大手生命保険会社、フリーランスを経て「一人一人と向き合える仕事をしたい」という想いからメタップスに人事として入社した芳賀圭介さん。入社当初は人事としての業務の幅の広さや採用方法の違いに戸惑うことをも多かったそう。「組織の規模が大きくなっても一人一人と向き合うことを諦めたくない」と語る芳賀さんの人事1年目を振り返りながら、当時の苦労やそこから得た学びについてお話を伺いました。
 
 

株式会社メタップス 人事総務部 芳賀圭介

大学卒業後、大手生命保険会社へ入社。営業や人事を経験後、退職しフリーランスとしてブログのコンテンツマーケティング支援を行う。2019年に人事としてメタップスに入社。中途・新卒採用を担当する傍らで、自社の採用オウンドメディアにも携わる。

会社名ではなく、個人の能力で勝負したい。大手企業に入社後、3年でフリーランスの道に

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―芳賀さんは2019年に中途でメタップスにご入社されていますが、そこに至るまでの経緯について教えてください。
 
大学卒業後、大手生命保険会社の営業としてキャリアをスタートさせました。大学で公共政策について研究していたので、社会保障のような役割を持つ生命保険という領域に興味を持ったことがきっかけでした。

ただ、大学受験から就職するまで自分のキャリアについてあまり深く考えたことはなく…。周りと同じ大学を目指して、就活に有利になるようにインターンをして、大手に入って…と今思えばあまり本質的ではない考え方をしていたと思います。

社会人2年目からは人事部付としてダイバーシティ&インクルージョンを推進する部署で、人事領域に関わるようになりました。ちょうどその頃に「ダイバーシティ&インクルージョンというのは女性活躍のことだけではないよね」という話が社内でも持ち上がっており、性別に関わらず育児や介護、病気などの事情に寄り添った働き方を推進していくという役割を担っていました。

そのために社員に対してアンケートをとり、課題を抽出して施策を打つということを2年間担当していたのですが、次第に身動きが取りにくい組織風土に違和感を抱きはじめるようになり…。また、社外でも活躍できるポータブルスキルを身につけるために会社名ではなく個人の能力で勝負したいと思うようになったことから、退職してフリーランスになる決意をしました。
 

メタップスであれば、組織に所属しながらも一人一人と向き合えると思った

 
―フリーランスになってどのようなことをされていたのですか。
 
ブログのコンテンツマーケティング支援です。学生の頃からブログを読んだり書いたりしており社会人になってからもブログでわずかに収益を上げていたので、ブロガーの記事を読んで「もっとこういうコンテンツを増やした方がいい」というアドバイスをしたり、その人のどういった側面を打ち出してブログを制作していったほうがいいのかといったブロガーの方のキャリアの棚卸しのお手伝いや、キャリア相談に乗ったりしていました。

適切なアドバイスをするために同じ人のブログを1000本ぐらい読みこむなど大変なことも多々ありましたが、前職で人事をしていたときとは違い、“面”ではなく“一対一”で向き合えることに喜びを感じていました。

ただ、何をするにも本当に一人というのは予想以上に寂しくて…(苦笑)。前職では組織が窮屈に感じたこともあったのですが、それでも組織やチームがあることは良かったんだなと感じるようになりました。

それらの気づきを踏まえて、「次は前職より規模の小さい会社で一人一人に向き合った仕事をしよう」という想いでベンチャーの人事を志望するようになりました。私は想像力があまりないタイプなので(笑)、結局は目の前の人が楽しそうにしていることが一番自分として納得感があるんだとフリーランスの仕事を通じて気づくことができました。
 
―なぜメタップスに入社しようと思われたのでしょうか。
 
いろいろな会社を見たときに、メタップスの規模感が一人一人と向き合えるギリギリの範囲だと感じましたし、フラットな組織風土があるところも新鮮で魅力的でした。ここであれば組織に所属しながらもフリーランス時代のように一人一人に向き合った仕事ができると感じ、入社を決めました。
 

大手企業とのギャップに驚く日々。「上から目線」の勘違いスカウトを送ったことも

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―入社後の心境、苦戦したことなどを教えてください。
 
仕事の進め方や内容が大手の金融機関とはまったく違っていたので、1年目はマインドとスキルセットに時間がかかりました。

人事としての守備範囲の広さ、求職者の方を「落とす」のではなく「誘う」採用など…同じ人事という仕事でありながら、何もかもが違うという印象でした。

エンジニアの中途採用を行う際にスカウトを送ることもあったのですが、当時はどこか「上から目線」の勘違いしたスカウトを送っていたと思います…。

新卒採用に関しても同じで、メタップスに興味を持ってくれる学生は明確にやりたいことを持っている方が多く、自分が就活をしていたときとのギャップに戸惑いました。相手の視点に立つことがそもそも難しかったですし、そのうえでどのようにメタップスの価値を伝えていけばいいのかもわかりませんでした。
 
―それらの状況をどのように乗り越えていかれたのですか。
 
急に解決できたわけではありませんでしたが、社内のメンバーと頻繁にコミュニケーションをとるようになってからは少しずつ状況が変わりはじめましたね。特にエンジニアメンバーと積極的にコミュニケーションを取るようになったことで、「知らない」ことに対する不安は解消されていきました。

もちろん知らない専門用語があれば調べるようにはしていましたが、高度な専門知識がなくてもきちんと向き合えば信頼関係は築けるということが徐々にわかってきたので、結局は一対一で向き合えるかどうかが大事なのだなと感じました。
 

たとえ完璧にはできなくても、一人一人と向き合うことを諦めない

 
―工数の関係上、どうしても一対一で向き合うことが難しいという場面もあると思いますが、それに関してはどう思いますか。
 
おっしゃる通りで、この規模感だからこそできているという部分もあると思います。ただ、できないからといってそれを完全に諦めてしまうと、結局は採用の質が落ちてしまうのではないでしょうか。

ここで私が言いたい「質」というのは、個人の質ではなく、企業と個人の関係性における「質」です。双方の相性といってもいいかもしれません。入社後に「こんなはずじゃなかった」となってすぐに辞める、もしくはモチベーションが低いまま働くというのはお互いの関係性における質が下がってしまっている状態ですよね。

こんな話をすると叱られるかもしれませんが、10名採用目標に対して8名しか採用ができなかったとしても、10名分の成果が出せればそれでいいと思っています。ただし、採用領域だけを見ていてはその成果を測ることができないので、今現場で何が起こっているのか?ということを知る努力もセットで必要です。

私もそれをキャッチアップできるよう事業部の定例MTGなどに参加し、誰がどんなふうに活躍しているのか、オンボーディングがうまくいってなさそうなメンバーはいるか…などの観察を日々行っています。
 

「人事」という壁を壊し、現場で起こっていることに目を凝らす

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―人事1年目のときにやっておいてよかったこと、おすすめの取り組みがあれば教えてください。
 
採用以外のことにも視野を広げておくことをおすすめします。私が人事1年目だったころは心のどこかで「自分は人事だから」と壁を作ってしまい、なかなか採用以外のところに目を向けられていなかったという反省点があったので…。

採用をやっているとどうしても採用数をゴールとして見てしまいがちですが、会社にとっての採用数はむしろキックオフの数字ですよね。だからこそ、採用したあとにどんなことが現場で起こっているのか、または起きそうかというところにまで目を向けておいた方が良いと思います。

もちろん採用という枠組みの中だけで仕事をしていた方が精神的にも時間的にも楽なのですが、その枠組みで築き上げた壁が予期せず崩れてしまったときに、自分のやっていたことがすべて意味のないものになってしまうとつらいですよね。そうならないためにも視野を広く持ち、人事という壁にとらわれず人と事業に向き合うことをおすすめします。
 
 
―最後に、人事1年目の方へ伝えたいことはなんですか。
 
人事1年目のときほど「知らないので教えてください!」と言いやすい時期はないので(笑)、現場のいろいろな人に話をしにいくといいと思います。このタイミングを逃したまま人事としての経験を積んでしまうと、あとになって「いまさら聞けない…」ということがたくさん出てきてしまうと思うので。

企業と個人の関係性において質の高い採用を行うために、ぜひ1年目のうちから積極的に現場に足を運んでみてください。
 
 
 
取材:小笠原寛、文・編集:西村恵