医薬品業界の「これだけは押さえておくべき」最低限の知識│就活研究記事
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2019年12月04日更新
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医薬品業界の「これだけは押さえておくべき」最低限の知識│就活研究記事

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薬学部や理系出身に人気が高い医薬品業界。同業界の研究・開発職は即戦力になる高度な専門性はもちろん、高い英語力も求められる難易度の高い業界の1つとなっています。

しかし、最近は新薬の開発に向けてIT企業と共創し、最新テクノロジーを積極的に導入するなどの取り組みが行われており非常にチャレンジングな職場環境となっており、魅力を感じる人も多いでしょう。また、近年は文系出身からも注目されている職種もあります。

今回は、そんな医薬品業界に興味を持つ就職活動中の皆さんに、同業界の歴史から、概要、市場規模、最近の動向のほか、気になる年収や医薬品業界に向いている人物像、インターンシップ情報などを紹介していきたいと思います。

ヒポクラテスから日本の国産化、飛躍的発展まで。医薬品業界の歴史



ヨーロッパにおける医学の起源は古代ギリシャのヒポクラテスと言われており、同氏がヤナギの皮や枝から鎮痛薬をつくったと伝えられています。その効用に注目したある学者が、カワヤナギの葉や小枝を化学的に分析した結果、鎮痛・解熱作用の有効成分であるサリチル酸を発見。19世紀のことでした。

サリチル酸は後にリウマチの治療にも利用されましたが、胃腸障害などの強い副作用が現れました。それを抑える研究がおこなわれた結果、化学的に変化を加えて化学合成された薬を生み出すことに成功。これが、鎮痛薬として有名なアセチルサリチル酸(アスピリン)です。近代の薬の開発は副作用を減らし、効果を高めていく化学的な研究が貢献しています。


一方日本国内では、1873年(明治6年)に政府の援助のもと、日本最初の製薬会社「大日本製薬会社」が設立されました。また大阪でも、1888年(明治21年)に「大阪薬品試験会社」が設立、さらに有力な薬種問屋が中心となって1897年(明治30 年)には「大阪製薬株式会社」が設立されました。

当初は輸入薬が中心でしたが、1914年(大正3年)に起こった第一次世界大戦を機に、薬の輸入が困難となり価格が高騰したため、薬の国産化の必要性が高まりました。そこで、モルヒネ、アスピリン、サリチル酸などの重要な薬の研究と製造が本格的に開始されたのです。

日本の製薬産業はその後著しい発展を遂げ、薬の開発の基盤となる化学研究の分野において先進国であった欧米のレベルに急速に追いついていきました。


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継続的な研究開発への投資が欠かせない、医薬品業界のビジネスモデル



医薬品業界は人命にかかわるビジネスに携わっていることから、高い社会性や公共性を持つ業界です。医薬品は私たちにとって不可欠なものであり、これからも世界の人々の健康に貢献していくことが期待されています。

日本の医薬品市場には2種類の医薬品があり、そのうち約90%を占めるのが医療用医薬品で、残りの約10%がOTC医薬品です。

医療用医薬品は医師等の診断により処方される医薬品である一方、OTC(Over The Counterの略語)医薬品は一般用医薬品で、患者などが自らドラッグストアや薬局などで選んで購入できる医薬品です。


さらに医療用医薬品には、新薬ジェネリック医薬品があります。新薬は先発医薬品、ジェネリック医薬品は後発医薬品とも呼ばれています。新薬の独占販売期間が過ぎた後に発売されるジェネリック医薬品は、新薬と同じ有効成分を持つのに価格は新薬の半分以下となるため、医療費を減らす目的で促進されています。

しかし、ジェネリック医薬品が発売されていない新薬もまだ多いことから、そのシェアは約10%程度であり、新薬が約90%を占めています。


■日本の医薬品市場


出典: アステラス製薬


また、医薬品業界の主な企業としては、武田薬品工業アステラス製薬大塚ホールディングス第一三共エーザイ中外製薬大日本住友製薬田辺三菱製薬塩野義製薬協和発酵キリン小野薬品工業大正製薬ホールディングス参天製薬明治ホールディングス、などが挙げられます。


医薬品市場の規模は約9兆1300億円。向こう5年間でマイナス成長の予想も



米国の調査会社IQVIAが発表した最新の医薬品市場予測レポート「The Global Use of Medicine in 2019 and Outlook to 2023」によると、2018年の日本の医薬品市場の規模は864億ドル(約9兆1300億円。2019年8月27日現在)。過去5年間の市場成長率は年平均1.0%で、先進10カ国の中では最低になりました。

同レポートでは、日本市場の低成長は今後も5年間も続く見通しとなっており、2019~2023年における日本市場の成長率はマイナス3%~0%と予測しています。このマイナス成長の要因として挙げられているのは薬価引き下げ、加えて後発品の使用拡大です。

今後のマイナス成長が予想される日本の医薬品市場ですが、米国、中国に次ぐ世界3位の位置は変わらない見通しとなっています。


薬価改正という課題に挑む、医薬品業界の未来



医薬品業界が抱える課題の1つに、前述したマイナス成長の要因のひとつである薬価改定による採算悪化が挙げられます。薬価改定とは、医療用医薬品の公定価格である薬価を見直すことで、原則、2年に1回、4月の診療報酬改定時に行われます。

薬価の見直しとは言え、実際は流通価格に合わせて薬価を引き下げる目的で行われており、薬価改定はずっとマイナスに。改定のたびに全医薬品で平均5~6%薬価が引き下げられてきました。さらに2018年度は薬価制度の大幅な見直しがあり、引き下げ率は7.48%と大きくなりました。加えて、2019年度は消費増税にともなう薬価改定が再度行われます。


政府は製薬企業にイノベーションを奨励している反面、その成果として新薬が商品化されたときに、売上を抑えにかかるのは矛盾しているとの意見も。イノベーションは大きなビジネスに発展する期待があるため、巨額の投資をして商品化に努めています。しかし、そのインセンティブが失われれば、研究開発への熱も冷めてしまう恐れがあります。

この薬価改定、実は、年々増大する医療費を抑制し、国民皆保険を維持したいという厚生労働省の意図も。そして、日本の製薬企業には積極的に外国に進出することを奨励し、新薬の研究開発の投資は外国市場から得てほしい。そして、日本市場で大きな利益は得られなくても、日本で新薬を開発する投資を続けてほしい、というのが本音のようです。


AI技術の活用で新薬開発の環境も様変わり。医薬品業界動向

新薬の開発は長い歳月と巨額な開発費が必要で、しかも研究開発したものが新薬となる確率は3万分の1というリスクを抱えています。このため世界の医薬品メーカーは、長期間におよぶ莫大な投資を維持できる外資などメガファーマだけが生き残ってきました。

このような状況の中、国内では武田薬品工業富士フイルム塩野義製薬などがAI(人工知能)を使った新薬開発を進めており、富士通NECなどのIT企業も含め約50社が参加


理化学研究所や京都大学と協力して創薬用AIを開発し、新薬の候補となる物質を素早く探し出す取り組みに挑んでいます。この創薬AIがもたらす経済効果としては、開発期間が4年短縮されるほか、開発費についても業界全体で1.2兆円削減されるといいます。

また、新薬の早期開発のための中でも重要なプロセスである臨床試験は、非常に綿密な実施計画の立案が求められるため、多大な時間と熟練者のノウハウが必要でした。

そこで、田辺三菱製薬と日立は、臨床試験の計画段階で専門的な医学情報の検索・収集に多くの時間を要していることに着目し、情報検索・収集の自動化を検討。

日立が開発した医療向けの自然言語処理やディープラーニング(多層の神経回路網による機械学習手法)などのAI技術を活用することで、情報収集の時間を約70%短縮できる見通しを確認しました。


今後も両社は、臨床試験全般の幅広い業務において、日立のAIなど先進のデジタル技術を用いて臨床試験を効率化し、新薬開発の期間短縮と開発コスト削減、および成功確率向上をめざしています。


■田辺三菱製薬と日立による臨床試験領域の協創


出典: 田辺三菱製薬


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薬物治療のパートナー、MR職。向いているのはこんな人



医薬品業界にはさまざまな職種がありますが、今回はMR職にフォーカスし、具体的な仕事内容や必要とされる能力、得られるキャリアなどから、どんな人が向いているかなどについて紹介します。

MRとは、Medical Representative の頭文字をとった略名で、「医薬情報担当者」と和訳されることが多いでしょう。自社で研究・開発を通じて製品化された医療用医薬品を患者さんに役立ててもらえるよう、医療機関へ安全性などの各種データを提供するのが主な業務です。そして、最終的には自社の薬を選んでもらい、売上につなげていくのがそのミッション。

そんなMRに求められるものは、自社製品の情報はもちろん、疾患や医療制度などに関する深い知識。求められる情報が多岐にわたるため、初めから知識を持つのは難しいことです。

しかし、その都度学習することで、日々知識が増えて成長し続けられるという楽しみがあり、薬や医療について学習することが苦にならない人に向いているでしょう。

MRは薬学部や理系出身向きの仕事だと思う人がいるかもしれませんが、意外にもMRの約半数は文系出身者です。薬学や理系出身者よりもさらに勉強する必要がありますが、チャレンジ精神がある人、知的好奇心が強く、やり遂げるまであきらめない粘り強さのある人には向いていると言えるでしょう。


そして医薬の知識を伝えるテクニックも経験を通して磨くことができるので、キャリアを望む人は、MRとしての価値を高めていくことができ達成感を感じることができるでしょう。また、そうして提供した情報で、実際に患者さんの治療に役に立ったと知ったときはやりがいを感じることも。医療を通じて社会に貢献したい人にもおすすめです。


医薬品業界年収ランキング。トップはソレイジア・ファーマ

続いて、気になる医薬品業界の年収を企業別ランキングで見ていきましょう。各社公表の有価証券報告書をもとにした、2019年版製薬会社の平均年収ランキングからトップ10社を紹介します。


■医薬品業界年収ランキング




(出典:AnswersNews - 製薬業界のニュース解説メディア)


平均年収ランキングで1位となったのは、バイオベンチャーのソレイジア・ファーマで1460万円。2017年3月に東証マザーズに上場しました。がん領域を中心に、世界中から有望な新薬候補品を導入し、日本や中国などアジア諸国の市場に供給することを目指しています。

続く2位は1350.6万円でサンバイオ、3位は1241.3万円のそーせいグループと、ベンチャーがトップ3を占めていることに注目。さらに、これら3社を含めてトップ10社が1000万円の大台を超えています。

給与の高い企業が多い医薬品業界は、世界トップクラスの売り上げを誇る市場でビジネスをしていることや、比較的景気に左右されにくいこと、利益率が高いのも特徴で、それらの要素が高給へとつながっています。


医薬品業界を志望するなら知っておきたい医薬品用語



続いて、医薬品業界でよく聞くトレンドワードについて紹介します。


・バイオシミラー
先行バイオ医薬品(新薬)と同等・同質の品質、安全性、有効性をもつ医薬品。バイオ医薬品の中でも、ジェネリック医薬品のような位置付けの薬剤があり、バイオ後続品とも呼ばれています。

・スイッチOTC
医療用から一般用に切り替えた(スイッチした)ということから、「スイッチOTC」と呼ばれています。医療用医薬品と成分が同じため、薬剤師による服薬サポートが大切です。

・ゲノム創薬
ゲノム情報(遺伝子と染色体を合成した言葉でDNAのすべての遺伝情報のこと)のデータベースを活用して、病気の原因になる遺伝子やその遺伝子が作るタンパク質の情報を調べ、そのタンパク質に結合する分子や抗体から薬を創る方法のこと。

・アンメットメディカルニーズ
いまだ有効な治療方法が確立されていない疾病に対する医薬品・医療への強い要望を意味。アルツハイマー病、精神・神経疾患、がんなどの治療について積極的な研究開発に取り組んでいます。 ・スマートドラッグ
人間の脳の機能や能力、認知能力や記憶力を高める薬品や物質の総称。狭義には医薬品のみを指していますが、広義には栄養素やサプリメントや健康食品などを含めることもあります。


東京大学発の創薬系バイオベンチャー。ビジネスモデルもユニーク

大手製薬会社で研究開発部門の縮小や創薬ターゲットの絞り込みが進められる中、大学病院など臨床現場からの需要を受けた創薬系バイオベンチャーの存在感が高まっています。

その中の1つが東京大学発のバイオベンチャー企業であるペプチドリーム。産学連携による創薬研究開発を行っています。2013年6月に東証マザーズに上場、その後2015年12月に東証一部に市場変更しました。

同社は好業績に加え、多数の製薬会社と共同研究開発契約を締結し、契約初期に「契約一時金」を受領するなど各段階で収益が生じるビジネスモデルを構築。この革新的な独自の創薬開発プラットフォームシステムで、特殊ペプチドの優位性を活かしたビジネスを世界中で展開し、国内のみならず海外ビジネスも堅調です。


■2019年6月期決算説明会資料より。独自のビジネスモデルで多数の大手とも連携


出典: ペプチドリーム


2019年6月には、ペプチドを用いた放射性医薬品分野において世界のリーディングカンパニーであるスイス・ノバルティス社との共同研究開発に関する契約を締結するなど、今後の活躍が注目されている企業です。


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医薬品業界に興味があるなら必ずおさえておきたいインターン情報

最後に、医薬品業界に興味がある人必見のインターンシップ情報です。今回は、就活生に人気の高いアステラス、エーザイ、大塚製薬、

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