三菱ケミカルの企業研究（事業・成長戦略）

今回ご紹介するのは、2017年4月、三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨンの3社統合により、強力な総合力を備えた「三菱ケミカル」です。

◆ TOPIC
• 3社統合で総合力を強化！経営資源の共有で海外市場拡大に期待
• 競争力の高い商品を海外へ、新エネルギー材料にも注力
• 今後の展開、更なるグローバル化に向けた戦略とは？

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依然として厳しい状況が続く化学業界で、親会社の三菱ケミカルHDは不採算事業からの撤退や積極的な再編により経営体質を強化。3社統合により発足した三菱ケミカルは、各社の決算数値を単純合算するとこの規模の大きさになります。

連結従業員数：約41,600名 連結売上高：2兆7,751億円 グループ会社数（関係会社含む）：約380社 海外売上高比率：44％ 統合後は、化学系3社の「人」「技術」「情報」等の経営資源を共有し、低迷する業界で高成長・高収益型の事業体を実現します。再編され10に集約された事業分野では、「自動車・航空機」「パッケージング・ラベル・フィルム」「IT・エレクトロニクス・ディスプレイ」「環境・エネルギー」「メディカル・フード・バイオ」の5市場での成長が期待できます。

近年、拡大傾向にあるアジア新興国に、三菱ケミカルは欧米と同じく約70拠点を設けています。今後は、ASEAN・インド市場を中心に、中国や欧米でも引き続き事業を拡大させ、三菱ケミカルの発足と共にグローバル展開を加速させます。
海外市場では、炭素繊維・プラスチック製品・医薬品といった競争力のある商品を強化します。三菱ケミカルの炭素繊維は、軽さは鉄の約4分の1、強さは約10倍と、軽量かつ強靭な素材。平成29年3月には、トヨタ自動車が新型「プリウスPHV」のバックドア構造部材に炭素繊維強化プラスチック部品を採用しています。

バックドア骨格部材に採用された三菱ケミカルの炭素繊維強化プラスチック部品

出典： 深層断面／アジア勢に対抗　新たな投資視野－炭素繊維、勝利への布石｜トピックス　ニュース｜日刊工業新聞　電子版

新エネルギー分野では、電器産業向け製品に採用される「窒化ガリウム」の基盤開発に力を入れます。高性能LED照明やレーザーなど幅広く活用されることから、将来的な収益拡大の軸になることが予想されます。

親会社の三菱ケミカルHDの財務状況は、平成27年度売上高が38,231億円、営業利益が2,800億円となっています。平成25年度より増収増益を継続し、グループの中核を担う三菱ケミカルにとって、安定した財務基盤が築かれていることになります。

三菱ケミカルHDの営業利益と営業利益率

出典： KAITEKIレポートダウンロード：三菱ケミカルホールディングス

今後、三菱ケミカルでは自ら成長できる事業体制づくりを強化します。まずは三菱化学・三菱樹脂・三菱レイヨン3社の各地域に広がる経営資源を統

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