成田国際空港の企業研究

つ 今回ご紹介するのは、日本の成長戦略の1つとして経済活性化に貢献する国際拠点空港で有名な成田国際空港。

この記事を読んでいる方の中には、成田国際空港への就職を目指している学生もいらっしゃるかもしれません。
面接で問われた時に、「なぜこの会社なのか」をしっかりと語れるように、この記事では、以下の3つの項目から企業研究を行っていきます。

（1）会社概要　（2）「企業」を知る　（3）「採用情報」を知る

他のライバルとの差を付けるためにも、この記事を読んでしっかりと企業研究をしていきましょう。 ここでは、成田国際空港の経営理念や同じ空港施設業界に属する競合会社との比較、最近のニュースなどを通じて、「数ある空港施設会社の中で、なぜ成田国際空港なのか」という質問への対策を考えましょう。

成田国際空港について深く知るために、まずは成田国際空港の経営理念を確認しましょう。そこから成田国際空港が求める人材が見えてくるはずです。企業が求める人材を知ることで、あなたが何をアピールすべきかが分かります。

成田国際空港の経営理念は、以下の通り。
『NAAは、国際拠点空港としての役割を果たし、グローバルな航空ネットワークの発展に貢献する、世界トップレベルの空港を目指します。
私たちは、国際交流を支える国際拠点空港として、航空需要の増大への適切な対応、質の高い安全とサービスの実現のため、たゆまぬ努力をしていきます。さらに、グローバルな航空ネットワークの発展に貢献することにより、世界の経済・文化の交流に寄与します。これらの取り組みを積み重ねることにより、すべての方々から「世界トップレベル」と評価していただける空港を目指します。』（成田国際空港　経営理念・経営ビジョンページより引用）

ここからわかるポイントは、世界に誇る国際空港としてのサービスを構築し、国際交流の視点から経済発展を支えていこうという志です。そのため、成田国際空港で働く人は、ひとりひとりがプロデューサーとして、「コミュニケーション力」「実行力」「リーダーシップ」「チャレンジ精神」「情熱」を持って、空港ビジネスや空港の未来をリードしていくことを求められています。さらに求める人財像として「自ら高い目標を掲げチャレンジする」「自ら考え、行動し、変化に対応する」ことができることを重視しています。

ですから、経営理念に共感した上で、みなさんがアピールすべきなのは以下の4点です。
・成田国際空港を通して、創造したい空港ビジネスや空港の未来について
・チャレンジ精神を持って、変化に迅速に対応した経験
・リーダーシップを発揮して、チームで何かを成し遂げた経験
・文化や価値観の違う人と、コミュニケーション力を発揮して信頼関係を構築した経験


次に、空港施設業界における競合会社と比較してみましょう。
今回は羽田空港と比較してみたいと思います。両社の間には、どのような違いがあるのでしょうか。
初めに両社の事業内容を見てみましょう。
成田国際空港は、同社と同社の子会社14社、関連会社2社で構成されており、各航空会社を顧客とした空港施設や、空港を利用する一般客に対する旅客サービス施設の運営事業を行う「空港運営事業」をはじめ、空港免税店等の商業スペース、小売・飲食店、取次店の運営に携わる「リテール事業」、各航空会社の事務所や貨物施設等の「施設貸付事業」、空港と東京を直結する「鉄道事業」という4部門を主な事業としています。
同グループは、空港処理能力30万回化の実現や、ネットワークの拡充を図るため「成田ハブ化促進インセンテ ィブ」を導入し、LCC（Low Cost Carrier）の拠点として第3旅客タ ーミナルビルをオープンした他、国内線旅客サービス施設使用料を導入。
また、一般客の利便性を高めるために「Narita Sky Lounge 和」をオープンした他、ターミナルと航空機の間を直接結ぶ固定ゲートを第2旅客ターミナルビルと第1旅客ターミナルビルに増設する等、「選ばれる空港づくり」に積極的取り組んでいます。
対する羽田空港は日本空港ビルディングが運営しており、同社と同社の子会社17社、関連会社10で構成。羽田空港国内・国際線旅客ターミナルビルの運営と利用者へのサービスを行う「施設管理運営事業」をはじめ、「物品販売業」「飲食業」を主な事業としています。
同社も近年、増加している訪日外国人の恩恵により物品販売事業等の業績は順調である一方、羽田発着枠の拡大により大規模設備投資が発生した他、空港経営改革の対応等、新たな課題に直面しています。

次に財務状況を見ていきましょう。
平成28年3月期の業績では、成田国際空港の売上高が連結2,184億8,000万円であるのに対し、羽田空港を運営する日本空港ビルディングは連結2,041億3,400万円とほぼ互角の結果に。
一方で営業利益は、成田国際空港が連結433億800万円 のところ、日本空港ビルディングは113億200万円となっており、成田国際空港の収益力の高さが伺えます。
この背景には、航空旅客数が国際・国内ともに増加したことで、旅客施設使用料収入が前年同期比で11.8％ 増となったのをはじめ、リテール事業においても、店舗増床・リニューアルが功を奏し、直営店舗の物販・飲食収入は前年同期比25.7％増、一般テナントからの構内営業料収入は前年同期比10.7％増となる等の理由が挙げられています 。

また、近年の業界トレンドも見ておきましょう。
日本における国際空港の事業環境は、訪日ビザの免除や緩和をはじめ、消費税免税制度拡充、円安等が追い風となり、 アジアを中心に訪日外国人旅行者数が増加傾向になっています。日本政府観光局によると、平成27年の訪日外国人旅行者数は過去最高となる1,974万人まで達し、前年を47.1％上回りました。さらに平成27年度は前期比45.6％増の2,136万人と躍進、初めて2,000万人台を記録しています。
このような背景のもと、政府は国家戦略として観光を基幹産業へ成長させる取り組みを行っており、平成32年に4,000万人、さらに平成42年には6,000万人の訪日外国人旅行者数を呼び込む目標を掲げており、今後も更なる成長が期待される業界の1つとなっています。

ここまで成田国際空港についての様々な情報を見てきましたが、最後は同社の過去の採用情報を知り、早めの対策準備を行っていきましょう。 選