- 伊藤くん、今日は京都からありがとうございます!
- こんにちは。お久しぶりです!前回お会いしたのは半年以上前ですね。
- 確か、就活真っ只中でしたよね?
- はい。当時と今とでは、自分の中でも色々変化があった気がします。
- 久々にお会いできるということで楽しみにしていました。伊藤くんとお会いする最初のきっかけはirootsのプロフィールでしたよね?
- はい。そうです。僕は2年留年していたので、大学5年生の5月頃にirootsのプロフィールを書いたのですが、そのプロフィールに対する感想メッセージを頂いたことがきっかけです。
- 伊藤くんのirootsプロフィールを発見した時はなかなか衝撃的でした(笑)
- そうだったんですね(笑)たしかに「味わい深い文章。賛否両論あるかもしれないが、自信をもって」といった感想が届いたのを覚えています。
- そうそう。プロフィールを読ませて貰ったときには、全体的に暗い感じなんだけど、ウィットに富んでいて面白くて。ただ、好き嫌いは分かれるかなっと思ったので、率直に感想を送りました(笑)実際、記入する時はどんなことを意識してたの?
-
そうですね、今って、色々な就活サービスがあるじゃないですか。企業と出会うのも、一般応募だけじゃなく、プロフィールを載せてスカウトを待つようなサービスもたくさんありますよね。ただ、「大学時代に成し遂げた成果を書いてください」とか、フォーマットが決まっているケースがすごく多くて…。そうすると、今までの経験を、どこか切り出しして書くしかないので、自分自身の内面や出来事を一気通貫して、伝えるのって難しいなって思っていました。
ただ、irootsでは、幼少期からの出来事をフリーフォーマットで書くことができたので、僕が何を考えてどう生きてきたのか、時系列で書くことが可能だったんですよ。いざ書いてみるとすごく楽しかった。で、思いの外書いてしまったんですよ、ちょっと恥ずかしくなるくらい(笑)。でも、だからこそ、「irootsでは自分の内面を思いっきりさらけだしたし、それでもいいって言ってくれる企業と出会えるか試してみたい」、そんな気持ちになれて。プロフィールは、あえてそのままにして残したんです。さらけ出し過ぎて「これでスカウト送ってくれる企業あるの!?」って、ずっと半信半疑でしたけどね。(笑)
- そうなんだ。プロフィールを読んで素直に「一度会って話してみたい」と思いましたよ。ただ、「エッジが効いてるな」とは思いましたけど(笑)
- ありがとうございます!就活を通して、これまでと違うコミュニティーの方とお会いする機会が増えたせいか、変人だってと言われる機会は増えました(笑)ただ、なかなか人に伝わらない機会が多くて…。
- 人に伝わらないとういのは、具体的にどういうこと?
- 僕は、大学時代に「人の幸せや不幸ってなんなんだろう?」って素朴な感覚から、哲学を始めてみたんですね。そしたら、最終的には、「人の喜怒哀楽といった"気分"がなんで起こって、それはどこに起因するんだろう」とか、「そこにはどんな価値が宿っているんだろうか」って興味が膨らんでいったんです。僕にとって、大学時代頑張ったことって、具体的で客観的な成果ではなく、そういう感覚や考えてきたものだったんですね。でも、こういう話って、抽象的でなかなか就活の場では伝わりづらくて…。
- 確かに、そういう話は難しそうだね。就活の場では、特にそうなのかもしれない。
-
でも、irootsでは自分がそういうことを思考するようになった源泉でもある、幼少期の家庭環境や、高校時代に辛かった経験、恋愛、キャンパスでの子猫との出会いや対話など、取り繕うことなく全部書いてみることができて。そうしたことが、自分の内面をより一歩深く、学歴だけじゃなく、自分自身を企業の方に伝えるきっかけになれた気がします。
- 確かに、一般的なエントリーシートだと子猫の話や恋愛の話は、なかなかできないよね。
- そうですよね(笑)でもどちらも、自分にとって欠かすことのできない印象深い出来事だったので。猫に関しても、保護した猫だったので、触れるようになるまで1年もかかっちゃって。だからその間、色々と観察して考えちゃうんですよね。「いま何を考えているんだろう、なにを欲しているんだろう?」、「この猫にとって、世界はどのように見えていて、それとどう対峙し、折り合いをつけ、生きているんだろう?」みたいなことを、延々と…(笑)。その中で、色んな感動がありました。例えば、野良から部屋飼いになれば、どうしても"退屈"って気分が発生してしまう。人でも困るそういう退屈って気分に、猫は自分で"あそび"を見いだし、解消していたりするんですよ。それが自然とできていて、本能なのか分かんないけど、すごい賢いんだなって。感動していました。
- そうやって考えるのは、伊藤くんらしいね(笑)。
-
そうかもしれないですね(笑)。他にも、言葉に頼らず信頼関係が構築されていったことは、僕にとって、コミュニケーションを見直すきっかけになりました。恋愛においても、これは少し恥ずかしいので、これはオフレコがいいんですが(笑)、昔、片想いをしたときがあったんですね。その時はどうしても相手のことを"憧れ"として見てしまって。その結果、「この憧れは、相手自身なのか、それとも相手自身とは乖離してしまっているものなのか?」とか、「自分は相手とちゃんと対話できているのだろうか?」とかって、色々悩んだりもがいたりして。でも、そういうことって、今も自分の心に強く残っていて、影響を与え続けているものだと感じるんですよね。
- 確かに、個性を作っているのって、そうした日々具体的に感じていることの積み上げかもしれないね。実際にirootsに内面をさらけ出してみてどうでしたか?
- iroots経由で声をかけてくださった企業の方は、自分のことを面白がってくれて、実際、ミスマッチが少なかったなっていう感覚がありました。僕のプロフィールを読まれて「賛否両論あるかも」とirootsの皆さんは仰っていましたが、実際、面接の場で、普段自分が考えていることを100%の熱量で話すと、「よくわからない」人事の方に引かれちゃうことも結構ありました。ただ、irootsでは大前提さらけだしちゃってるので(笑)、それが一個ハードルみたいに機能しているのか、iroots経由で知り合った企業の方とは、そういうことが少なかったように思います。
- irootsを通じて企業の方にはお会いされたんですか?
- はい。最初にお会いしたのはヘルスケアなどを扱うベンチャーでした。人事の方が、『プロフィールが小説みたい』と言ってくださって、とても興味を持っていただいたんですね。僕は京都に住んでいて、相手の企業の方とは、最初、Skypeで面談することになったんですよ。せっかくなら、カメラ越しにでも、京都を感じてもらいたいと、こっそり鴨川でSkypeを始めてみて(笑)。僕は川の水に足をつけて、プラプラしながらお話してました。
- 鴨川で面談は新しいですね。笑
-
そうですね。結果、興味を持ってくださって、サマーインターンに呼んでいただきました。サマーインターンも、とても楽しかったですよ。
また他にも、自分自身が入社を決めることになった、日本たばこ産業(JT)さんとの出会いもiroots経由でしたね。僕はもともと、これからの分岐点となるような事業やサービスを、社会に対して作ってみたくて。そんなんだから、当初は大手企業はあんまり考えていなかったんですね、実は。新規事業が活発そうなのって、イメージでベンチャー企業だと思っていて。
でも、社員の方に色々お話を聞いてみると、現代ってとても変化が激しいし、既存事業に対しても健全な危機感が持たれていて。だからこそ新しい人材に対しては、すごい期待してくれている側面が感じられました。また、色々と新しいチャレンジをしていることも知ったんです。安定的な資金源があるからこそ、目先の利益だけではなくて長期的な視点で新しい事業に取り組めるっていうことも感じて、そうしたところに魅力を感じるようになりましたね。でも、最後は結局、社風だったり、出会った人が楽しそうにしていたとか、そんな直感から、入社を決めました。
- ご縁があったということで嬉しいです。
-
はい。就活をしてみて、僕の話をここまで面白がってくれる人や企業に会えたことが純粋に嬉しかったですね。今でも、就活を通して知り合った同期や人事の方とは、SNSなどで繋がっていて、たまに飲みに行ったりしています。入社を決めた企業も、社員の方や同期は、ユニークな人がとても多くて、これから一緒に働くのがとても楽しみですね。
- 自然体で就職活動に臨んだことがご入社する企業との出会いを生んだんですね。
- そうですね。だから、これから就活をする後輩の方々にも、ぜひ楽しんでもらいたくて。こんな機会だからこそ、ぜひ今までの自分を思い返してもらいたい。「自分のこれまで大事にしてきたこと」や、「今までちゃんと言語化できていなかった幼い時の憧憬」、「自分にとって痛烈な出来事」、そういった自分にとって大切なもの全部、この機会にもう一度扱ってみてほしくて。そしたら、きっと、いまの自分にとって大事なものが見えてくる。そして、そこから出会うことになる人達は、その人にとってかけがえのない財産になってくると思います。
- 最後に、伊藤くんにとっての「iroots」とはを聞かせて貰えますか?
-
うーん。難しい質問ですね(笑)
僕は、「当たり前に、生きなきゃいけないから生きてる」とかではなくて、「生きたいから生きてる」でありたいんです。自分においては本質的なテーマであるし、だからこそ、常に目を伏せず扱っていきたい。そうしたなかで、自分が問いを立てて、自分にとっての前進を得る手がかりは、素朴な美の感覚だったり、過去の自分なんですね。ちゃんと言語化されていなかったとしても、過去の自分が「きれいだな。」って思ったことや、心が動いた瞬間、そうした原風景には、いまの自分に関わりがあるまま、眠っているものが沢山あると思っていて。「こうしなきゃいけない」とか、「他の人は皆こうしている」とか、そんなのに縛られていたら、自分の心の声は一向に聞こえてこない。だからこそ、過去の自分を尊重して、大事に耳を傾けたい。自分自身に対してピュアでありたいんです。
過去の自分が感じてきた"きれいなもの"、ピュアになって、そうしたものに耳を傾け、追憶することが、僕のirootsであるのかもしれません。
- ありがとうございます!今日はお話をお伺いできて嬉しかったです。
- こちらこそありがとうございました。また是非お会いしましょう。