突然ですがこの言葉聞いたことはありますでしょうか?
「上げは下げの為、下げは上げの為。」
とある著名な投資家の言葉です。
ある物の価値が上がっているのは、その後下げる為にあり、
ある物の価値が下がっているのは、その後に上げる為にある。
自分が所有しているものの価値が上がったとしても慢心するな必ず下がる、
価値が下がったからと言って慌てるな必ず上がる。という事だと理解しました。
私は残念ながら投資の専門家ではない為、 この言葉を聞いて「確かにそうだね!」と柏手を打てるような投資実績も実感もないのですが、それとはまったく違う分野で「似てる」と思えたことがあります。
それは「面接官の対応」です。
学生の就活面接のみならず社会人の転職面接も含めこれまで1万ケースは下らない面接内容とその感想や結果を聞いてきましたが、どう「似てる」のか説明する為にヒアリングして印象に残った求職者の方の感想を抜粋してみます。
ケース1 選考通過した求職者の方へのヒアリング
「正直、面接ではかなり深くまで突っ込まれました。決して面接官には良い評価をされている印象はありません。」
「最初は和やかだったのですが、途中から疑い深くしつこく質問されるようになり、必死に返答していたのですが正直受かったとは思えませんでした。」
「自分を否定されるような言動が面接官からあり、ムキになって言い返してしまったので多分落とされると思ったのですが。」
etc..
確かに選考通過者の方のお話をお聞きしていると、面接官はなぜその選考を通したのかわからない場合があるのです。逆にこんなケースもありました。
ケース2 選考不通過の求職者の方へのヒアリング
「正直何がポイントで落とされたのかわかりません。あの表面的な面接内容で、面接官は何がわかったというのでしょう。」
「終始、普通にお話しさせていただきました。緊張していたのですが、それを解きほぐすように丁寧にお話いただいたので良い結果をいただけると思ったのですが」
「面接で失敗はしてはいないと思います。いつもの自己PRはしてきたのでうまくいったと思ったのですが。」
etc..
ケース1も2の方たちも、「意外な結果だった」という点が共通していました。私も最初はそう思ったのですが、この意外な結果が求職者や企業を跨いでかなり頻発して発生している点から、考えられる仮説を立ててみました。
面接結果2:6:2の法則
これはいわゆる優秀な人は全体の2割、普通が6割、能力のない人が2割というような話ではありません。どう面接に当てはめたかは下記をみてください。
採用担当から見て、
確実に選考通過している…ホワイトゾーン2割
選考通過かどうか正直わからない…グレーゾーン6割
確実に選考不通過している…ブラックゾーン2割
これに当てはめるとケース1の方はどこに位置するのでしょうか。
ホワイト?グレー?ブラック?
ホワイトの可能性が高いのは当然として、グレーの可能性も低くなります。ブラックの可能性は間違いなくないでしょう。
ではケース2の方はどこでしょうか。
ホワイトはないとしてグレーは可能性があります。ブラックの可能性もあります。
このように考えると整理できます。
ホワイト…選考通過
グレー…(正直わからないから)選考不通過
ブラック…選考不通過
なぜグレーは選考不通過なの?もちろん面接官全てが同様の判断をするわけではありませんが、グレーゾーンは不通過になるケースが多そうです。
選考で不通過にした面接官側の言い分はこうです。
「Aさんが弊社にフィットする点を引き出そうとしたのですが、引き出しきれず時間オーバーでした」
「緊張されていたのでしょうか。ご自身の言葉で語ることもなく、自社で活躍するイメージがわきませんでした」
「当社に入社して何をしたいのか不明瞭。決まり切ったPRでした。もしかすると自ら考える能力が決して高くなくキャリア感なども醸成されていないのではないか」
etc..
面接に落ちる理由の多くは・・・
みなさんに気づいて欲しいこと。それは落ちる理由の多くは、あなたがその会社にフィットしてない、つまり「完全に黒」なのではなく、引き出す時間がなかったとか、イメージが湧かなかったとか、不明瞭とか、、つまり採用面接官にとって「グレーゾーン」なのです。その視点で企業の方の選考結果をお聞きしていると「グレーゾーン6割説」は言い過ぎではない気がします。
面接の通過率を高める方法は白黒をしっかりつけることです。グレーゾーンを減らしてみてください。2:6:2の法則で考えて、仮に真ん中の6が前後に分散されたらどうなるでしょう。3:0:7になるとしても選考通過確率は単純計算で150%にもなります。
面接中は白黒つけるために冷静かつ主体的にあなた自身が会話を引っ張っていきましょう。そして面接で穏やかに話せているからと言ってそれで本当に中身のある会話ができているのか、その瞬間の会話の深さを確かめましょう。
この会話で自分と企業とのフィット度が明確になっているか。
自分はこの企業に入社してどう活躍するか想像できているか。
面接中穏やかに話ができていてもそれで満足せず、
逆に面接中においてアゲインストの風が吹いてきたとしてもめげず、チャンスと捉えましょう。
「かなり突っ込まれているが、これは私が面接官に関心を持たれている証拠。」
「否定されたのではない。私の本心を試しているだけなんだ。チャンス。」
そう「上げは下げの為、下げは上げの為」です。
このように考えふるまれば、あなたの面接に費やした時間は無駄になることは決してありません。企業もあなたも相性を測る時間の心理状況は対等であるべきです。面接に落ちることを恐れず白黒つけましょう。黒になる事を恐れてはいけない。面接にもかかわらず相性もグレーのまま測りきれなかった時間の無駄を恐れましょう。
これからあなたがつき当る壁の一つは企業面接だと思います。何かご質問ご相談あればその都度回答させていただきますね。
それでは失礼します。
―この記事を書いた人―
小笠原 寛
iroots 事業責任者
ベトナム戦争終結の年に生まれた浜っ子。仏教系中高からキリスト教系大学へ。大学時代から人材業界でアルバイト。そのまま人事・人材業界へ。採用責任者、紹介、グローバル・障がい者採用からダイレクトリクルーティングまで経験。2012年からずっとiroots。心の根っこを大切に。