新卒として美容業界に就職したものの、人が定着しない環境に課題を感じたことから、人事という仕事に興味を持ったという大塚葵さん。2017年に未経験ながら人事としてノースサンドに入社し、現在は「今までの3倍の人数を採用する」という高い目標に向かって日々奮闘している。そんな大塚さんの人事1年目を振り返りながら、これまでの挑戦と歩みについてお話を伺った。
株式会社ノースサンド 人事部 大塚 葵
新卒で美容業界に就職し、2017年に株式会社ノースサンドへ入社。人事部の新卒採用担当として、採用戦略の立案から面接対応、入社後のフォローまで、幅広い業務に従事している。
目次
大学卒業後、フリーターを経てエステ業界へ
―大塚さんは2017年に中途でノースサンドにご入社されていますが、そこに至るまでの経緯について教えてください。
実は私、大学時代に一度就活をやめてしまったんです。最初は出版業界やIT業界の選考に参加していたのですが、何を基準に自分が評価されているのかわからなくなってしまって…。
そのことで就活に興味が持てなくなり、途中でやめてしまいました。卒業までは大学での研究に力を注ぎ、就職先が決まらないまま卒業しました。
大学卒業後は目標もないままカラオケ屋でアルバイトをしていたのですが、次第にこのままではいけないと思うようになり、夏頃には就活を再開しました。
当時は何もやりたいことがなかったので、とにかく手に職をつけたいという気持ちが強く、あるエステ会社の選考を受けました。もともと美容業界には興味がありましたし、人にも喜んでもらえる。そんなところも自分に合っているのではないかと思い、入社を決めました。
入社したときは自分の中で「必ず3年以上は頑張る」と決めていたのですが、想像以上に厳しい日々が続きました。最初は技術を習得するのに必死で、土日・朝晩問わずに働いていましたが、つらい中でもやりがいを感じていました。
そして2年目からは店長を任されるようになり、店舗管理や売り上げ目標を追いかけるようになりました。結局入社から3年半で退職することになるのですが、自分が感じていた会社の課題から人事という仕事に興味を持つようになりました。
人が定着しない環境に課題を感じ、人事という仕事に興味を持った
ーその課題について、具体的に教えてください。
私が働いていた会社はとても離職率が高く、いくら部下を教育しても本当にすぐにやめてしまうんです。退職理由を本人に聞いてみると、ほとんどが「入社前に聞いていた話と違ったから」というものでした。例えば、思っていたよりも残業が多かったり、体力的にもキツかったりといったミスマッチによって大量に人が辞めてしまうという状況になっていました。
離職を生んでいる原因はミスマッチだということに気付き、ギャップの無い採用を実現したいと思い、最終的には転職を決意しました。
創業2年で新卒採用を始める熱意に打たれ、ノースサンドに入社
―次のフィールドとしてノースサンドを選んだ理由を教えてください。
現在の上司との面接を通じて、「本気で会社を作るための仲間を探している」という熱意を感じましたし、この人の下で働くのは絶対に楽しそうだと直感的に思いました。
当時のノースサンドは創業2年、従業員数50人というフェーズで新卒採用にチャレンジしようとしており、新卒採用担当者を探しているところでした。
創業2年で新卒採用を行うのはリスクが大きいと思われるかもしれませんが、早く新卒採用を始めればその分早く戦力が育ちます。その意気込みにもとても共感しましたし、これから成長していくノースサンドが描く未来にワクワクしました。
また選考時の会社説明や選考対応にとにかく嘘がなく、誠実さを感じられたところにも好感が持てました。そのような経緯から、会社に魅力を感じ熱意を持って入社したい旨を伝えたところ、未経験ながら新卒採用担当者としてご縁をいただきました。
―人事1年目の所感について教えてください。
入社1年目は何もかもに苦戦しました(苦笑)。
前職が接客業だったこともあり、エクセルの使い方はおろかビジネスメールの送り方すら知らなかったので、覚えることが多く大変でした。
それらのことに悪戦苦闘しながら採用手法やノースサンドについて勉強し、理解したことを噛み砕いて学生に伝え…ということにすごく苦労しました。
上司を含めて人事経験のある人が社内にいなかったので、慣習や常識にとらわれずにさまざまなチャレンジができるというのはいいところだと思っています。
入社1年目に心がけていたのは、人事としての“発信力”を持つこと
―人事1年目のときに心がけていたことを教えてください。
上司に気を配るよう言われていたのは、人事としての“社内への魅せ方”です。
ノースサンドのコンサルティングサービスというわかりにくいサービスを提供しているという特性上、新卒採用を人事だけで行っていても学生に振り向いてもらうのは難しいと思っていました。だからこそ、人事としていかに発信力を持ち、社員を巻き込んでいくことがすごく大切でした。
私はもともと発信するのが得意なタイプでしたが、逆に変な目立ち方をして嫌われないように気を配っていました。
そのためにやっていたのは、本当に基本的なことです。少しでも早く社員全員の顔と名前を覚える、毎朝自分から社員全員に挨拶する、社内イベントに積極的に参加する、年齢や役職問わず尊敬し教えてもらう姿勢を大事にする…こうやって並べるとすごく当たり前なことですが、こういう地道な努力を周りの人たちはしっかり見ていると思います。
誰かがポジティブに頑張っている様子は自然と社内に広がっていくので、だんだん「この前◯◯さんが大塚さんのこと褒めてたよ」という言葉もかけてもらえるようになりました。
もちろんネガティヴな評判もすぐに広がってしまうものだと思うので、経験を重ねてもつねに見られている意識は持つようにしています。
「不器用でもいいから周りから応援される人になる」というのは、人事だけに限らず仕事をする上ですごく重要な要素だと思っているので、内定者や新入社員にも伝えるようにしています。
人事は成長できるが孤独な仕事。先を見て、進み続ける勇気を持って
―今後人事としてチャレンジしていきたいことはなんですか。
今期からは初めて役員の力を極力借りずに人事を中心として採用を行います。更に今までの3倍の人数を採用するという高い目標を掲げているので、まずはこれをクリアしたいです。
初めてのチャレンジばかりなので当然プレッシャーも感じますが、これに成功したらノースサンドが次のフェーズに入れるのだと思うとすごくやりがいを感じます。
人事未経験からスタートした私ですが、このような高い目標をクリアできれば周りからの信頼も厚くなると思うので、今後人事としてより大きなチャレンジをするためにも必ずやり遂げたいです。
―最後に、人事1年目の方へメッセージをお願いします。
人事という仕事は真剣に向き合えば100%成長できますが、その分孤独な仕事でもあります。コーポレート部門として現場に対して言いにくいことも言わなければいけない立場でもありますし、時には現場と経営陣の板挟みになってしまうこともあります。
でも、だからと言って経営陣と現場のギャップを無理に埋めにいく必要はないと思っています。
私たち人事の役割は、現場の要望をそのまま聞くことではなく、現場の人たちが3年後、5年後といった先に働きやすい環境を作ることです。その過程で意見がぶつかったりわかり合えなかったりすることもあるかもしれませんが、先を見て進み続ける勇気が必要です。
この孤独な成長環境に耐えられるかはその人次第ですが、やり遂げた先には必ず成長した自分が待っていると思います。
取材:小笠原寛、文・編集:西村恵