エンターテイメント業界の「これだけは押さえておくべき」最低限の知識│就活研究記事
出版や映像、スポーツ、アニメーション、テレビ、ゲームなど、作品や商品、パフォーマンスを通して人々を楽しませるエンターテイメント業界。自分で企画したものがお客様に喜びを与えることができた時には、大きな達成感を感じるでしょう。
今回は、そんなエンターテイメント業界に興味を持つ就職活動中の皆さんに、同業界の歴史から、概要、市場規模、最近の動向のほか、気になる年収やエンターテイメント業界に向いている人物像などを紹介したいと思います。
蓄音機から定額音楽配信まで。音楽産業から見るエンターテイメント業界の歴史
はじめに、エンターテイメント業界の歴史について見ていきましょう。エンターテイメント業界の中でも、音楽配信サービスで盛り上がりを見せる音楽産業にスポットを当てます。
円盤型レコードによる機械式 蓄音器は1887年にドイツ系アメリカ人のエミール・ベルリナーが発明し、製造を開始しました。
実は1877年に発明家のトーマス・エジソンが錫箔円筒型蓄音器(フォノグラフ)を開発していましたが、音楽のコピーとソフトの大量生産にうまく適合せず、ベルリナーの蓄音器(グラモフォン)が世界的に普及していきます。
日本における蓄音器の国産第1号機は1910年。 1920年代にはラジオ放送が開始され、音楽も流されました。
第2次大戦後はテレビ放送の開始やステレオLPが登場。 1970年代になると、CD(コンパクト・ディスク)がソニーとフィリップスによって発明され、テレビの歌謡曲番組の全盛期に。
しかしその後はパソコンとインターネットの普及により、CDは1998年をピークにして急減しました。 2003年にアップルがiTunes(アイチューンズ)を開始し、iPod(アイポッド)が爆発的なヒットに。
CDシングル1000円対し、iTunesでは1曲100-150円と安く、利便性も高いので 音楽配信が急速に普及しています。もはや技術というより、 音楽流通のイノベーションであるとの見方も。
さらに 2010年代になると Spotify(スポティファイ)に代表される 定額音楽配信が始まり世界的に普及。アップルやアマゾンなども参入し、音楽は ストリーミングで聴く時代になりました。
世界的にライブでビジネスを展開するアーティストやレコード会社、プロモーション会社が急成長しているのもうなずけるでしょう。
エンターテイメント業界とは?楽しませることがその使命
エンターテインメント業界は、遊びやレジャー分野において幅広い業態を抱えています。
例えば、 スポーツ、映像(映画・アニメーション・テレビなど)、音楽(コンサート・カラオケなど)、演劇、演芸(落語・漫才・コント・声帯模写・腹話術など)、サーカス、ゲーム、遊園地、ギャンブル、おもちゃなど。
人を楽しませるのが目的となる業種で、その作品、商品、サービスなどを利用している人たちを実際のパフォーマンスなどで楽しませるほか、作品や舞台などを企画・演出する裏方で支える仕事や、広く知ってもらうための開発・企画・宣伝する仕事に携わります。
また、エンターテインメント業界の主な企業として、 ソニー・ミュージックエンタテインメント、ウォルト・ディズニー・ジャパン、日本テレビ放送網株式会社、集英社、エイベックス、東映、任天堂、松竹、オリエンタルランド、ドワンゴ、読売新聞グループなどが挙げられます。
ネットフリックスからeスポーツまで。エンターテイメント業界の動向
次にエンターテイメント業界の動向に注目してみます。
同業界の中でも常に話題を提供し続けているのが、動画配信世界最大手の Netflix(ネットフリックス)。今度は、日本国内のアニメ制作会社5社と包括提携してオリジナルアニメの制作体制を整えるなど、日本のアニメ産業で存在感を表し始めています。
Netflixは世界各地でオリジナルコンテンツの制作に力を入れ、作品ごとに制作会社と契約し配信する形式が一般的。
しかし、日本のアニメ会社とは包括的業務提携という形をとり、数年にわたり複数作品をネットフリックス向けに制作するのが条件となっています。
良い制作会社とクリエーターは希少資源なため、 魅力的な日本アニメを安定して配信できるようにするのが狙い。
また、エンターテイメント業界の中でも、着実に世の中に浸透しつつある、 eスポーツについて。eスポーツとは、エレクトロニック・スポーツの略で、コンピューターゲームやビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称です。
そんなeスポーツイベントにおけるスポンサーに変化が見られるようになっており、その注目度の高さがうかがえます。
最近は、ゲームとはあまり関係のない、カップヌードル(日清食品)や三井住友銀行(SMBC)、ロートZ!(ロート製薬)、グーグル、トヨタ自動車など大手や有名企業が名を連ねるようになってきています。
eスポーツの イベント自体に集客力がある上、 商品の認知が見込める拡散力があると見込んで協賛しているそう。
特にeスポーツは若者中心の文化であり、若者への訴求をする場としてはもってこいのイベントなのでしょう。
2017年の余暇市場は69兆9,310億円。前年比0.2%増のプラス成長
公益財団法人日本生産性本部余暇創研の「レジャー白書 2018」によると、「国内観光旅行」が 7 年連続で参加人口の首位に。全体的に参加人口が減少傾向にある中で、 「音楽鑑賞(配信、CD、レコード、テープ、FM など)」「カラオケ」「家庭でのテレビゲーム」など、エンターテインメント業界の種目が順位を上げ、参加人口を増やしています。
2017年の余暇市場は69兆9,310億円で、前年比0.2%増とわずかながらプラス成長に。
なかでも、エンターテイメント業界の 動画配信や電子出版、演劇が伸び、テレビゲームも回復しています。その一方で書籍、雑誌はマイナスとなりました。
■余暇市場の推移
出典: 公益財団法人日本生産性本部
クールジャパン戦略から見る、エンターテイメント業界の課題
現在、日本政府が国家戦略の1つとして掲げている「 クールジャパン戦略」。
これは、外国人が「クール」ととらえる日本固有の魅力(アニメやマンガ、ゲーム等のコンテンツ、ファッション、食、伝統文化、デザイン、ロボットなど)に関する情報を発信し、海外への商品・サービス展開に活かすことで、 日本の経済成長につなげるブランド戦略です。
しかしこの取り組みについて、 「世界の嗜好やその背景についての分析不足」「マーケットインが十分浸透していない」「各省庁の取組をチェックできていない」「共感を得るストーリー作りに必要な知識(日本の本質、日本らしさ)やその集積が不足」など、様々な課題が指摘されています。
これら課題を打破すべく、内閣府知的財産戦略推進事務局は関係者間の横の連携を強化するための仕組みを作り、中長期的には自走させることが必要と考えています。
また、多様な外国人有識者 と意見交換を実施し、「クールジャパンは100人いれば100通りある」 など、柔軟に試行錯誤することが重要という気付きもあったようです。
「クールジャパン戦略」という文字通り、クールな戦略になっていくことが期待されます。
エンターテイメント業界に向いているのは、こんな人
そんなドワンゴが求める人物像は、 「目標に向かって主体的に行動をすることが好き」「困難なことがあっても諦めず、粘り強くチャレンジできる」「周囲を巻き込みながら、前向きに目標達成を目指すことができる」という人。
動画サービス『ニコニコ動画』『ニコニコ生放送』のほか、出版大手である、KADOKAWAの完全子会社としても知られている企業ですが、どんな職種があるのでしょうか。
同社では、Webサービスやスマホアプリのサービス設計や機能設計を行う「サービス企画領域」をはじめ、公式番組や生放送コンテンツの企画/制作、ドワンゴが運営するアニメメディアやニュースメディアの企画運営「メディア領域」、自社メディアを活かしたプロモーション施策を考えるコンサルティングやコンテンツ権利者への交渉などを行う「ビジネス領域」での仕事に携わります。
そんなドワンゴが求める人物像は、 「目標に向かって主体的に行動をすることが好き」「困難なことがあっても諦めず、粘り強くチャレンジできる」「周囲を巻き込みながら、前向きに目標達成を目指すことができる」という人。
同社には年功序列がなく、自分が挑戦したいことに自ら手を上げ、やりたいことを実現する機会が与えられるといいますが、その理由は、 若年層がターゲットのサービスなら、同年代でその面白さを語れる情熱がある人が作り手を担った方が良いものができることを確信しているから。
新しいことをやるので失敗はつきものですが、新しい世界のエンターテイメントを実現させたい人という人は、それぐらいの気概で挑戦したいものです。
エンターテイメント業界年収ランキング。気になるトップはどの企業?
続いて、エンターテイメント業界の年収事情について見ていきましょう。
エンターテイメント業界の中でも、ゲームや玩具という業種でトップに立つのは、スクエア・エニックス・ホールディングスです。
平均年収は1,374万円とかなりの高収入です。2位以下も高水準と言えるでしょう。
■ゲーム・玩具業界年収ランキング
(出典:年収ラボ)
レジャー施設の業種でもトップは年収1,000万円を超えているほか、2位以下も高水準となっています。
■レジャー施設業界年収ランキング
(出典:年収ラボ)
映画・映像業界は、ゲーム・玩具、レジャー施設より少なめですが、トップ3がほぼ横並びとなっており、800万円前後の高収入が見込めるようです。
■映画・映像業界年収ランキング
(出典:年収ラボ)
エンターテイメント業界の中でも圧倒的な高収入を誇るのが、テレビ・放送業界です。社員一人当たりの売上高が多く、会社として財務力があることで、それだけの給料を支払えると言われています。
他にも、 不規則な勤務に対する手当がつくことも、高収入の理由として挙げられます。
■テレビ・放送業界年収ランキング
(出典:年収ラボ)
次に 出版ですが、業界全体の売上が20年間に渡り減少しているものの、テレビや新聞と並びマスコミの一角であることもあり、 比較的高収入な業界です。
ただし、週刊誌やマンガなどの編集部の仕事に携わる場合は、長時間の残業がつきものとなり、不規則な勤務を余儀なくされることもあります。
■出版業界年収ランキング
(出典:平均年収.jp)
最後に新聞業界ですが、新聞記者の年収について調査した「平均年収.jp」によると、大手新聞社5紙(朝日新聞・読売新聞・毎日新聞・産経新聞・日経新聞)における 新聞記者の平均年収は1,000万円以上。
これは記者という職種ではなく、勤務する企業の規模が大きい新聞社の年収が高いため、必然的に新聞記者の年収が高くなっているとのことです。
Vチューバー、チャット小説、めちゃコミ。最近よく聞く話題の言葉
続いて、最近のエンターテイメント業界における話題から、注目しておくべき名称を紹介します。
はじめに、「 Vチューバー(VTuber)」。You Tubeなどの動画配信サイトに動画を投稿して収入を得るユーチューバーの1つで、3DCG(3次元コンピューター・グラフィックス)などで創られた架空のキャラクター(アバター)を指しています。
アニメに出てくるキャラクターのようなルックスが親しみやすい印象に。
かわいい女性の姿をしたAI(人工知能)と称する「 キズナアイ」が、バーチャルYouTuberと自称したことが言葉の起源と言われています。
YouTubeのチャンネル登録者数は合計約400万人を突破。このほか人気のVTuberには、「輝夜月(カグヤルナ)」、「ミライアカリ」、「電脳少女シロ」などがいます。
■キズナアイ3歳の誕生日イベント「A.I. Party! 2019 〜 hello, how r u? 〜」
出典: Activ8
次に、LINEのようなチャット形式で電子書籍を読むことができるアプリ、「 チャット小説アプリ」です。日本発のチャット型小説アプリ「 DMM TELLER(ディーエムエム テラー)」を運営するピックアップ社によると、ダウンロード数は200万を突破(2018年1月現在)。
1つのストーリーが2分程度で読めるので、時間のない人や読書嫌いな人にもおすすめです。
■2分で読めるチャット型小説アプリ「DMM TELLER」
出典: ピックアップ
最後にコミックに関する話題です。アムタス社が提供する 国内最大級の電信コミック配信サービス、「めちゃコミック(めちゃコミ)」。
いつでもどこでもすぐ読めるスマートフォン・タブレット・携帯電話向けのサービスで、最新の人気作品から定番作品まで充実な品揃えが特徴です。さらに、無料立ち読みも豊富なので、気になった作品をすぐ試し読みできるのも良いですね。
■めちゃコミ 2019年5月・月間人気漫画ランキング1位の「キングダム」
出典: アムタス
また、テクノロジー企業のアル社が手がける マンガ発見サイト「アル」は、マンガファンがマンガを楽しむためのサービス。数万件以上のマンガのデータベースを元に、ファンがおすすめ作品を投稿することができます。
さらに、マンガ発見サイト「アル」では、一部のマンガのコマを投稿することができる機能をリリース。好きなマンガのコマを通じて、コミュニケーションをしたり、知らないマンガの発見に使ったりすることができます。
■マンガ発見アプリの「アル」、コマからマンガを探せる機能をリリース
出典: アル
次々とスタートアップを生む、元祖スタートアップ、チームラボ
出典: 森ビル
代表の猪子寿之氏を筆頭に、プログラマ、エンジニア、数学者、建築家、絵師、ウェブデザイナー、グラフィックデザイナー、CGアニメーター、編集者など、様々な分野の専門家から構成されているウルトラテクノロジスト集団、チームラボ。
最近は、2018年6月に開業した東京・お台場にある「森ビル デジタルアートミュージアム:エプソン チームラボ ボーダレス」が話題ですね。同ミュージアムの来場者数はオープン5カ月で100万人を突破。
日本人はもちろん、多くの外国人がミュージアムを目的に東京を訪問しており、早くも東京の新名所となっているほど。
このようにチームラボは、芸術的な表現を主体としたコンテンツ制作を得意とするスタートアップですが、その一方で、新事業を次々とスタートアップさせていく独特の組織運営になっているという他社にはない特徴を持っています。
そのため、エンターテイメント業界では、チームラボのコンテンツだけでなく、その事業戦略にも注目が集まっています。
エンターテインメント業界に興味があるなら必ずおさえておきたいインターン情報
出典: ・1910年 → 2014年=100年間の「音楽産業イノベーション」を俯瞰する | かの残響、清冽なり――本田美奈子.と日本のポピュラー音楽史 | ダイヤモンド・オンライン
出典: ・スポティファイ有料会員が1億人「アップルの2倍」達成の理由 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
出典: ・【保存版】エンターテイメント業界とは?概要・職種・魅力・動向まとめ
出典: ・ネットフリックス、アニメ界に一石 日本の5社と提携 :日本経済新聞
出典: ・レジャー白書2018
出典: ・クールジャパン戦略について
出典: ・siryou4.pdf
出典: ・ドワンゴ 新卒採用サイト|モノを創る コトを動かす
出典: ・新聞記者の年収【大手・地方紙】や年齢別・役職別・都道府県別年収推移|平均年収.jp
出典: ・キズナアイ、誕生日を迎え3歳に!新たな一歩を踏み出すチャレンジを見せた「A.I.Party! 2019 〜hello, how r u?〜」|Activ8株式会社のプレスリリース
出典: ・めちゃコミック(めちゃコミ)が2019年5月の「月間人気漫画ランキング」を発表|株式会社アムタスのプレスリリース
出典: ・マンガ発見アプリの「アル」、コマからマンガを探せる機能をリリース|アル株式会社のプレスリリース
出典: ・有名企業がeスポーツに協賛しはじめたワケ | ゲーム・エンタメ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
出典: ・チームラボ / teamLab
出典: ・Sony Music™ Internship 2019
出典: ・インターンシップ【専門職(技術)】 | イベント | オリエンタルランド新卒採用
内容については細心の注意を払っておりますが、ご利用に際しては、閲覧者各人の責任のもとにこれをご活用いただけますようお願い申し上げます。
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