東宝の企業研究

今回ご紹介するのは、「バクマン。」「映画妖怪ウォッチ」などの映画・製作配給をはじめ、「レ・ミゼラブル」「エリザベート」の演劇製作・興行、映像事業や不動産経営まで行う企業集団で有名な東宝。

この記事を読んでいる方の中には、同社への就職を目指している学生もいらっしゃるかもしれません。
面接で問われた時に、「なぜこの会社なのか？」をしっかりと語れるように、この記事では、以下の3つの項目から企業研究を行っていきます。

（1）会社概要　（2）「企業」を知る　（3）「採用情報」を知る

他のライバルとの差を付けるためにも、この記事を読んでしっかりと企業研究をしていきましょう。 ここでは、東宝の経営理念や同じ映画業界に属する競合会社との比較、最近のニュースなどを通じて、「数ある映画会社の中で、なぜ東宝なのか？」という質問への対策を考えましょう。


東宝について深く知るために、まずは東宝の経営理念を確認しましょう。そこから東宝が求める人材が見えてくるはずです。企業が求める人材を知ることで、あなたが何をアピールすべきかが分かります。

東宝の企業理念は、以下の通り。
『当社グループは、「健全な娯楽を広く大衆に提供すること」を使命として小林一三により設立されて以来、映画・演劇を中心に、幅広いお客様に夢や感動、喜びをもたらす数多くのエンタテイメント作品をお届けしてまいりました。
また、創業者の言葉である「吾々の享くる幸福はお客様の賜ものなり」を大切な価値観とし、「朗らかに、清く正しく美しく」をモットーに置き、事業の三本柱である「映画・演劇・不動産」のすべての事業において、公明正大な事業活動に取り組むと共に、常にお客様の目線に立ち、時代に即した新鮮な企画を提案し、世の中に最高のエンタテイメントを提供し続ける企業集団でありたいと考えております。
上記の経営理念に基づき、今後ともグループ全体で企業価値の向上に努めてまいります。』
（出典： 経営理念・経営戦略ページ ）

ここからわかるポイントは、映像・演劇を社業の両輪としながら、この2つの事業を通じて蓄積してきたノウハウを活かし、激動の時代をチャレンジ精神で乗り越え、さまざまな分野で多彩な事業活動を展開していこうという志です。そのため、東宝は「プロフェッショナル志向」「引き出しとアンテナ」「プロデュース能力」「自分を磨く力」を持った人材を求めています。

ですから、経営理念に共感した上で、みなさんがアピールすべきなのは以下の3点です。
・東宝の主軸である映画と演劇を通して、成し遂げたいビジネスについて
・現状に満足することなく、何かにチャレンジした経験
・周囲を巻き込みながら、プロデュース力を発揮した経験


次に、映画業界における競合会社と比較してみましょう。
今回は、映画業界売上高シェア2位の東映と比較してみたいと思います。両社の間には、どのような違いがあるのでしょうか。

まず、財務状況を比較してみます。平成28年度の業績を見てみましょう。
東宝の売上高が2,294億3,200万円であるのに対し、東映の売上高は1,228億3,400万円と東宝が大きく上回る結果に。一方で営業利益は、東宝が407億1,000万円 のところ、東映は160億3,900万円と大きく差があることがわかります。
東宝は、主力の映画営業事業で、ドラえもんやポケモンなどの定番のアニメーションをはじめ、多数の話題作を配給。さらに自社の企画作品についても好結果を残しています。また、演劇事業でも、平成27年4月にオープンした「新宿東宝ビル」「TOHOシネマズ新宿」が業績に大きく貢献したことなどから、売上高は前年度比10.9%増、営業利益は同28.2%増と好調に推移しています。

では、事業構造はどうなっているのでしょうか。
東宝は阪急系の映画会社です。発祥は映画興行からスタートしました。邦画配給、興業収入ではトップを独走し、映画館跡地利用の不動産賃貸を下支えとして成長しています。『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』『ポケモン』『名探偵コナン』といった人気アニメの配給に強みを発揮しています。
対して、東映はテレビ朝日系列の映画会社として、テレビ朝日の大株主でもあります。テレビ映画、時代劇、特撮に強みを発揮しています。

また、近年の業界トレンドも見ておきましょう。
近年は邦画が好調で、映画の興行収入全体に占める割合は5～6割を超えるといいます。この背景には、複数の会社が資金を出し合って1本の作品を作り上げるという「製作委員会」があり、現在はこのシステムによる映画製作が主流に。
この製作委員会に参加する企業は、出版社、テレビ局、広告代理店、商社など。映画製作を行うことで、出版社は原作や関連する書籍の販売につながったり、テレビ局は人気コンテンツの放映権を得ることができます。商社はキャラクターグッズの販売が見込めるでしょう。さらに、日本のトレンドやPR方法を熟知している広告代理店が加わることとなれば、数々の邦画ヒット作品が続いている現状に納得がいくことでしょう。

ここまで東宝についての様々な情報を見てきましたが、最後は同社の過去の採用情報を知り、早めの対策準備を行っていきましょう。 選考フロー