表面的な自己分析になっていませんか?

「就活では自己分析が大切」。就活を始めた皆さんの中でもお馴染の言葉だと思いますが、「なぜ大切か」を自分の言葉で語れる方は意外に少ないのではないでしょうか?

「ESや面接で自分の強みをアピールして内定をとるため」「自分にあった企業選びをするため」それだけを目的に自己分析をしてしまうと、「自分の強みはこれだ!」と表面的で安易なもので終わってしまいがち。

 

「自己分析」とは就職活動の時期だけではなく、社会人になっても、自分自身が日々変化をし続けている限り、キャリアを築く上で、ずっと向き合い続けていくものでもあります。

今回のコラムでは、サマーインターンの面接前に知っておいて欲しい、自己分析のやり方をお伝えしていきます。

 

自己分析、あるあるな呪縛から逃れよう。

まず最初にお伝えしたいのは『あなたの強みなんて存在しない』ということです。

なんて失礼な事を言うんだ!と憤慨せず、もう少しお付き合いください。 

 

自己分析ではよく「自分の強み、弱みを見つける」と言われますが、まずはこの捉え方を疑う事から始めてみましょう。

おかしいと思ったことありませんか?

「私の長所は常にアグレッシブなことです。」という学生がいるとします。その学生は同時に「アグレッシブ過ぎて、チームメンバーに困惑されることがあります」という短所を伝えたとします。

アグレッシブなことはその人の長所?短所?

 

言葉のお遊びから卒業しましょう。

結論、「自分の特性を理解する」に変えることが大切です。当たり前の話ですが、強みと弱みは表裏一体で、その時の状況や環境、役割、一緒に働くチームによって、自身の特性がどのように発揮されるかが大きく変わりますよね。

 

この事例はあげればキリがありません。「継続力がある」は一見して強みに見えますが、一方で「効果が無いことでも続けてしまい、すっぱり辞められない」という形で発揮される場合もあります。

また「協調性がない」という弱みは、視点を変えてみると、「周囲に同調することなく、自分の意思を貫ける」とも言えます。

繰り返しますが「強みを見つけよう」に時間を使うのはナンセンス。「強みを捜さなきゃ」という呪縛から逃れて、自分自身の特性を見つめ、理解することが大切です。

 

特性=癖

では、「特性」をどのように見つければよいのか。「幼少期~今までの経験をアウトプットして、当時のことを振り返ろう」というのは自己分析のやりかたは、一度は聞いたことがあるかと思います。

それはとても有効な方法ですが、事実を羅列するだけでは意味がありません。2つの癖に注目するのがポイントです。

 

・情動の癖
情動(≒感情)は自分の意志ではコントロールできないもの。

涙がでるほど感動した時はどんなときか?何故感動したのか?怒った時、どんなことが許せなかったのか?どんなことに辛いと感じるか?など。あなたの情動の背景を知ることが大切です。

・理性の癖
理性は自分の意志でコントロールできるもの。

中学時代に部活に入部する時に、「何故その部活に決めたのか?」。幼いころから続けて来た習い事があれば、何故それを辞めなかったのか?今の大学・学部を何故選んだのか?友人と人間関係がうまくいかなかった時、どのような行動をとったか?など。

 

その時に起こっていた事実(体験そのもの)を把握したら、次はそれによって自分の内部に生まれたもの(情動や理性)に目を向けていきましょう。

また、できるだけ幼少期から振り返るのもポイントです。人の特性は小さなころからの成功体験や、失敗体験が蓄積されて形づくられているケースが多く見られます。

出来事の大小は気にせず、日常のささいな習慣も自分の特性を見つけるヒントと捉え言語化していきましょう。

 

不完全でもアウトプットすることで理解が深まる

自分の特性が少しずつ見えてきたら、その内容を「語れるように準備する」「誰かに話してみる」ということが次のステップです。

よく面接が終わったあと「短い時間で自分の強みなんてつたえられないよ…」肩を落としている学生が多くいますが、限られた時間の中で、自分の特性を相手に理解をしてもらい、期待感を持ってもらうためには、以下のポイントを押さえましょう。

 

あなたの「理性」と「情動」を押さえて話せば、面接官の心を動かす「小説」となる。

相手は全く自分のことを知りません。自分の特性が形作られた背景を、ストーリーとして話ができるようにしておくことが大切です。

以前、大手商社の人事責任者が、「最終面接の自己PRは、目をつぶって聞く。学生の話から情景が浮かんできたら合格。」ということを仰っていましたが、ビジネス書のように事実の積み重ねを伝えるのではなく、そこに感情を加えて小説のストーリーを物語するようなイメージを持ってみてください。

面接で自分の行動(どう考え意思決定したか)をひたすら話す方が多くいますが、その時の感情(何に対してどう感じていたか)をセットにして伝えることで、グッと深みとリアリティがでます。

上っ面きれいな文章より、リアルな心情が伝わってくる小説のほうが面白いですよね。

 

この実際に「言語化する」「誰かに話してみる」という作業を通じてて、周囲から「●●の時どう感じたの?なぜそういう行動をとったの?」という質問をもらうことも多々あります。

自分の幼少期からしっかり振り返って、自分自身の特性を理解し、全体のストーリー(自分史)を言語ができていればていれば、どんな質問を問われても矛盾なく答えられるはずです。

矛盾しているな、と自分で感じたらまだ自己分析が甘い証拠。面接が終わる毎に必ず振り返りを行い、内省→アウトプット→内省→アウトプットの繰り返しをしていくことがポイントです。

 

自己分析が深まればパフォーマンスを最大化できる

自己分析をするということは、自分のパフォーマンスが最大化できる条件を見つけるということと同じです。

自分の理性癖が分かれば、それを活かせる仕事内容を選ぶ、自分にない理性を持っている人とチームを組むということも意図的に選択できるようになります。自分がどんな時に感情のスイッチが入るのかが分かれば、より喜びを感じられるサービスや、環境を選択できるようになります。

 

これは社会人になっても同様です。仕事をする上での知識やスキルは後天的にも身につきますが、知識やスキルを発揮する上で、ベースになるのは理性と情動。就職活動は、社会に出る前に、今の自分を知る絶好のチャンスです。是非、この機会に楽しみながらやってみてくださいね。

by iroots ライター shima