三菱食品株式会社の戦略・強み・弱み・競合他社情報│企業研究記事

三菱食品株式会社を就職活動の観点から企業研究

三菱商事グループの食品卸会社4社が合併してできた会社で、国内外の加工食品、低温食品、酒類及び菓子の卸売を行うほか、物流事業も展開。複数の卸会社が合併したことで、すべての分野の商品をフルラインでそろえていることが強みで有名な食品商社業界の三菱食品株式会社に関して、戦略・強み・弱み・競合他社について就職活動の観点から企業研究しました。

下記４つのトピックに分けてご紹介します。

◆ TOPIC
• 2017年食品小売業の市場規模は44兆5千億円。消費者向けEC市場は堅調に推移
• フルラインとロジスティックスで業界をリードする、三菱グループの食品商社
• 食の中核的存在へとシフト。総合食品商社としての挑戦
• 三菱食品株式会社の戦略・強み・弱み・競合他社のまとめ

2017年食品小売業の市場規模は44兆5千億円。消費者向けEC市場は堅調に推移

農林水産省の調査によると、食品小売業の2017年における食料品販売額は前年比0.3％増加し、44兆5千億円。 中でもコンビニエンスストアで販売額が伸びているほか、ファストフードや調理パン、冷凍食品等の販売が好調です。

また、コンビニエンスストアの食料品販売額を1店舗当たりで見ると、店舗数を増やすことによって販売額を伸ばす傾向が続いているとのこと。

■食品小売業における食料品販売額推移

出典： 農林水産省

一方、物販系分野の消費者向けEC市場規模は8兆円で、このうち食品等は2 割を占める1兆5千億円となっています （2016年度）。食品等は、全取引額に占める割合が他の分類に比べて小さいものの、高齢化の進行や共働き世帯の増加等で宅配ニーズが高まっていることから、消費者向けEC市場は引き続き堅調に推移すると見込まれまています。

フルラインとロジスティックスで業界をリードする、三菱グループの食品商社

今回は、食品商社業界トップの三菱食品を紹介していきます。

2011年に三菱系の食品卸であった菱食、明治屋商事、サンエス、フードサービスネットワークの食品卸4社が経営統合して誕生した三菱グループの食品商社で、売上高は2兆6134億円（2018年3月期、前年比4.2％増）を超える巨大企業で食品卸業界では第1位に君臨しています。

国内外のあらゆるメーカーが製造した商品を扱っているため、加工食品・低温食品・酒類・菓子という食の4カテゴリーに加え、常温・冷蔵・冷凍という3温度帯の商品、全てを自社で扱っていることが最大の強み。

フルラインによる品ぞろえができるようになったことで食品全体に目が行き届くようになり、市場調査や店の棚割り、利益率の管理の仕方など様々な提案ができるため更に体力をつけています。同業他社もフルラインの体制にシフトするなどの動向があり、三菱食品の業界におけるリーダーシップがうかがえます。

また、同社では、消費者のより充実した選択肢を増やすため、自ら商品開発をすることもあります。

■三菱食品の主要カテゴリーと売上高

出典： 三菱食品

また、三菱食品の強みは、三菱グループの一員であることやフルラインで小売店への提案を強化できるということに加え、国内300拠点を越える物流ネットワークを武器に、サプライチェーン全体でのロジスティクスの最適化を行うことができる点にもあります。

食の中核的存在へとシフト。総合食品商社としての挑戦

三菱食品は、三菱グループ全社の共有理念である「三綱領」を企業理念としているほか、企業ミッションとして、「中間から中核へ。食と暮らしの明日を創造する。」を掲げています。

今までの中間流通業は、メーカーから商品を仕入れ小売業に商品を販売することがおもな役割でしたが、今後はスーパーやコンビニ、外食、ドラッグストアといった既存のビジネスパートナーだけでなく、インターネットや他の中間流通業、生産者との取引を広げていくとのこと。三菱食品は、食の中核的存在として発展し続けていきたいと考えています。

■三菱食品を取り巻く多種多様なパートナー

出典： 三菱食品

さらに自社の力に加え、三菱商事グループを巻き込み総力を結集することで、 機能の更なる拡充・スピーディーな対応を生み出し、“より良い”食品流通を実現することを目指しています。

食品卸という業界は流通の黒子役で表に出てこない存在ですが、食品事業は総合商社が非資源分野で成長領域と位置付けており、三菱商事との提携関係は戦略の成否を左右しそうです。今後の展開が楽しみですね。

三菱食品の戦略・強み・弱み・競合他社のまとめ

食品商社業界の三菱食品株式会社は、三菱商事グループの食品卸会社4社が合併してできた会社で、国内外の加工食品、低温食品、酒類及び菓子