ヤクルト本社の企業研究

今回ご紹介するのは、創業から80余年、世界で愛飲されている乳酸菌飲料「ヤクルト」などの乳製品をはじめ、食品、化粧品、医薬品と幅広い事業展開で有名なヤクルト本社。

この記事を読んでいる方の中には、ヤクルト本社への就職を目指している学生もいらっしゃるかもしれません。
面接で問われた時に、「なぜこの会社なのか？」をしっかりと語れるように、この記事では、以下の3つの項目から企業研究を行っていきます。

（1）会社概要　（2）「企業」を知る　（3）「採用情報」を知る

他のライバルとの差を付けるためにも、この記事を読んでしっかりと企業研究をしていきましょう。 ここでは、ヤクルト本社の経営理念や同じ食品業界に属する競合会社との比較、最近のニュースなどを通して「数ある飲料メーカーの中で、なぜヤクルト本社なのか？」という質問への対策を考えましょう。

まずは、ヤクルト本社について深く知るためにヤクルト本社の経営理念を確認しましょう。
そこからヤクルト本社が求める人材が見えてくるはずです。企業が求める人材を知ることで、あなたが何をアピールすべきかが分かります。

ヤクルト本社の経営理念は以下のとおり。
「私たちは、生命科学の追求を基盤として、世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献します。」
（企業理念 | 企業・IR・採用 | ヤクルト本社　より引用）

また、ヤクルト本社の原点である創業者代田稔の考え「代田イズム」というものがあります。
・予防医学
・健腸長寿
・誰もが手に入れられる価格で
（企業理念 | 企業・IR・採用 | ヤクルト本社　より引用）
この代田イズムがすべての事業の原点になっているようです。

また、求める人物像として以下のような人をあげています。
・道徳、マナー、良識を備え、"社会人"として"人"として成長し続ける人
・企業理念に共感できる人
・自ら考え、行動し、自由な発想で何かを生み出すことのできる人
・個性を強みとして発揮しながらも他者と協調できる人
（ヤクルト本社新卒採用ホームページより引用）

ですから、経営理念に共感した上でみなさんがアピールすべきことは、以下の３点です。
・「世界の人々の健康な生活」を本気でつくりたいと考える理由、きっかけとなる経験
・自ら考え行動することで何か新しいことに挑戦し、成果を出した経験
・自分の個性や強み、長所を発揮しつつもチームとして何かを成し遂げた経験


次に、飲料業界の中でヤクルト本社と競合会社とを比較してみましょう。
はじめにヤクルト本社の事業内容について見てみます。
ヤクルト本社は経営理念にもあるように、世界中の人々の健康に貢献することを目指している企業で、「食品事業」「化粧品事業」「医薬品事業」「国際事業」の4事業を展開。
食品事業では社名にもなっている「ヤクルト」などの商品を製造しており、乳酸菌を用いて予防医学、健腸長寿に貢献しています。また、化粧品事業では「乳酸菌のチカラを、素肌のチカラに。」をスローガンとして、「Yakult Beautiens」というブランドでスキンケア商品などを製造しています。医薬品事業では「世界の抗ガン剤メーカー」として国内外から高い評価を得ています。
さらに、ヤクルト本社創始者である代田稔の思いとして「世界中の人々の健康を守る」という考えがあったため、早期に世界進出を果たしており、現在、33の国と地域で毎日3,500万本のヤクルト製品が販売されています。この業務を担っているのが国際事業です。
ヤクルト本社はこのような事業を展開しているわけですが、今回は同じ飲料メーカーであり、ヤクルトに近い乳製品も取り扱う森永乳業と比較してみたいと思います。
まず事業内容ですが、牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品に加え、アイスクリームなどを扱う「食品事業」と、飼料、プラント設備の設計施工などを担う「その他の事業」を展開しています。
ヤクルト本社と比較すると、食品というカテゴリーでは森永乳業が幅広く事業を展開していますが、ヤクルト本社は森永乳業が行わない医薬品事業や化粧品事業など多種多様な事業に取り組んでいると言えるでしょう。プロ野球のヤクルト・スワローズもヤクルト本社の連結子会社の1つです。

続いて財務状況について見てみましょう。平成28年3月期の売上高は、ヤクルト本社が 連結3,904億1,200万円であるのに対し、森永乳業は連結6,014億9,900万円となっています。
一方で営業利益は、ヤクルト本社が連結400億5,700万円のところ、森永乳業は連結143億1,700万円と、ヤクルト本社の利益率の高さが際立っています。
この背景には、国内において乳製品の販売数が増加したことや、価格改定が効果をあげたこともありますが、海外における業績が影響しているようです。販売実績については、特に中国やインドネシアで高い伸びとなっています。また、為替の円安効果などもあり、ヤクルト本社の売上高は前連結会計年度から224億円の増収（前期比6.1%増）、営業利益にいたっては51億円の増益（前期比14.8%増）を記録しています。
また、営業利益構成比を見ると、飲料や食品製造販売実績は日本が16.8％のところ、海外が71.2％とさらに海外における収益依存度が増加しており、これがヤクルト本社の営業利益率の高さを保持しているようです。


また、近年の業界トレンドも見ておきましょう。
飲料業界、食品業界のトレンドは何と言っても海外展開。これが成功するかしないかで企業の未来が大きく左右されます。日本の市場が縮小していくのは避けられないため、海外展開が非常に重要なのです。その中でヤクルト本社はヤクルトを中心として世界中に展開しており、独自の販売方法であるヤクルトレディによって海外展開は成功していると言えるでしょう。しかし、企業としてさらに成長していくには海外展開をより進めていく必要があり、今後どのような戦略で海外展開を進めていくのか注目です。
また、同業界内では、TTP締結が与える影響も懸念されていおり、中でも乳製品であるチーズの輸入増加が見込まれています。
一方、医薬品事業を事業の柱の1つとしているヤクルトにとっては、医薬品の特許権に関わるルールが統一されるため、TPPに参加する新興国での新薬の専売が保護されることはプラス要因となるでしょう。
今後は、海外事業の収益が輸出から海外投資へと移行する傾向にある中で、投資環境の整備に関わる国際通商ルールの統一化について、各企業は活用方法を見出していくことになりそうです。

ここまでヤクルト本社についての様々な情報を見てきましたが、最後は同社の過去の採用情報を知り、早めの対策準備を行っていきましょう。 選