グリーの企業研究

今回ご紹介するのは、ソーシャルゲームによってIT業界で地位を築いてきたグリー株式会社。
この記事を読んでいる方の中には、グリー株式会社への就職を目指している学生もいらっしゃるかもしれません。
面接で問われた時に、「なぜこの会社なのか？」をしっかりと語れるように、この記事では、以下の3つの項目から企業研究を行っていきます。

（1）会社概要　（2）「企業」を知る　（3）「採用情報」を知る

他のライバルとの差を付けるためにも、この記事を読んでしっかりと企業研究をしていきましょう。 ここでは、グリーの経営理念や同じインターネット業界に属する競合会社との比較、最近のニュースなどを通して「数あるインターネットサービス会社の中で、なぜグリーなのか？」という質問への対策を考えましょう。

グリーについて深く知るために、まずはグリーの経営理念を確認しましょう。そこからグリーが求める人材が見えてくるはずです。企業が求める人材を知ることで、あなたが何をアピールすべきかが分かります。

グリーはコーポレートメッセージとして、
「インターネットを通じて、世界をより良くする。」（グリー株式会社 (GREE, Inc.) - 会社情報 - コーポレートメッセージより引用）
という言葉を掲げています。
具体的には、グリーはインターネットの新たな可能性を信じ、その可能性を開拓することで、より楽しく幸せな毎日、そしてより効率的で自由公平な社会の実現を目指しているようです。

ここから分かるポイントは、「新しいことに貪欲に挑戦していく」「チームで目標に向かって突き進む」「インターネットの可能性信じている」の３点です。
世界をより良くできるような新しい何かを生みだすためには、常に前向きに貪欲に挑戦し続けることが求められます。グリーの行動規範の中にも「常に前向きに挑戦する。成功するまでやり続ける。」という項目があります。
また、その世界を変えるような新しい何かを生みだすことは一人では不可能です。高い目標に向かって、チームの成果を最大化するために自分が何をすべきか常に考え行動できる人材が求められています。
これらに加えて、世界を変えられるのはインターネットだと信じ、インターネットを好きなことも、このミッションを達成するためには大切なことです。
ですから、経営理念に共感した上で、みなさんがアピールすべきなのは以下の３点です。

・主体的に機会を探し、常に前向きに挑戦し続けられる人間であること、そういった経験。
・チームとして目標に向かう際、自分は何を考え、どのような行動をとることで目標達成に貢献してきたか。
・「インターネット」の可能性についての自分の想い

次に、インターネット業界の中でグリーと競合会社とを比較してみましょう。
今回は、グリーと同じくソーシャルゲームのプラットフォームによって成長してきたDeNAと比較してみたいと思います。

まずは両社の財務状況について見てみましょう。
それぞれの直近の決算期の売上高は、グリーが698億7,800万円なのに対して、DeNAは1,437億900万円となっており、およそ2倍の開きがある状況です。
一方で、営業利益についてはグリーが142億3,900万円（利益率 約20%）なのに対し、DeNAは198億1,600万円（利益率 約13.7%）となっており、グリーの方が収益性の高い事業を運営していることがうかがえます。

では、この収益性の差の理由がどこにあるのか、事業の違いについても目を向けてみましょう。
まずグリーは主に2つの事業において収益を得ています。1つはソーシャルゲームでの有料課金で売上高の94%に及びます。残りの収益はソーシャルメディア上で表示される広告収入となっており、ソーシャルゲームのプラットフォームに収益源が依存していることが懸念材料の1つとなっています。
一方で売上は近年低迷しているものの、SNSとSNS連動型ゲームによる高収益性を誇るビジネスモデルはかつての50%を超える収益率までは及ばなくとも、今でもDeNAと比較して強みを発揮する要素になっているようです。
また、ゲーム事業は市況に合わせながら引き続き主軸としてさまざまなタイトルが開発されている他、LINEと協業しての送客施策や、VR事業、ヨガやピラティスなどのレッスンを紹介・予約できるアプリ「レスパス」などもリリースしており、ゲーム以外の軸も強化しての中長期的な成長を目指しています。

一方のDeNAはゲーム事業が76.2%、EC事業が13.8%、スポーツ事業（DeNAベイスターズ）が6.8%、その他に新規事業もあり、ゲーム事業が主体ではあるものの、グリーよりは収益源が分散されていることが経営上のリスク回避という観点でグリーと比較しての安心材料となっています。
また、この事業多角化路線は現在も進行しており、数多くのキュレーションメディアの運営やゲーム以外のアプリリリースといったIT関連の事業に止まらず、DNA検査などのヘルスケア事業の立ち上げやベンチャー投資も積極的に行っており、新たな取り組みの路線はグリーと一線を画している様子です。

このような違いから、現在の収益モデルの違いはもちろんのこと、これまで同様にソーシャルゲームのプラットフォームで成長してきた両社の行く末にも大きな差が生まれそうであることがうかがえます。

また、近年の業界トレンドも見ておきましょう。

ソーシャルゲーム業界という切り口で言えば、2012年頃までトップを走ってきたグリーやDeNAの業績低迷にも表れているように一部では市場が飽和状態であると言われることも少なくありません。四半期の売上500億円の壁があるとも言われており、隆盛期に比べると成長率は高くないことは確かです。
一方で、ここ2年ほどサイバーエージェントやミクシィがこの市場において右肩上がりの成長を見せており、必ずしも成長要素がないとは言い切れないことも同時に示されています。この状況の差には、グリーやDeNA の過去数年のスマホシフトへの対応の遅れも大きく影響しています。
また、今後の業界の対応策という観点では海外での売上比率の拡大を図る企業が増えているほか、ゲーム事業に依存しない収益モデルの創出などが挙げられ、各社の既存事業の強みの違いや、新規事業の方向性の違いなどによって大きく明暗が分かれる可能性が考えられています。

ここまでグリーについての様々な情報を見てきましたが、最後は同社の過去の採用情報を知り、早めの対策準備を行っていきましょう。 選考