日清食品の企業研究

今回ご紹介するのは、日本の即席麺市場でトップシェアを誇る日清食品。
この記事を読んでいる方の中には、日清食品への就職を目指している学生もいらっしゃるかもしれません。
面接で問われた時に、「なぜこの会社なのか？」をしっかりと語れるように、この記事では、以下の3つの項目から企業研究を行っていきます。

（1）会社概要　（2）「企業」を知る　（3）「採用情報」を知る

他のライバルとの差を付けるためにも、この記事を読んでしっかりと企業研究をしていきましょう。 ここでは、日清食品の経営理念や同じ即席めん業界に属する競合会社との比較、最近のニュースなどを通じて、「数ある即席めん会社の中で、なぜ日清食品なのか？」という質問への対策を考えましょう。

日清食品について深く知るために、まずは日清食品の経営理念を確認しましょう。
そこから日清食品が求める人材が見えてくるはずです。企業が求める人材を知ることで、あなたが何をアピールすべきかが分かります。

日清食品の経営理念は以下の通りです。
『食足世平「食が足りてこそ世の中が平和になる」
食は人間の命を支える一番大切なものです。 文化も芸術も思想も、すべては食が足りてこそ語れるものです。 食のあり様が乱れると、必ず国は衰退し、争いが起こります。 食が足りて初めて世の中が平和になるのです。 日清食品の事業は、人間の根源から出発しています。

食創為世「世の中のために食を創造する」
企業にとって最も大切なものは、創造的精神です。 創造とは、新しい発想と技術によって革新的な製品を生み出す力です。 食を創り、世の為につくす。 日清食品は、世の中に新しい食の文化を創造し、 人々に幸せと感動を提供します。

美健賢食「美しく健康な身体は賢い食生活から」
空腹を満たし、味覚を満足させたいと思うことは、人間共通の欲求です。 しかし、食に求められるのはそれだけではありません。 美しい体をつくり、健康を維持することが、 食品のもつ大切な機能なのです。 美しく健康な体は賢い食生活から作られます。 日清食品は、食の機能性を追及し、世の中に「賢食」を提唱します。

食為聖職「食の仕事は聖職である」
食は人々の生命の根源を支える仕事です。 食の仕事に携わる者は、社会に奉仕するという清らかな心を持って、 人々の健康と世界の平和に貢献していかなければなりません。 食の仕事は聖職なのです。 安全で美味しくて体にいい食品を世の中に提供していくことが、 日清食品の使命です。』（日清食品 企業理念ページより引用）

ここから分かるポイントは、「好奇心」「ユニーク」「グローバル」「貢献」の4点。
日清食品の社員として、既存の枠に囚われない自由な発想を持ち、カップヌードルを超えるような新しいアイデアを出していくこと。そして、その実現のために責任感を持って前向きに向って行けること。会社のために、社会のために、そして世界の食文化に貢献できる行動力を持っていること、そんな人材を日清食品は求めているのです。

ですから、経営理念に共感した上で、みなさんがアピールすべきなのは以下の4点です。
・チームとしてどのような目標を立てたか
・目標達成のために個人としてどのようなことをしたか
・目標達成のためにチームとしてどのようなことをしたか
・以上のような経験が、会社や社会に対してどのように役立ち、貢献へとつなげることができるか

次に、即席麺業界の中で日清食品と競合会社とを比較してみましょう。
日清食品の競合会社と言えば、東洋水産。日清食品と東洋水産は、どのように違うのでしょうか？

まずは財務状況から見てみましょう。
平成28年3月期の売上高は日清食品ホールディングスが4,680億8,400万円（前年比108.5%）であるのに対し、東洋水産が3,832億7,600万円（前年比100.5%）となっており、日清食品ホールディングスが前年比で売上も上昇した上でリードしていることがうかがえます。
一方で営業利益においては、日清食品263億9,900万円、東洋水産283億1,400万円となっており、東洋水産が上回っていることがわかります。

次に財務状況の背景にあるそれぞれの事業の特徴を見てみましょう。
まず日清食品は2016年3月期決算で売上構成比56.6%を占める国内即席麺事業を中心とし、今日では米国、中国、アジア諸地域、EMEA地域など世界中での売上も全売上中の21.5%に及んでいるのが特徴です。
国内では、昨期即席麺事業は過去最高売上を記録。今年度はカップヌードル、どん兵、焼きそばU.F.Oと、グループ会社・明星食品のチャルメラがそれぞれアニバーサリーイヤーというタイミングも重なり、グループ内の主要ブランドの強化と収益力アップが重要テーマとなっています。また、海外事業においては既存商圏に加えてブラジルでの新たな市場創造を目指して現地法人の完全子会社化を行っており、さらなる拡大路線が見込まれています。

一方の東洋水産は、同じく国内の即席麺事業が全売上の32.3%に上る中心事業となっており、次いで海外即席麺事業が20.1%、低温食品事業が17.7%となっています。主要事業のバランスは日清食品とは相違があるものの、主要商品群は同じです。
直近の決算報告によれば、国内では袋麺需要は低下しているものの「マルちゃん正麺カップ」によって、カップ麺売上高は過去最高を記録した他、生麺やチルド食品、冷凍麺、冷食などの分野でも売上が伸長しました。また、国外の動向においては米・テキサス工場の稼働をスタートし拡大路線を図っていることに加え、原材料安が背中を押して海外事業の営業利益率は15%を超えており、この点は収益性の高さの1つの要因となっているようです。現在はアメリカ・メキシコ市場では基盤がすでにできていますが中南米市場への注力やインド・ナイジェリアでの即席麺事業をスタートするなどさらなるグローバル展開を予定しています。

以上のようにこの2社は、主要商品群は同様に即席麺事業であることは間違いないものの、各事業の売上比率や海外展開の現状の違い、収益性の違い、今後のブランド戦略などについてはそれぞれ違った状況にあることがうかがえます。

また、近年の業界トレンドも見ておきましょう。
即席麺業界は上位4社（日清食品、東洋水産、サンヨー食品、エースコック）の寡占状態にある業界ですが、他の業界とは異なり、技術革新や市場開拓などで共存共栄してきた歴史があります。しかしながら、今後は他社との差別化を図った成長戦略に舵を取る傾向にあります。
2015年の市場規模は5,778億円と言われており、市場そのものは拡大傾向にあります。近年、一般的には袋麺離れが進んでいますが、その一方でカップ麺需要は伸びています。この流れを牽引する商品の1つが東洋水産の「マルちゃん製麺シリーズ」です。2011年に袋麺で発売されたこのシリーズはノンフライ製法の生麺食感によって大きなブームを生み出し、2015年にはカップ麺として発売。発売1か月で1,200万食を販売するという驚異的な記録を残しました。
このような商品の出現のおかげで、ここ数年で商品スタンダードに変化が起こり、各メーカーで新たな商品開発が活発に行われる他、既存商品のブランド力強化も同時に注力されるポイントとなりつつあります。

その他、海外展開の加速や健康志向の商品開発などもトレンドとなっており、それぞれの動向に注目が必要です。

ここまで日清食品についての様々な情報を見てきましたが、最後は同社の過去の採用情報を知り、早めの対策準備を行っていきましょう。 選