいろいろ調べていくうちに、藤沢市で働くことへの関心度が徐々に高まっていったんです。法学部で学んでいた際に行政に興味を持っていたことも改めて思い出しました。加えて、公務員試験の勉強をしていなくても大丈夫だったことから選考を受けることにしたんです。

選考を受けるにあたり、自分の考えも改めて整理しました。そのとき一番大事にしたいと思ったのが、誰かの役に立つ仕事、社会にとって価値のある仕事がしたいということです。藤沢市なら自分がやりたい仕事ができると自信を持てたこともあり、周囲には驚かれましたが、最終的には迷わず入庁を決めました。

チャレンジできる環境がある藤沢市役所だからこそ、若いうちからどんどん挑戦したい方に来てほしい

Q6.藤沢市役所の好きなところを教えてください。

いろいろありますが、職場環境ではすごく優しい人が多いです。もちろん仕事では大変なこともありますが、何でも相談しやすいというか、人間関係については非常に安心感があります。心理的安全性が保たれていますので、入庁後もスムーズにスタートをきれるのではないでしょうか。職員の人材育成が充実しているのも仕事のしやすさにつながっていると思います。年次別研修で基本的な考え方や知識を得ることができますし、更に学びたいことがあれば専門的な内容の選択研修を受講することもできます。また、省庁や企業など他の組織への派遣を通じて様々な視点を得ることができます。

もう一つ職員として、いいところを挙げるなら、裁量とインパクトの両立でしょうか。人口が政令市よりも少し少ない約44万人、市役所の職員数が約4000人というちょうどいい規模感のおかげかもしれません。早い段階から裁量のある仕事を任せてもらえますし、それがカタチになったときには市民生活、社会的なインパクトがあり、またそれを実感できる、その裁量と影響力の両立も藤沢市役所のいいところだと思います。

Q7.藤沢市役所について、就活生に自信を持ってすすめられるところを教えてください。

私が所属する共創推進課のように、藤沢市は新しい取り組みに積極的です。早くから裁量を与えてもらえますので、自分がやりたいことを実現できます。
過去の取り組みでも、例えば健康アプリの事業を始めたのは自分のやりたいことをカタチにできた一つです。私自身、幼少期に大きな病気をしたこともあって、健康であることの大切さを昔から感じていたんですね。だからこそ健康アプリを普及させることで、健康への関心や知識を高め、行動変容につなげるなど、成果につなげられたときは非常に嬉しかったです。自分の想いを仕事でカタチにしていけることは大きなやりがいだと思います。

藤沢市には挑戦できる環境があります。入庁1~2年でも中心で担当する業務やプロジェクトを持ち、企画段階から関われる場合もあるので、成長の機会もあります。
だからこそ、市役所の公務員ですが、安定はしていても、若いうちからどんどん挑戦したい方におすすめしたいです。興味を持ったならぜひチャレンジしてほしいですね。

Q8.最後に、就活生へのエール・メッセージをお願いします。

市役所の仕事というのは、ハード面でもソフト面でも、すべての仕事がまちづくりであり、市民の生活につながっているんです。自分がやった仕事に対するリアクションやフィードバックも見えやすいので、自分がやった仕事の意義も感じやすいでしょう。だからこそ自信を持って日々の仕事に取り組めますし、大変なときでもがんばろうと思えるはずです。

バリバリ働きたい方にもピッタリですし、一方で働きやすさも整っていますので、ワークライフバランスも大切にできるのが良いところです。最初は知識や経験はなくてもかまいません。社会のために、一人ひとりの暮らしのためにと志を持って働いている仲間がたくさんいますので、私たちと一緒に魅力的な街をつくっていきましょう。