ファナックの企業研究

今回ご紹介するのは、NC装置や産業用ロボットで世界的に高いシェアを誇るファナック株式会社。

この記事を読んでいる方の中には、ファナックへの就職を目指している学生もいらっしゃるかもしれません。
面接で問われた時に、「なぜこの会社なのか？」をしっかりと語れるように、この記事では、以下の3つの項目から企業研究を行っていきます。

(1)会社概要　(2)「企業」を知る　(3)「採用情報」を知る

他のライバルとの差を付けるためにも、この記事を読んでしっかりと企業研究をしていきましょう。 ここでは、ファナックの経営理念や同じ電気機器業界に属する競合会社との比較、最近のニュースなどを通じて、「数ある電気機器会社の中で、なぜファナックなのか？」という質問への対策を考えましょう。

ファナックについて深く知るために、まずはファナックの経営理念を確認しましょう。そこからファナックが求める人材が見えてくるはずです。企業が求める人材を知ることで、あなたが何をアピールすべきかが分かります。

ファナックは「欅（けやき）の樹」をシンボルとしており、経営理念はこの欅が描かれた1枚の絵で表されています。
その絵に描かれているのは、風雪に耐えた太い幹から、今また明るく光り輝く若い小枝がいっぱいに張り始めている欅の樹。
これは、「小柄でもがっしりと逞しいファナックが育ち、その太い幹から五年後、十年後に新しい技術が生まれてくるだろうという期待と、社員全員が誇りを持って巨人のごとき逞しさがある企業にファナックを育て上げていこうではないか」（ファナック「会社概要」より引用）、という経営理念を表しているのだそうです。
また、ファナックは、創業者である稲葉博士の言葉を研究開発の基本姿勢としています。 『技術には歴史がある　しかし　技術者には過去はない　ただ創造あるのみ』（ファナック「研究開発の基本姿勢」より引用）
ここから分かるポイントは、「組織の育成」と「技術へのこだわり」の2点です。
競争社会である現代において、中長期の持続的成長を果たすことのできる企業は強い組織力を持つ企業であり、ファナックの言葉を借りれば、逞しい組織力を持った企業です。逞しい組織とは、「知恵」を生み出す活力（＝体力×気力×知力）が個人・組織の双方に備わる組織。さらに、メンバーが相互に信頼しあい、ある目的・目標を達成するために協働できる組織です。 ファナックは、この逞しい組織を築き上げることができ、ファナックの一番の武器である「技術」をとことん追求できる人材を求めています。

ですから、経営理念に共感した上で、みなさんがアピールすべき点は以下の3点です。
・今までに知恵を振り絞って新しい価値を創造しようとしたことがあるか
・チームで何かを成し遂げたことがあるか、その中での失敗や挫折、その克服方法
・メンバーの信頼を勝ち得たことがあるか、信頼を得るために努力したこと

次に、電気機器業界の中でファナックと競合会社とを比較してみましょう。
今回は、大手重電3社の一角を担う三菱電機と比較してみます。
はじめに、両社の事業内容を見ていきましょう。

ファナックは富士通を母体に創業後、FA事業・ロボット事業・ロボマシン事業を三本柱に、一貫して工場の自動化を図り国内生産を貫いてきた企業です。手掛ける商品はいずれも世界的シェアが高く、代表的なのは約50％のシェアを誇る商業用ロボット。国内外の複数の自動車メーカーに提供しており、その他スマートフォン用ロボドリルなども高いシェアを誇っています。 対して総合電機メーカーである三菱電機の事業は、重電システム、産業メカトロニクス、情報通信システム、電子デバイス、家庭電器。多分野を手掛けることで安定した基盤を得られる反面、採算の悪い事業を抱えるリスクもあります。 さらに、両社の財務状況を見ていきましょう。 ファナックの平成28年3月期売上高は、連結623,418百万円（前年比14.6％減）、営業利益は連結215,567百万円（前年比27.6％減）となっており、中国の設備投資需要の減少に加え、米州の失速懸念や不安定な為替動向が影響しています。ファナックの業績は前年の平成27年3月期の業績をピークに減収減益となっており、今後も厳しい状況が予想されています。しかしながら、ファナックは世界的に高シェア商品を多数手掛け、東証一部上場の製造業では通常平均8％のところ約40％の利益を上げる超高収益企業。今後の巻き返しに期待がかかっています。 対して三菱電機の平成28年3月期売上高は、連結4,394,353百万円（前年比1.6％増）、営業利益は連結301,172百万円（前年比5.2％減）となっています。平成25年度から平成26年度は増収増益となっていますが、今期は家庭電器事業以外は減益を記録しています。


最後に、近年の業界トレンドも見ておきましょう。
国内277社を対象とする平成25～26年の電気機器業界の業界規模は80兆7,077億円となり、平成25年から増加傾向にあります。ファナックは、同年の売上高ランキングで28位、純利益ランキングで5位に入っています。 近年の業界は、家電・重電・時計・OA器機・半導体の主要分野全てにおいて増加しており、それまでの低迷から回復基調にあります。 今後の業界には更なる成長が見込まれており、期待されているのは、新興国における工場省人化ニーズや、医療・食品などの新分野での機器導入ニーズ。さらに、自動車生産台数の増加も大きく影響するものと考えられています。

ここまでファナックについての様々な情報を見てきましたが、最後は同社の過去の採用情報を知り、早めの対策準備を行っていきましょう。 選考