この会社で、自分はどんな未来を描けるだろう?――。ファーストキャリアという重要な選択を前に、そんな期待を抱える就活生へ。「Vision Talks」は、企業の未来を創り、その舵を取るリーダーたちが自らの言葉で、会社の未来像、そしてこれから仲間になる若手への想いを語る企画です。今回はByside株式会社の代表取締役 川畑勇人さんにお話を伺いました。

Interviewee’s Profile

Byside株式会社
設立:2022年 従業員数:53名(2025年9月時点)
M&A領域において、買い手企業に特化したアドバイザリーサービスを展開。従来の仲介型モデルでは拾いきれなかった買い手側のニーズに応える独自のビジネスモデルを構築。設立からわずか3年で業界大手にも劣らぬ案件数を誇る。経営陣との距離が近く、若手にも大きな裁量が与えられる環境のもと、売上・人員ともに毎期200%超で成長中。

川畑 勇人/Byside株式会社 代表取締役
早稲田大学第一文学部(現文学部)卒業後、キーエンス株式会社へ入社。2014年に大手M&A仲介会社へ入社し、東日本の統括責任者などを歴任。数々のM&Aを手掛ける中で、日本のM&A業界における情報の非対称性に課題意識を抱き、2022年にByside株式会社を設立。「M&A業界を再定義する」というビジョンのもと、買い手専門のFA(フィナンシャル・アドバイザー)として業界の変革を牽引している。累計M&A関与成約件数約300件超。

M&A業界の再定義の先に描く未来。目指すは、世界で戦える“強い日本”。

Q1. Byside株式会社が描く将来像やビジョンについて教えてください。

私たちのビジョンは、シンプルに「M&A業界を再定義する」ことです。

現在、日本の中小企業のM&Aは、仲介というモデルが主流です。これは、売り手と買い手の両方を一つの会社が担当し、情報を社内で囲い込む仕組みです。このモデル自体が悪というわけではありません。しかし、情報が限定されることで、売り手にとって本当に最適な買い手と出会う機会が失われているのではないか、という課題意識をずっと持っていました。

そこで私たちは、業界の常識だった「仲介」ではなく、買い手企業の利益を最大化することに特化した「買い手専門のFA(フィナンシャル・アドバイザー)」という事業を立ち上げました。売り手と買い手の間にフェアな情報の流動性をもたらし、一社でも多くの企業が、真に価値あるM&Aを実現できる世界を作りたい。それが私たちの第一の目標です。

そして、そのビジョンの先には、さらに大きなゴールがあります。それは日本を強くすることです。人口減少が進み、国力が相対的に低下していく中で、私は円安ではなく円弱が進んでいると捉えています。この状況を打破するには、日本経済を牽引する強い企業を、もっと強くする必要があります。そのための最も有効な手段が、M&Aだと信じています。

国内の成長はもちろん、日本の優れた文化や経営手法を海外へ展開していくクロスボーダーM&Aも積極的に支援する。日本の強い買い手が海外の会社を買収し、その力を世界に広めていく。そうして、回り回って日本全体が強くなる。

社名にある「Byside」には、買い手に寄り添い強くしていくという私たちの揺るぎない決意が込められています。

Q2. そのビジョン実現に向けて、現在注力していることは何ですか?

「日本を強くする」という壮大なビジョンは、日々の地道な積み重ねなくしては実現できません。そのために、私たちは現在、二つのテーマに全社のリソースを集中させています。

一つ目は、トップオブトップの人材の確保と、その定着です。M&Aの仕事は、同じ商品を売るようなビジネスではありません。一つとして同じ会社はなく、一つとして同じディールはない。常に状況を分析し、企業のトップと渡り合い、複雑な課題を解決しながら最適な解を導き出す。それはAIに代替されることのない、高度な専門性と人間力が求められる、極めて属人性の高い仕事です。だからこそ、働く意思とマインドが高く、地頭が良く、人間力もあるという三拍子揃った人材の存在が、会社の成長に直結します。私たちは、共にビジョンを追い求められる優秀な仲間を集め、彼らが最高のパフォーマンスを発揮し続けられる環境づくりに全力を注いでいます。

二つ目は、他社を圧倒する、アドバイザリー品質の徹底的な向上です。私たちが買い手専門のFAとして立つということは、案件の反対側、つまり売り手側には必ず別のプロフェッショナルなアドバイザーがいるということです。それは、仲介のように「一社の中で完結し、決まればいい」という事業とは全く次元の違う、プロ対プロの真剣勝負の世界です。その中でクライアントに選ばれ続けるためには、圧倒的な品質が不可欠です。提案資料のクオリティ、企業価値評価の精度、交渉の戦略立案。そのすべてにおいて常に最高水準を追求し、組織全体の平均値を引き上げていく。この品質への執着こそが、私たちの信頼の源泉であり、ビジョン実現のための生命線だと考えています。

「覚悟」には「最高の環境」で応える。若手を“本物”に変える、Byside流育成術

Q3. 若手社員が成長するために、最も大切だとお考えのことは何ですか?

スキルや知識以前に、自分自身の人生を主体的に生きるという意思、すなわち覚悟が大切です。これは若手に限った話ではありませんが、特にキャリアのスタート地点では、このマインドセットがすべてを決めると言っても過言ではありません。

よく社員に話すのですが、心の窓が閉じていて「何でもいいから炭水化物を食べたい」と思っている人に、三つ星フレンチのフルコースを提供しても、その価値は伝わりませんよね。それと同じで、どれだけ素晴らしい環境や情報を提供しても、本人に「成長したい」「何かを成し遂げたい」という渇望がなければ、何一つ吸収できないのです。野球がしたいだけの人をメジャーのチームに入れても意味がない。「メジャーリーグで本気でプレーしたいんだ」という人間だけが集まるからこそ、そこは世界最高のチームになると思います。

だから私たちは、面接の段階から「人生を変える覚悟を持ってきてほしい」と、あえて伝えています。それは脅しでも何でもなく、私たちの会社が、その覚悟に応えられるだけの環境を用意しているという自負の表れでもあります。そして、その覚悟がないまま入社しても、お互いが不幸になるだけだと知っているからです。意欲のないところに、どんなに良い水や土を与えても、花は咲きません。成長意欲が、本物かどうか。私たちは常に、その熱量のありかを見ています。

Q4. Byside株式会社には、どのような若手社員の成長環境がありますか?

私たちは、社員の覚悟に最高の環境で応えることを約束します。ベンチャーだからといって、教育に一切の妥協はありません。

まず、新卒社員には約3ヶ月間の手厚い研修プログラムを用意しています。私は新卒のことを「ホワイトキャンバス」と呼んでいます。社会人として最初に描かれる絵は、その人の価値観や働き方の根幹となり、一生を左右するからです。だからこそ、この期間にM&Aの専門知識から社会人としての基礎まで、丁寧にお教えします。ロールプレイングは100回以上、先輩との同行も何十回と経験します。この研修を終える頃には、誰もがプロとしての第一歩を踏み出す準備ができているはずです。

配属後は、年齢や社歴に関係なく、大きな裁量権が与えられます。どの案件にアプローチし、どの企業のトップに提案しに行くか。すべて自分で考え、実行できる環境があります。また、新卒社員に一人ずつエース級の先輩がメンターとしてつく「バディ制度」があり、いつでも相談できる体制は万全です。失敗を恐れず挑戦できる環境が、成長の角度を最大化させます。

Bysideでは個人の成果だけでなく、人間的な成長も重視しています。その一つが、半年に一度、全社員で行う360度評価です。若くして大きな成果を上げ、高収入を得ると、時に人は天狗になってしまうことがあります。しかし、この仕組みがあることで、常に周囲からどう見られているかを客観的に知ることができる。周囲の声を知ることができる環境があるからこそ、常に感謝を忘れない真のトッププレイヤーになれるのです。


Q5. これまで若手社員に任せた仕事で、印象的なプロジェクトがあれば教えてください。

若手は皆、印象的な仕事をしていますよ。

例えば、今年の新卒社員の一人は、3ヶ月の研修を終えて現場に出てから、わずか1ヶ月でアドバイザリー契約を獲得してきました。私たちが「この会社にアプローチしなさい」と指示したわけではありません。彼自身がアプローチ先を開拓し、企業の社長と対峙し、本気の交渉の末に勝ち取ってきた契約です。入社してたった4ヶ月の若者が、百戦錬磨の経営者を相手に価値を認めさせた。これは、私たちの育成方針が間違っていなかったことの何よりの証明だと感じています。

中途入社の若手でも、最初の案件が日本の買い手とハワイの売り手をつなぐクロスボーダーM&Aだったり、誰もが難しいと感じるような案件を一人で完遂させたりと、目覚ましい活躍を見せています。ここでは、年次に関係なく、誰もが会社の歴史に残るような仕事に挑戦ができます。

現状維持は衰退の始まり。あえて「難しい道」を選び、自らの市場価値を高める気概を。

Q6. Byside株式会社を志望する若手社員に、どのようなことを期待していますか?

会社の規模が大きくなるにつれて、より優秀なポテンシャルを持つ方々が入社してくれるようになるでしょう。そんな皆さんには、「先輩を突き上げ、遠慮なくぶち抜いていく」という気概を期待しています。既存の社員たちが築き上げてきた文化や実績に敬意を払いつつも、そこに安住しないでほしい。新しい風を吹き込み、組織を内側から変革していく。そんな下からの突き上げこそが、会社をさらに高いステージへと押し上げる原動力になります。

そして、どれだけ優秀であっても素直さは忘れないでほしいです。学生時代の成功体験は一度リセットし、真っ白な心で先輩やお客様の言葉に耳を傾ける。その素直な姿勢こそが、爆発的な成長の入り口ですから。

将来的には、海外案件もさらに加速させていきます。「国内だけでなく、世界を舞台に活躍したい」という強い意志を持った方との出会いも、心から楽しみにしています。

Q7. 最後に、就職活動に励む学生へメッセージ・エールをお願いします。

情報が溢れている時代だからこそ、あえてみんなの逆を行くマインドを持ってほしいと強く思います。社内のメンバーにもよく言うのですが、もし目の前に簡単な道と難しい道があるなら、絶対に難しい道を選んでほしい。今の世の中には、AIのように楽をするための方法がいくらでもあります。効率化・生産性の向上も重要ですが、全てをそこに甘んじては自分自身の価値は生まれません。

「苦労は買ってでもしろ」と昔から言いますが、私は本当にその通りだと感じています。ぜひ自らハードな環境を求め、楽ができない状況に自分を追い込んでみてください。その経験が、最終的にあなたの人生を豊かにしてくれるはずです。