「この人たちだったら背中から刺されることはない」という想いから新卒でネットプロテクションズに入社した赤木俊介さん。カスタマーサービスや新規事業立ち上げを経験後、採用チームへ異動し、現在は新卒採用リーダーとしてチームを牽引している。「採用は“資産と負債”で考える」と語る赤木さんの採用への向き合い方についてお話を伺った。
 
 

株式会社ネットプロテクションズ 新卒採用リーダー 赤木 俊介

2013年株式会社ネットプロテクションズ入社。NP後払いの顧客対応部門のマネージャーに最年少で就任し、顧客体験改善に従事。スマホ決済「atone」の立ち上げに参画し、与信審査システム・顧客対応チームの初期設計を行う。並行して、新卒採用・オフィス移転の責任者として幅広い領域に関与している。

デザインを学び、「自分はコンセプトを作る側の人間になりたい」と思った

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―赤木さんは2013年に新卒でネットプロテクションズにご入社されていますが、そこに至るまでの経緯について教えてください。
 
 
幼い頃から絵を描くのが好きで、デザイナーになりたいと思い、大学でデザイン系の学部に入りました。しかし、その中でデザインとは「コンセプトを形にする仕事」であることを知り、自分はそのコンセプトを作る側の人間になりたいと思うようになりました。そしてそれができるのは事業をつくるビジネスサイドだと思い、大学3年生からは他の学部の授業をたくさん取るようになりました。

その中で特に面白いと思ったのは、教育学でした。3.11の震災で被災した子どもたちのために何かできることはないかと考え始めたことがきっかけです。精神の発達や幸福学、認知学などについて興味深く学びしました。

就活の時期を迎えても事業をつくりたいという目標は変わっていなかったので、そのためにもまずは人・モノ・金・情報を扱えるようになる必要があると考えていました。

人・モノ・金・情報を扱うためにはコンサル業界がいいのでは、という単純な理由でコンサル業界を中心にさまざまな会社を見ていましたが、多くの会社を見て感じたことは、“業界・業種を軸にしても意味がない”ということでした。同じ業界・同じ規模の会社でも、自分の興味関心にフィットする会社とそうじゃない会社があると知ったからです。それであれば業界・業種にとらわれず、自分の個性をさらけ出してそれを受け入れてくれる会社に入ろうと思いました。

自分の考えを積極的に話した結果落とされたこともありましたが、「合わないのであればしっかりと落としてもらった方がいい」という気持ちで就活をしていました。

生意気かもしれませんが、「学生は会社に選ばれるのではなく、会社を選ぶ立場である」という考えは当時から持っていたので、今でも採用の場で学生にその想いを伝えています。
 
 

「この人たちだったら、背中から刺されることはない」と思えた

 
 
就活の結果、いくつかの会社から内定をいただいたもののどうしても結論を出せずにいました。

そんなときに田坂広志さんの「仕事の思想」という本を読み、「死生観から働くことを考えよ」というメッセージにとても感銘を受けました。そして限りある自分の人生を、自分が愛せるプロダクトやメンバー、お客様のために捧げたいと思いました。

その観点で考えたときに、自分の人生を捧げる価値があると思ったのがネットプロテクションズでした。ネットプロテクションズは自分のありのままの個性を認めてくれましたし、内定のフェーズにおいても無理にクロージングをかけることなく、どこまでも人としてフラットに接してくれました。

先ほどの死生観の話にも通じることですが、「この人たちだったら一緒に仕事をして背中から刺されることはない」と思えました。内定をいただいた中でそんな会社は他になかったので、入社を決めました。
 
 

カスタマーサービス、新規事業立ち上げを経験後、採用チームへ

 
 
―入社後はどのような業務に携わられていたのですか。
 
 
入社1年目は研修とNP後払いの法人部署を経験し、入社2年目からはCS(カスタマーサービス)に配属されました。CSではコールセンターのマネジメント、お客様の声をもとにしたサービス改善、原価削減などの業務を行っていました。いわばプロダクトマネジメントのような役割です。

その後、CSのマネジメント責任者や「atone」事業の立ち上げを経て、入社6年目の2018年から採用チームに参画しました。
 
 
―採用は赤木さん自身のご希望だったのですか。
 
 
声をかけられたのがきっかけではありますが、つねづね自分のリソースをどこに投下すると、会社の利益最大化に貢献できるか考えていました。また、当初の目的であった人・モノ・金・情報に関わることには積極的にチャレンジしていきたいと思っていたので、人について学ぶいい機会であると考えました。
 
 

“村”の中で成果をあげる人だけでなく、外に出て新しい大陸を発見するような人を採用したい

 
 
―人事として取り組まれたことについて教えてください。
 
 
最初に行ったのは、来期に行う採用の人材用件や計画を一からつくることでした。

その中で私は、コンフォートゾーンの中だけでなく、会社をストレッチさせる人もバランス良く採用したいと考えていました。例えるならば、ネットプロテクションズという“村”の中で成果をあげる人だけでなく、村の外に出て行って新しい大陸を発見してくれるような人です。

また、男女や文理の割合も自然界と同じ割合にしたいと思っていたので、女性や理系の方と対話できるメンバーを採用チームに招きました。それらの割合が自然界と違うのは組織に何かしらのゆがみがある可能性があり、そのゆがみを抱えたままの組織はいずれ淘汰されてしまうと考えていたからです。
 
 
―初年度の採用に関してはどのような所感を持たれましたか。
 
 
結果として成功したのは、価値観がマッチする学生をきちんと採用できたことです。自分たちの価値観をしっかりと示していれば、多少スケジュールに遅れがあろうが採用はできるのだという自信が持てました。

一方で、会社をストレッチさせる人が採用できなかったのは反省点として残りました。そうなった原因は、なぜストレッチ人材が必要なのか、そもそもストレッチ人材とはなんなのかという共通認識を社内で持てなかったことにあると考えています。ネットプロテクションズでは全社採用を行っているので、ストレッチ人材が組織の中でいかに重要かという認識を持つことが大事です。

ストレッチ人材はネットプロテクションズが進化するうえで必ず必要になってくるので、共通認識を揃えるための取り組みは継続的に行っていきたいです。
 
 

学びを目的としたインターンにおいて、参加者が大学生だけである必要はまったくない

 
 
またネットプロテクションズの新たな取り組みとして、中高生向けのインターンを始めました。

もともと大学生向けのサマーインターンは実施していたのですが、「チームとの向き合い方」や「自分がやりたいことの考え方」を学んでほしいという目的に対し、参加者が大学生だけである必要はまったくないよね、という結論から実施に至りました。

夏に5日間、15名参加を2ターム実施したのですが、驚くことに大学生と中高生でアウトプットの質に差はほとんどありませんでした。しかし、自分と考え方が違う人への向き合い方や自己開示をする度量は大学生の方が優れていました。一方で、しがらみがないからこそ発揮できる強さや、ピュアに物事に向き合えるところは中高生ならではの強みだと感じました。

会社としては先行投資という位置付けに近いですが、まだ先入観のない意欲的な中高生に対して「仕事って楽しいよ」と伝えることには大きな社会的意義があると思っています。そこから生まれる種が世の中をきっと良くするのだという期待が持てるだけでも、開催している価値があります。
 
 

採用は“資産と負債”で考える。社内の「小さなくすぶり」が、5年後の負債になってしまう

 
 
―現在のようなコロナ禍の採用において、変化したと感じることはありますか。
 
 
採用がオンライン化したことによって、学生が自己分析をしにくくなっているのかなと感じます。例えば私が就活していた頃は、説明会が終わってから他の学生と話す中で自分の価値観を知り、内省を深めることができました。しかしオンラインの採用においては、接続を切った瞬間に実生活に戻ってしまい「内省」が疎かになりがちです。

そうすると学生はどうしてもネットに溢れている情報の中に答えを見つけようとし、そのまま情報を飲み込んでしまいます。この状況をいかに解消すべきなのか私自身解はありませんが、学生と接していく中で言語化をサポートし続けたいと思っています。
 
 
―採用を行う上で、赤木さんが大切だと考えていることを教えてください。
 
 
大前提として、自社がいい会社である必要はあります。成長している、利益を出せる状態にある、明確なビジョンがある、粘り強いリーダーがいる…などです。虚栄だけで採用をし続けても長くは続かないでしょうから。

あとは、PL(Profit and Loss statement)ではなく、BS(Balance Sheet)的な思考を持つことです。これは別の記事でもお伝えしたのですが、採用は損益計算のような短期的KPIではなく、“資産と負債”という長期的観点で考えた方がよいと思います。

そして負債を増やさないためには、日頃から社内にある“小さなくすぶり”を見つけて、先手を打っておく必要があります。今潜在化している課題はきっと5年後に顕在化した課題になるでしょうし、顕在化した課題に対して採用で手を打つのは非常に難しいです。

“小さなくすぶり”を見つけるためには、人事は組織課題を拾う対話と、採用活動の意義理解の対話を怠ってはいけないと考えています。そのためにも「自社に合っている人・いない人」「これから採用していきたい人」を私たち人事がきちんと言語化し、社内で採用に対する共通認識を揃えた上で、“人は資産であり、未来への希望だ”というメッセージを日頃から全社に向けて発信していくことが重要だと思います。
 
 

自分の愚かさを知り、自分よりも優秀な人を採用する勇気を持つ

 
 
―最後に、人事1年目の方に伝えたいことはなんですか。
 
 
まず、長期的な視野で物事を理解するために知見を増やす努力は意識的にした方がいいと思います。春になればサマーインターンの準備、サマーインターンが終われば本選考…という短期でKPIを追いかけ続けているだけでは、3〜5年後の負債に対して先手を打つことができなくなってしまいます。そうならないために、自分の中の”モノサシ”で測れるものを増やす必要があり、歴史・世界から知見を得ることは大事だと思います。

あとは自分の愚かさをきちんと知り、自分よりも優秀な人を恐れずに採用していくことが大事だと思います。立ち上げたときは優秀な人ばかりだったのに、年々レベルが下がっていく大学のサークル組織ってあるじゃないですか。それは上の人たちが「自分がリーダーだ」という意識を持ちすぎているが故に、自分の地位を守るために自分よりも優秀な人が加わることを恐れた結果だと考えています。

自分の愚かさをきちんとさらけ出し、「きみは優秀だから組織の器を拡げる手助けをして欲しい!」とピュアに言える勇気を持ってほしいです。