JSR株式会社の戦略・強み・弱み・競合他社情報│企業研究記事

国有企業を起源とした合成ゴム等の石油化学系やファインケミカルにおけるリーディングカンパニー。近年は高分子技術を応用した戦略事業でグローバルに展開しています。

時代の流れに合わせ、半導体や液晶ディスプレイ材料といった領域へ事業拡大し、世界シェアトップの製品も保有する強みがあることで有名な化学業界のJSR株式会社に関して、戦略・強み・弱み・競合他社について就職活動の観点から企業研究しました。

下記４つのトピックに分けてご紹介します。

◆ TOPIC
• 今後5年間で年率4～6％の成長率が見込まれるファインケミカル市場
• 合成ゴムで国内トップ。数々の世界No.1を誇る製品も保有する、元国有企業の化学メーカー
• マテリアルを通じて価値を創造するイノベーション・カンパニーを目指して
• JSR株式会社の戦略・強み・弱み・競合他社のまとめ

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化学業界の中でも日本企業が得意としているのはファインケミカルの分野です。ファインケミカルとは汎用品(異なるメーカーの異なる機種に使える部品)ではない化学分野で、多品種・少量生産の化学製品の中でも特に機能性や付加価値が高く、複雑な分子構造を持っています。

ファインケミカル製品の具体例としては、医薬品や農薬、染料、顔料、塗料、油脂・界面活性剤など幅広い化学製品が含まれます。

主なファインケミカルの世界市場規模は下記の通り。

■主なファインケミカルの市場規模（2015 年）及び成長率見通し

出典： 東レ

成長性に注目すると、化粧品原料や塗料などのコンシューマー向け材料やエンプラやスーパーエンプラなどの機能性ポリマーについては今後5年間で年率4～6％の成長率が見込まれています。今後の世界経済の成長率が3％程度であることを考慮すると、こうしたファインケミカル市場は成長性が高く魅力的と言えるでしょう。

今回は化学業界の中でも、合成ゴム等の石油化学系事業やファインケミカル事業のリーディングカンパニーで、近年は高分子技術を応用した戦略事業でグローバルに展開している、JSRを紹介します。

同社は、合成ゴムの国産化を目的に政府及び民間会社の出資により設立された元国営企業。1957年の創立以来、日本でタイヤ用合成ゴムを供給し、化学産業にイノベーションをもたらすことに注力してきました。

創業事業は合成ゴム事業でしたが、時代の流れとともに、IT機器に使われる半導体や液晶テレビなどに使われる液晶ディスプレイ材料といった領域へ事業を拡大。現在、同社の事業はエラストマーや合成樹脂、デジタルソリューションから、最近ではライフサイエンスまで多岐にわたります。

JSRの事業は、合成ゴムの開発・製造で培われた高分子技術をベースに展開されており、それが同社の強みとなっています。

高分子はコントロールが難しい物質ですが、長年蓄積されたノウハウを活かして新たな製品を開発するとともに高品質かつ安定的な大量生産を実現しています。また、ユーザーのニーズに迅速に対応する技術サービスも充実しており、これらの技術やサービスは簡単にまねすることができない強みです。

さらに、幅広い製品ラインナップのなかにいくつかの、世界No.1を誇る製品を保有していることも強みです。ファイン事業の半導体材料では「ArFフォトレジスト」「ArF液浸用トップコート（TCX）」「低温硬化絶縁膜」が、ファイン事業のディスプレイ材料では「配向膜」「感光性スペーサー」などがそうです。

JSRは約60年にわたる高性能素材産業での実績を基盤とする研究開発志向の企業。30年以上前からライフサイエンス分野の研究に取り組み、近年はライフサイエンス事業をさらにステップアップさせるため、バイオプロセス分野で複数の買収を行っています。

今後大きな成長が見込まれるバイオ医薬の創薬・製造プロセス開発・委託製造を 一貫して請け負う事業を第3の柱として育成し、ライフサイエンス事業の事業範囲を拡大していくことが今後の成長戦略の1つに。

半導体業界では良く知られた企業である同社は、さまざまな面において日本のパイオニアであり、バイオ製薬業界を狙う参入予備軍からも熱い視線を集めています。半導体からライフサイエンスへとシフトしながら目指すのは、まさに企業理念が示す通り、「マテリアルを通じて価値を創造し、人間社会(人・社会・環境)に貢献します」ということ。

時代を切りひらくマテリアルを通じて、顧客や社会にソリューションを提供し、未来に向けて挑戦し続ける企業姿勢がうかがえます。

化学業界のJSR株式会社は、国有企業を起源とした合成ゴム等の石油化学系やファインケミカルにおけるリーディングカンパニー。近年は高分子技

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