商社業界の概要・職種・魅力・動向 | 業界研究記事

今回ご紹介するのは、商社業界。

商社といえば、｢2014年版・ダイヤモンド就職先人気企業ランキング（文系・男子）｣において、住友商事・三菱商事・伊藤忠商事がTOP3を占めるなど、非常に人気の業界です。
さらに「平均年収ランキング（平成24-25年版）」においても、2位のテレビ業界（976万円）と200万円以上の差をつけて1位に輝きました（1187万円）。

この記事では、以下の3つの角度から商社業界への理解を深めていきます。
（1）業界概要
（2）業界の魅力
（3）業界の動向

この項目では、業界の事業内容や他業界との比較、業界特有の職種、そして業界に属する主要企業について解説します。

【事業内容】
商社は、多様な製品を取り扱う総合商社と、特定の分野に特化した専門商社に分かれており、主な事業は「流通」「投資」の2つです。

前者の「流通」とは、国内外のメーカーの製品を小売店に販売することによって仲介手数料を得る業務。
専門商社はこの流通業務を中心としており、総合商社もかつてはこちらがメインでした。
ところが1970年代に入ると、大手メーカーが流通業務を独自で行うようになり、各社に「冬の時代」が訪れました。

このため、近年は後者の「投資」を中心とする総合商社が増えています。
エネルギー資源やインフラ開発などへの事業投資を行い、配当金を得るのみならず、様々な分野でバリューチェーン（調達・製造・流通などの各段階で価値を付加する流れ）を構築しています。

【他業界との比較】
専門商社の業界規模が39兆4,645億円（平成24-25年）であるのに対し、総合商社の業界規模は72兆0,778億円（平成24-25年）と、約2倍にものぼります。
さらに総合商社の業界規模はあらゆる業界の中でトップを誇っており、2位の家電業界とは約12兆円もの差をつけています。

一方利益率を見てみると、製造業が15〜60％、小売業が20〜30％なのに対し、商社業界は1.5〜2.0％とかなり低くなっています。
「流通」事業の売上高には商品の販売額も含まれますが、商社が得る利益は仲介手数料のみであり、さらに「投資」事業によって得られる配当金などは、営業利益に含まれないといったことなどが低利益率の原因です。
特に総合商社は、業界規模の大きさによって低利益率をカバーする形になっています。

【業界特有の職種】
・法人向け新規開拓営業
・法人向けルート営業
・システムエンジニア
・物流・在庫管理

【主な企業】
・総合商社　　　三菱商事　伊藤忠商事　丸紅　三井物産　住友商事　豊田通商　双日
・専門商社　　　メタルワン　メディパルホールディングス　伊藤忠エネクス　三菱食品など

商社業界の魅力

商社業界で働くやりがいや魅力としては、主に以下の3つが挙げられます。

（1）事業規模が大きい
先ほどの項目で述べたように、商社の業界規模は圧倒的トップ。エネルギー事業やインフラ事業など、中には数億円単位で動くような事業もあり、社会や経済に大きな影響を与えることができます。

（2）グローバルに働くことができる
商社で働くようになると、海外赴任をする機会が非常に多くなります。このため、「海外で働きたい」というグローバル志向な学生にとっては、非常に刺激的な環境と言えます。

（3）年収が高い
冒頭にも記述しましたが、商社の平均年収は1000万円以上。日本人全体の平均年収が400〜500万円ということを考えると、非常に高いことが分かります。もちろんその分、繁忙期は激務になりやすいので、仕事を楽しめるかどうかが重要なポイントになるでしょう。

商社の業界規模は、2007年ごろまでは堅調に推移していましたが、2008〜2009年にかけて減少傾向となりました。

資源価格の高騰を背景として成長を続けてきた商社業界ですが、世界金融危機を契機として各国の経済が悪化。これにより資源価格は下落し、特に資源分野への依存が大きかった総合商社の成長が停滞しました。

こうした動向を受け、近年の総合商社は非資源分野に力を入れており、専門商社も含めて、業界全体として海外企業のM＆Aを積極的に進めています。
【具体例】三菱商事による世界3位のサケ洋食セルマック買収
　　　　　伊藤忠が中国のインターネット通販事業へ参入
　　　　　丸紅による米国3位の穀物商社ガビロン買収
　　　　　三井物産がブラジルの旅客鉄道事業へ参入

こうした各社の努力の結果、2010年以降はゆるやかにではありますが、業界規模を拡大させ、2008年時とほぼ同水準を取り戻しています。

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