この会社で、自分はどんな未来を描けるだろう?――。ファーストキャリアという重要な選択を前に、そんな期待を抱える就活生へ。「Vision Talks」は、企業の未来を創り、その舵を取るリーダーたちが自らの言葉で、会社の未来像、そしてこれから仲間になる若手への想いを語る企画です。今回は富士通株式会社の人材採用センターで、シニアマネージャーとして新卒採用を総括する田中 雄輝さんにお話を伺いました。

Interviewee’s Profile

富士通株式会社
設立:1935年 従業員数:約113,000名(2025年3月末時点)
日本を代表する総合ITサービス企業「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」をパーパスに掲げ、パーパスドリブン経営を推進。社会課題を起点とする事業モデル「Uvance」を中核に、サステナブルな世界の実現を目指す。コンサルティングや次世代テクノロジー(AI、量子コンピューティング等)にも注力し、グローバルな変革を続けている。

田中 雄輝/富士通株式会社 Employee Success本部 人材採用センター シニアマネージャー
2006年に富士通へ新卒入社。大手SIer向けアカウントセールスを9年間経験後、2015年に東京オリンピック・パラリンピック推進本部に異動。政府や自治体、企業各社との渉外活動を担う。2019年からは内閣官房に出向し、大臣広報としてメディア対応などを経験。2021年に富士通へ帰任後は、企業スポーツ推進室にて地域・社会貢献グループの立ち上げを推進。2023年より現職にて新卒採用全般を総括している。

富士通株式会社企業詳細

パーパスを羅針盤に、社会課題の解決へ。テクノロジーで持続可能な世界を創る、富士通の現在地

Q1. 富士通株式会社が描く将来像やビジョンについて教えてください。

私たちの揺るぎない指針は、2020年に定めたパーパス(存在意義)に集約されています。それは、イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと。これが、富士通という企業が未来永劫、実現し続けていくビジョンです。

富士通は世界に約11万人の社員がおり、扱うテクノロジーや事業領域も多岐にわたります。これほど大きな組織だからこそ、「自分たちの仕事が、社会のどこに役立っているのか」「会社はどこへ向かっているのか」という問いに対する共通の答え、つまり“羅針盤”が必要でした。目まぐるしく変化し、予測困難な時代だからこそ、何が変わっても変わらない大切な軸を持つべきだという強い想いから、このパーパスは生まれました。

そして、このパーパスは会社だけのものではありません。社員一人ひとりが自身のパーパスを考えるマイパーパスという取り組みがあります。個人の信念ややりたいことと、会社の目指す方向性が一致し、重なり合う。その時、仕事は単なる業務ではなく、自己実現と社会貢献が直結した、熱量の高い活動へと昇華されるのです。11万人のベクトルが一つに揃った時、私たちは世界をより良く変える、巨大な推進力になれると信じています。

Q2. そのビジョン実現に向けて、現在注力していることは何ですか?

パーパスという壮大なビジョンを絵に描いた餅で終わらせないために、私たちは2030年を見据え、持続的な成長に向けて解決すべき重要課題としてマテリアリティを策定しています。その中の「必要不可欠な貢献分野」として、「地球環境問題の解決」、「デジタル社会の発展」、「人々のウェルビーイングの向上」という3つのテーマを掲げています。

「地球環境問題の解決」は、気候変動や資源問題など、様々な要因が複雑に絡み合った課題であり、もはや一社だけの努力で解決できるものではありません。だからこそ私たちは、お客様のビジネス成長と社会のサステナビリティ追求が一致するようなソリューションを提供していく必要があります。「デジタル社会の発展」は、テクノロジーカンパニーとしての私たちの使命そのものです。そして「人々のウェルビーイングの向上」。これは社員のキャリア実現や経済的な豊かさだけでなく、お客様、ひいては社会に生きるすべての人々の幸せに貢献するという、私たちの強い意志を表しています。

これらの社会課題解決と、お客様のビジネス成長を両輪で実現していく事業モデルが「Uvance」です。私たちはテクノロジーの力で、その両立を支援します。もちろん、私たち自身もテクノロジーカンパニーとして進化を止めません。コンサルティングビジネスを拡大し、お客様の課題の根源から共に向き合う体制を強化しています。さらに、AIや量子コンピューティングといった次世代テクノロジーへの投資を加速させ、まだ誰も見たことのない未来のソリューションを創造していく。社会課題を解決する企業であり続けるために、自らを変革し、挑戦し続ける。それが富士通の現在地です。

「挑戦」が「信頼」を生み、「共感」へ。年次を問わない“適所適材”こそ、若手の成長を加速させる原動力

Q3. 若手社員が成長するために、最も大切なことは何だと思われますか?

スキルや知識以前に、私たちの価値観である「挑戦・信頼・共感」を体現しようとするマインドが何よりも大切です。この3つには明確な順番があります。まず、自らが「挑戦」する。その姿や成果が、お客様や仲間からの「信頼」を勝ち取る。そして、信頼を積み重ねた先に、心からの「共感」が生まれる。このサイクルを回し続けることが、成長の核となると考えています。

その上で、若手の皆さんには特に二つのことを意識してほしい。一つは、物事の本質を地頭で考え抜くこと。前例や慣習を思考停止でなぞるのではなく、「なぜ?」と問い、自分ごととして捉え、腹落ちするまで考える。もう一つは、その思考プロセスを言語化する力です。答えのない課題に直面した時、何が起きていて、何が本質的な課題なのかを自分の言葉で定義し、周囲に提示する。この二つができれば、経験や年齢の壁を越えて、誰からも信頼されるプロフェッショナルになれるはずです。

Q4. 富士通株式会社には、どのような若手社員の成長環境がありますか?

私たちはキャリアオーナーシップ、つまり自分のキャリアは自分で創るという考え方を大切にしており、社員の挑戦したいという意志に、会社が全力で応える環境を整えています。

オンライン学習プラットフォーム「FLX(Fujitsu Learning Experience)」や「LinkedInラーニング」などでは、語学からプログラミングまで、必要なスキルをいつでも学べます。また、「Microsoft Viva Engage」を活用した社内SNS上には1万を超える数のコミュニティが存在し、部門や世代を超えた知の交流が活発です。特に、Z世代の社員が自主的に立ち上げた「Gen-Z」というコミュニティは、他社の若手とも連携し、互いのオフィスを見学したり勉強会を開いたりと、会社の枠を超えた刺激的な学びの場となっています。

キャリア選択の自由度も非常に高いです。上司の承認なしに希望部署へ異動できる「ポスティング制度」が浸透しており、自らの意志でキャリアパスを描けます。私たちは「適材適所」ではなく「適所適材」という考え方を採用しています。まず、挑戦すべきポジションがあり、そこに最も適した人材を、年齢や年次に関係なく抜擢する。意欲と実力さえあれば、誰もが大きなチャンスを掴めるのです。

Q5. これまで若手社員に任せた仕事で、印象的なプロジェクトがあれば教えてください。

「適所適材」を象徴するような、若手の目覚ましい活躍は数多くあります。

例えば、入社1年目の社員に、外国籍の学生が多い大学の授業で、英語での講演と質疑応答を任せたことがあります。会社を代表する重要な役割ですが、彼女はそのプレッシャーを乗り越え、見事に大役を果たしてくれました。その挑戦する姿は、彼女自身の成長はもちろん、周りの先輩や同僚にも「自分も負けていられない」というポジティブな刺激を与え、組織全体の活性化につながりました。

また、入社3年目の社員が、グローバルで定められたEVP(従業員価値提案)を日本のマーケットに合わせて展開するという、非常に難易度の高いプロジェクトをリードした例もあります。

彼女らに共通しているのは、任された仕事に対して凄まじい当事者意識を持っていることです。プレッシャーのかかる場面、いわば“修羅場”を経験することが、成長の角度を劇的に変えます。富士通には、若いうちからそうした挑戦のバッターボックスに立ち、成長の機会を掴み取れる文化が確かに根付いています。

答えのない世界を、楽しむ気概を。若き感性とテクノロジーで、未来のイノベーションを共に創る仲間への期待

Q6. 富士通株式会社を志望する若手社員に、どのようなことを期待していますか?

私たちの採用サイトには、「答えのない世界で、挑む。」というメッセージを掲げています。まさにこの言葉に尽きます。未来が予測困難だからこそ、それを恐れるのではなく、「自分の実力を試したい」「自己実現の舞台にしたい」とワクワクできるような、挑戦のマインドを持ってきてほしいと強く願っています。

そして、その挑戦を形にするために、世代や経験が違う相手にも臆することなくコミュニケーションをとり、周囲を巻き込んでいってほしい。私たちが求めているのは、「安定しているから」という理由で会社を選ぶのではなく、「富士通の環境を活かして、自分はこうなりたい、これを成し遂げたい」と、自分の言葉で未来を語れる方です。

皆さんが持つ若き感性や、デジタルネイティブとして当たり前にテクノロジーを使いこなす力は、これからの富士通にとって不可欠な財産です。ベテラン社員にはない視点や発想で、臆することなく、どんどん新しい風を吹き込んでほしい。私たちと共に、まだ世にないイノベーションを起こしてくれる仲間との出会いを、心から楽しみにしています。

Q7. 最後に、就職活動に励む学生へメッセージ・エールをお願いします。

ファーストキャリアという重要な選択を前に、ぜひ有償インターンシップに挑戦して、仕事を体感してみてほしいと思います。それは単なる職業体験ではありません。その仕事が自分に合っているのか、自分が大学で学んできたことや経験がどう活かせるのかを肌で感じ、自分自身の現在地を客観的に見つめる絶好の機会です。

富士通は、安定という言葉に甘んじるのではなく、確かな事業基盤とテクノロジーの上で、地に足のついた成長をしたいと考える人にとって、最高の環境だと自負しています。皆さんが心から納得できるキャリアの第一歩を踏み出せるよう、まずは自分自身の可能性を知るための活動に、全力で取り組んでみてください。応援しています。