ギフトさん

「将来海外で働きたい!」「海外の学生って普段どんなこと考えているのだろう」「海外の学生って優秀そう」 こんなこと考えている学生の方もいると思います。そこで今回はirootsインターンのKobaがタイの東大と呼ばれているチュラロンコーン大学の学生にインタビューして色々聞いてきました。

TOPICS
・勉強もインターンも日本の学生を凌駕していた
・タイ人の就職活動
・タイの人気企業
・タイ人にとって公務員就職とは
・タイ人の就職活動の軸
・タイ人が見据える先
・編集後記
 
 
―――こんにちは。本日はインタビューをお受けいただきありがとうございます。よろしくお願いします。早速ではありますが自己紹介をお願いします! 
 

 

 

タイ国立チュラロンコーン大学文学部英語専攻日本語副専攻を6月に卒業し、来年四月から日系企業で働くPhattaramon Lerdpaisalwongと申します。ギフトって呼んでください!(タイ人は本名が長いため、あだ名で呼び合う習慣があります) 

―――ギフトさん本日はよろしくお願いします!ギフトさんとは去年、僕がタイでインターンしているときに知り合い、仲良くさせていただきました。ギフトさんは英語も日本語もペラペラで本当に尊敬するところが多いです。
では早速質問に入らせていただきます。

 
 

勉強もインターンも日本の学生を凌駕していた。

―――そういえばタイの大学生ってなんで制服着ているんですか? 

人々の貧富差をなくすために制服を導入したのが起源と言われています。それからずっと使っているそうです。また、近年では、勉強に集中するために制服が必要であると主張する大人も多くいますね。

 

―――人々の貧富差をなくすという理念いいですね。ギフトさんはタイの東大とよばれているチュラロンコーン大学に通っていましたが、学生生活はなにに力を入れていましたか? 

基本的には勉強していました。英語の歴史小説をよんだり、英語でビジネスメールを書いたりしていました。また、副専攻が日本語だったので日本語の勉強もしていました。私の大学では1コマ3時間で、それが週に7コマありました。 

 

―――全部で週21時間ですか。一方僕(日本の文系大学生の平均?)は1.5時間×10コマ=週15時間でした。普通に負けていますね、、、すみません、続けてください(笑) 

それぞれの科目には課題があったので、家では結構課題をやっていました。課題があまりないときは友達と遊んだりしています。私は日系企業を志望していたので、3年と4年の間の夏休みは日系企業でインターンしていました。

また、4年生のときは少し時間にゆとりがあったので、別の日系スタートアップで週2日インターンしていました。近年、タイの学生は夏休みなどまとまった休みにインターンをすることが多くなっていますね。

他にも、部活やバイトをやっている人もいます。人にもよりますが、部活をやっている人は非常に打ち込んでいます。でもやらない人は全然やらないですね。バイトでは、優秀な学生は家庭教師とかやっていることが多いですね。

 

タイ人の就職活動

―――なるほど、勉強もインターンも頑張っていたんですね。就職活動はいつどのように行っていましたか。

私は日系企業を志望していたので、他のタイ人とは就職活動の仕方が違うと思います。まずは3年のときに日系企業を見ておこうということで、タイで開催されていた日系キャリアフェアに応募しました。これはFacebook広告を見て応募しました。タイでは大学のキャリアセンターは使いません。

求人サイトも新卒募集中の企業が掲載されていて、そこから学生が履歴書を送ることができるものはありますが、日本のような就活サイトはあまりありません。 

背景

タイは日本のように新卒一括採用で終身雇用といった雇用形態ではなく、転職が激しいです。ジョブホッピングをしていくことにより、多くのスキルを身につけキャリアアップしていくというのがタイ人の考え方です。

タイの企業も教育に力を入れておらず、即戦力を求めているため、新卒採用にはあまり力を入れていません。タイ人は成長したら違う会社にどんどん行ってしまうため、日本と比べ転職率は非常に高くなっています。

 

―――なるほど、就職活動用のサイトはあまり使わないんですね!ここは日本と大きく違いますね。 

そうですね、就職活動の情報収集は先輩からが多いですね。 本格的に始めたのはそのあとですね。先ほど申し上げた長期インターンを経て、シンガポールで行われたキャリアフェアに参加しました。

これは日系企業が東南アジアの優秀な学生を集めたいということで行っているのですが、日本の友達がこのイベントの運営に関わっていたため紹介してもらいました。そこで日本での1ヶ月のインターンを紹介していただきました。

 

このインターンはフィリピン人2人とタイ人の私で参加していたのですが、1人は25歳で大学院に通っていて、ギャップイヤー(休学などして世界を回ったりすること)を活かしてインターンに参加していました。

もう一人はフィリピンのベンチャーでマーケティングをやっていたと言っていました。このメンバーで1ヶ月間、日系大手企業のグローバル戦略部でインターンをさせてもらって、そのあと選考が続き、9月に無事内定をいただくことができました。 

 

タイの人気企業

―――無事内定を獲得したんですね。おめでとうございます!ところで、他の人はどのような企業を受けていましたか? 

タイの大手企業や外資系企業ですね。
タイの大手企業では、CPグループ(食品など販売しているタイの大手グループ)やPTT(タイ国営石油)などが人気です。CPグループは日本のセブンイレブンにも食品を卸しているんですよ。日本に行ったときびっくりしました。 

 

―――セブンイレブンに卸しているんですか!今度セブンイレブンに行ったとき確認してみます。外資系の企業だとどういうところが人気なんですか? 

外資では外資系銀行やユニリーバなどの消費財メーカーなどが人気ですね。アメリカ系やヨーロッパ系の外資が人気で、日系企業は最近人気が下がっていますね。 

 

―――そうなんですか。日系企業の人気が下がっている理由って何ですか? 

日系企業はブラックっていう印象があります。また、タイで働いてる日本人が仕事に厳しくて、一緒に働きたくないと考える人も多いみたいです。日本人上司はタイ人を上から見下していると思う人も多いみたいです。 

 

―――日本人として悔しいです、、、タイ人って外資に就職するのは抵抗あるんですか? 

ほとんどないと思います。基本的に優秀な学生は英語できますし、海外と取引したいとか、海外で働きたいと思っている人は結構います。 

背景

タイでは1980年代に入ると工業化をすすめました。日本や欧米諸国の外資企業を誘致することによって、経済全体を成長させようと考えたのです。多くの外資がタイに流入してくる一方、タイ人の労働者はほとんどが英語を理解できず、仕事に順応できませんでした。そこで政府は教育に力を入れるようになり、多くの大学を設立するようになりました。

加えて、幼少期から英語教育を受けさせることによって、多くの人が外資で働けるような教育施策を実施していきました。したがってタイ人の一般的な大卒者はある程度の英語を話すことができます。したがって就職の際も、「外資」、「内資」と大きな括りを作らないのがタイ人の特徴です。一方第二外国語として、以前は日本語が人気でしたが、現在では中国語が人気となっています。

さらに、タイではまだ完全な民主主義になっているとはいえません。このため、一部のタイの優秀層はより身体的自由や上質な教育、高額な報酬を求めて国外に出ていこうとします。タイでは格差が激しく、裕福な家庭であれば一般的な日本人の家庭より裕福な生活を送っており、留学費用に困ることはあまりありません。結果として将来のキャリアのためにアメリカやイギリス、日本などに留学する優秀な学生が近年、非常に増加してきました。 

 

タイ人にとって公務員就職とは

―――公務員はタイ人にとっては人気ですか? 

全然人気ないです。というのも給料が低いですし、仕事もあまりないので成長できません。一部のお金持ちであまり仕事をしたくない人が公務員になるくらいですかね(笑) 

 

―――そうなんですか。日本では「安定している」という理由で人気のある公務員ですが、「給料が低い」、「成長できない」といった理由でタイではあまり人気ないんですね。 

そうなんですか。タイ人の私からすると日本で公務員が人気あるのが意外でした(笑)

公務員になりたい人は、成長したいとか、お金持ちになりたいという考えがなくて、ただ時間が欲しい人のイメージがあります。

でも日本は過労死とか、ワークライフバランスの問題があって近年働き方改革が叫ばれているくらいなので、公務員も人気があるのは少し理解できますね。 

 

タイ人の就職活動の軸

―――ギフトさん自身のお話に戻りますが、どこをみて就職先を選びましたか?就職の軸みたいなものはありましたか。 

ありました。主に以下になりますね。
①日系企業
②大手
③成長できるか
④海外とのつながりがあるか
⑤先輩や同期が優秀かどうか
⑥グローバルな文化があるか

また、その企業で成長できなくなったら他の企業に転職したいと考えているので、転職しやすいかや、転職に必要なスキルが身につくかどうかも見ていました。 

 

―――なるほど。日系企業の人気が下がっているにもかかわらず、なぜギフトさんは日系企業を志望するんですか? 

日本の文化がとても好きで、私が出会った日本人はいい人が多かったからです。また、私は結構仕事に厳しいタイプなので、日本人の働き方は合っていると思います。タイ人の働き方はゆるくて、個人的にはあまり好きではないです。 

 

―――そうなんですね。日本の文化、日本人が好きと言ってもらえて嬉しいです。ギフトさんにとって成長とはなんですか?どういうことをしたら成長すると思いますか? 

ビジネス面でも、人間面にも成長したいと思っています。

ビジネス面というのは仕事が上手にできる人になりたいです。どんな難しい仕事もこなせるようになりたいです。

人間面というのは、ただ仕事ができるだけではなく、人との関わりを大切にして、周りの人との繋がりの中でうまく生きられるようになりたいです。 

この2つの部分を成長するために、優秀な人に囲まれる環境で働くのは重要だと思っています。優秀な人達とただ日常会話をすることだけでも吸収することが多いと思っています。 

 

―――将来働くとき、何が仕事のモチベーションになっていますか? 

自分の存在価値を証明し、自分が優秀であることを示したいです。起業したいとかは特にないですね。 

 

タイ人が見据える先

―――これから先なにをしていきたいですか? 

仕事はこれからもずっと続けていこうと思っています。また3年後あたりにMBAを取りに院に通いたいと思っています。そのために仕事をしながら週末は勉強するつもりです。それが厳しかったら退社して勉強するつもりです。
長期的な目標としては平和で幸せな暮らしがしたいです(笑) 今は日本で暮らしたいと思っていますが、今後どうなるかはまだわかりません。 

 

―――なるほど。なぜMBAを取りたいんですか? 

いつかタイに帰国したときのために修士の学位が欲しいからです。タイでは、院卒の方が高い役職に就くのに圧倒的に有利となっています。 

 

―――ありがとうございます。最後に言いづらいとは思いますが、日本人の学生のここがよくないとこがあったら教えてください。 

日本の大学生はあまり勉強していないと日本人の友達からよく聞くので、もっと勉強した方がいいと思います。普段遊んでばかりで、就職活動になったら急に本気になって動き出しますよね。普段からしっかりと勉強して、就職活動ではゆとりをもって普段の自分を伝えた方がいいと思います。 

 

―――なるほど、勉強になります。本日は本当にありがとうございました! 

こちらこそありがとうございました。お互いに頑張っていきましょう。

 

 

編集後記

海外の学生と触れ合うことによって海外の学生の価値観や、日本の長所、短所がみえてきました。近年、日本の競争力は落ちてきていると言われているので、学生一人一人が普段から以下のようなことを意識していくことによって競争力を取り戻せるのではないかと感じました。私も一日一日を大切にしていきたいと改めて感じさせられました。 

▼私たち日本人学生が意識しなければならないこと 
其の一、
タイ人学生はめちゃめちゃ勉強している!
→英語がペラペラな人、プログラミングスキルが非常に高い人などがいて驚きました。

其の二、
タイ人学生は長期インターンにも積極的!
→海外の学生は早期から社会と積極的に関わろうとしています。グローバル化も加速しているため、我々日本人は一層危機感を持たなければなりません。今後、さらに外国人が流入してくると予測されているので、「日本で働くから大丈夫」は通用しなくなってくると感じました。 

其の三、
タイ人学生は視野が広い!
→タイは観光国であり、様々な国から観光客や留学生が常に来ているのでいろいろな国の価値観を理解する開かれたマインドの学生がおり、かつ優秀層は非常に優秀なため、留学や海外インターンなどに適した国だと感じました。

僕自身もタイに長期滞在して現地の学生と関わるうちに、海外学生のレベルの高さに驚かされました。自分と同世代の人達が将来に向かってひたむきに努力している姿を見て、日本人として自分自身も負けていられないという思いが芽生えてきました。同時に、非常にフレンドリーな性格の人が多く、日本に対して好印象を持っている人が多いので、いつか海外の人達と一緒に仕事をしてみたいと感じました。

僕自身海外の人達と仲良くなれて非常にいい経験になったので、「これからなにか新しいことしてみたいな」と考えている人は、海外に滞在して多様な文化の人と触れ合ってみて、日本の長所、短所を再認識してみることもいいのではないでしょうか。

 

―この記事を書いた人―

小林 良輔
iroots インターン
早稲田大学商学部在学中。日系企業・タイ企業のビジネスマッチングサイト、子育てメディアのインターンを経てiroots編集部へ。irootsでは主に企画、マーケティング、記事作成を担当。趣味は散歩。

 

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