2022年にKDDIに新卒入社後、1年目から人財開発部に配属された小島さん。「新卒採用担当はイメージの10倍は大変だった」と振り返る中で、今までのあゆみと人事1年目時代に心掛けていたこと、人事としての今後キャリアについてお話をお伺いしました。 
 

KDDI株式会社 コーポレート統括本部 人財開発部 新卒採用グループ 小島淳平

学生時代は水泳に励み、大学時代は全国大会にも出場。2022年にKDDIへ新卒入社し、人財開発部の新卒採用グループに配属。技術系の採用を経験後、現在は業務系8部門の選考を統括している。

学生時代に打ち込んだ水泳経験がキャリア選択のきっかけに

―小島さんは2022年に新卒でKDDIへご入社されていますが、そこに至るまでのルーツについて教えてください。
 
小学校から大学までの14年間は、ひたすら水泳に打ち込んでいました。高校や大学もすべて水泳第一で選んだので、私の人生そのものを形作ったといっても過言ではありません。社会人でも続けることはは狭き門でしたが、最終的には日本学生選手権や全日本にも出場でき、一定の成果を残せたことに満足しています。

水泳は個人競技ですが、私の場合は自分の実力を磨いてチームみんなで成果を上げるところにやりがいを感じており、この経験がキャリアを選択する上でも一つの軸になりました。

大学では運動生理学について学んでいたのですが、この研究をもっと深めてみたいという想いから、そのまま大学院に進学しました。研究自体に面白さは感じており、ゆくゆくは研究者を目指すという道もあったのですが、私はとにかく執筆が苦手で…。

教員免許も取得していたのですが、一度就職してからも教員になることは可能ですし、一般企業で働いた経験は生徒への進路指導などにも役立つと思い、新卒では就職の道を選びました。

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通信でスポーツの魅力を伝えたいという想いから、KDDIへの入社を決めた

―KDDIに興味を持ったきっかけを教えてください。
 
せっかく仕事にするなら多くの人に影響を与えられる仕事がいいなと思っていたので、最初は漠然とインフラ業界を見ていました。ただ、就活を続けるうちにだんだんスポーツに関わりたいという想いが強くなり…。

苦難を乗り越えた先にある達成感や、チームで勝つことの喜びなど、私自身が水泳によって人生が豊かになったという実感があったので、スポーツの価値をより多くの人に伝えていきたいと思ったんです。

選手のサポートやスポーツ用品メーカーなどさまざまな関わり方を考えましたが、そもそもスポーツの映像や情報を伝えているのは通信であり、その通信もインフラの一つだと思い至り、KDDIを含めた通信業界を志望するようになりました。

KDDIに興味を持ったのは、通信とライフデザインの融合を掲げ、さまざまな領域で事業展開をしていることを知ったからです。

その一環としてスポーツのコンテンツ配信やクラブチームとのコラボなど、私がやってみたいなと思っていることにもすでに取り組んでおり、ここであれば通信を通じてスポーツの魅力を伝えられるのではないかと思い、入社を希望しました。

他の通信会社も受けていましたが、最後の決め手になったのは“人”のマッチ度です。水泳の経験からチームで戦うことが好きだったので、OB・OG訪問をする中でもっとも人のタイプが合うと感じたKDDIへ入社しました。
 

予想外だった入社1年目の人事配属。新卒採用は想像の10倍大変だった

―入社後、人財開発部の新卒採用グループへ配属されたとのことでしたが、それは小島さんのご希望だったのですか。
 
いえ、まったく予想していませんでした(苦笑)。入社前に業務内容説明会というものがあり、サービス企画と営業を第1・第2志望として書いたものの、第3希望までは思い浮かばず…。

そのときに人財開発部の説明をしていた方が「人と話すことが好きなら向いていると思いますよ」とおっしゃっていたことが印象に残り、深く考えずに人事本部と書いたんです。

その後、個別に配属面談が実施され、最終的には人財開発部への配属が決まりました。

新卒から人事へ配属される人は少なかったので驚きましたが、ネガティブな気持ちはありませんでした。入社した時点では自分が何者でもないことはわかっていたので、まずは置かれた環境で成果を出し、最終的にスポーツ関係のことにチャレンジできればいいなと思っていました。
 
―入社1年目から新卒採用を担当し、どのような所感を持たれましたか。
 
就活生のときに人事へ抱いていたイメージの10倍は大変でした(苦笑)。イベント一つにしても、登壇者の調整や準備、振り返りと分析など…学生の前に立つのはほんのひとときで、見えていない部分がたくさんあったんだなと実感しました。

そんな中でも、周りの方々には本当に恵まれていたと感じます。思考の深さやレスポンスの速さなど、「この人を目指せば間違いなく成長できる」と思える方が周りにたくさんいて、その仕事ぶりを肌で感じながら経験を積めることがモチベーションの源になりました。

入社して最初の半年は技術系部門の新卒採用を担当し、その後から現在に至るまでは業務系8部門の選考を統括しています。1年目はすでに決まっている戦略を実行していく役回りでしたが、2年目からは全体の採用戦略やスケジュール設計を担当しています。

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人事の経験年数は関係ない。「新入社員だから」を免罪符にしたくなかった

―人事1年目を振り返って、どのような心構えで採用に向き合っていましたか。
 
自分も1年ほど前までは就活をしていた身なので、就活生がどの時期にどんなことを考えているかはだいたい想像がつきました。なので、学生に対して都度「今は〜〜をしている時期だと思うけど…」と、率先して声がけをするようにしていました。

一方で、新入社員であることを失敗の免罪符にしたくないという想いがあったので、学生に不安・不審を抱かせないような立ち振る舞いを常に意識していました。学生から見たら、人事が入社1年目かどうかは関係ありませんからね。

もちろん最初からそのようにできていたわけではなく、配属2日目に最終面接のアテンドを任されたときは学生よりも緊張してしまったほどです(苦笑)。

でも、失敗したときに「入社1年目だから仕方ないや」と思ってしまうと、ずっとそのマインドから抜け出せなくなる気がしたので、上司や先輩方同様、自分も人事のプロとしての自覚を持つように切り替えていきました。
 

人事のほとんどはゼロからのスタート。だからこそ、自ら手を伸ばすことが大切

―人事1年目にやっておいて良かったことやおすすめしたい取り組みはありますか。
 
私もそうですが、学生時代に人事領域について専門的に学んでいたという方は少ないと思います。ほとんどの場合がゼロからのスタートになるので、勉強会への参加や資格取得など、自ら手を伸ばして何かを得ようとする姿勢は大切だと思います。

例えば、社内で人事制度の策定に関する勉強会が開かれた際には、別部署であっても手を挙げて参加していました。人事制度の策定をやってみたかったというよりは、あくまでも採用をおこなう上での知識を得るために参加したのですが、想像以上の学びがありました。

人事制度に対する理解が深まったことはもちろんですが、人事領域そのものの広さと奥深さを知り、この道をもっと深めていくキャリアもありかもしれないと思うきっかけにもなりました。

採用はあくまでも人事領域の一角なので、直接業務に関わりがある・なしではなく、人事領域全体について理解を深めることで、人事としての可能性やキャリアが広がるかもしれません。

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―今後のキャリアについてどのように考えていますか。
 
このまま人事としてキャリアを積む方法もありますが、人事として社員への理解を深めるために一度事業部門に出て経験を積む選択肢もあると思っています。

KDDIには社内副業制度があるので、まずは副業という形で事業部門の業務を経験し、そこからどのようなキャリアを歩んでいくのかを考えてみればいいかなと思っています。同じチーム内でも社内副業をしている人は多いので、自分もそう遠くない未来にチャレンジしてみたいです。
 
―最後に、人事1年目の方へのメッセージをお願いします。
 
営業などの職種に比べると、人事を経験できる機会はそう多くありません。私のように予想外に人事になった方もいるかもしれませんが、せっかく得た貴重な機会を積極的に活かしてほしいと思います。

人事は会社を支える役割なので、深めれば深めるほど会社全体を見渡せるようになりますし、その広い視点は次のキャリアを考える上でも役に立つはずです。私自身、会社全体を見渡せるようになるにはまだまだ経験が必要ですが、この記事を読んでいただいている方にも、人事として広い視点を持つことの大切さをお伝えしたいです。
 
 
 
取材・文・編集:西村恵