金融業界の「これだけは押さえておくべき」最低限の知識│就活研究記事
給料や社会的ステイタスの高さなどから就活生に人気の高い金融業界。最近は、革新的な金融サービスに大規模な投資が行われていることもあり、情報・インターネットサービスに関心を持つ就活生も注目している業界です。
今回は、そんな金融業界に興味を持つ就職活動中の皆さんに、金融業界の歴史から、概要、市場規模、最近の動向のほか、気になる年収や金融業界に向いている人物像などを紹介していきたいと思います。
歴史の中で常に社会と経済を支え続ける金融業界
金融業の起源は明確ではありませんが、「Bank」という言葉が中世イタリアの市場で使われていた商人の取引台である「banco(バンコ)」に由来していることから、銀行業が本格的になったのはそのあたりの時代とされています。
一方、日本における銀行業は西欧諸国が確立した近代的な銀行や金融システムを、安政の開国時から取り入れ始めたのがその起源。以来、金融業は日本の社会と経済を支え続け、今後も変わることはないでしょう。ただし、変わることがあるとすれば、金融業を牽引する顔ぶれです。
「護送船団方式」と呼ばれ、旧大蔵省の保護・監督のもとで銀行は秩序ある業界構造のもとですみ分けし、安定した収益を上げてきました。しかし、1990年代後半からの金融ビッグバン後は業界再編が進み、十数行あった都市銀行はいまやメガバンク3行とりそな銀行に集約。地域金融機関の合併や持ち株会社化も進んでいるのが現状です。
加えて近年は、他の業界から新しい金融サービスを提供する新規参入者が続々と登場。スマートフォンなどを使った送金などの金融サービスを行うFinTech(フィンテック:FinanceとTechnologyを組み合わせた造語)は、その代表格と言えるでしょう。
今後、日本の金融業界は、これまでにない新しいサービスや従来とは異なるビジネスモデルをどう構築するかが問われていると言えます。
金融業界とは?各金融機関のビジネスモデルと主な企業
金融業界には、銀行・証券会社・保険会社・損保会社・クレジットカード会社・消費者金融会社などがあり、これらを総称として金融機関と呼んでいます。それぞれの金融機関の特徴や仕組みについて見ていきましょう。
まずはじめに、最も私達にとって身近な金融機関として挙げられるのが銀行です。銀行は預金として顧客のお金を預かり、見返りとして利息を払います。そして、預金の大部分を融資として企業や個人に貸し出すことで利息を徴収。この間で発生する、「貸出利息-預金利息」が利ザヤであり銀行の収益の柱となっています。
おもな銀行:三菱UFJフィナンシャルグループ・三井住友フィナンシャルグループ・みずほフィナンシャルグループ・などの普通銀行のほか、ゆうちょ銀行や店舗を持たないインターネット専業銀行として、楽天銀行や住信SBIネット銀行など
証券会社は、顧客に株式や金融商品を売買させてフローの手数料を稼ぐ「ブローカー業務」が収益の大きな柱ですが、近年は、顧客の預かり資産額を増やし、資産残高に応じた手数料で稼ぐストック型の「資産管理業務」へ軸足をシフトさせています。
主な証券会社:野村證券・大和証券・みずほ証券・SMBC日興証券・SMBC三菱UFJモルガン・スタンレー証券のほか、インターネット専業の証券会社として楽天証券やSBI証券会社など
続いて保険会社ですが、顧客から受け取る保険料を株式や債券で運用し、そこで得られる利益を主な収益源としています。保険会社には、生命保険会社と損害保険会社があります。
主な生命保険会社:日本生命・第一生命・明治安田生命・住友生命・プルデンシャル生命・メットライフ生命・アクサダイレクト生命などのほか、保険外交員をなくした直販のネット生保として、ライフネット生命など
主な損害保険会社:損保ジャパン日本興亜・東京海上日動火災・三井住友海上火災・あいおいニッセイ同和損保など
次にクレジットカード会社です。クレジットカードのビジネスモデルは会員、加盟店、クレジットカード会社のCredit(信用)に基づき成り立っています。カード会社としては、会員の年会費や分割払い・リボ払いの手数料、キャッシング金利、そして加盟店からの手数料が収益の基盤となっています。
主なクレジットカード会社:JCB・三井住友カード・三菱UFJニコス・クレディセゾン・イオンフィナンシャルサービス・セディナ・オリエントコーポレーション・ジャックス・楽天カードなど
最後に消費者金融会社。消費者金融は利益率の高いビジネスモデルを構築していますが、利益を生み出すには、利益を生む基盤として残高のベースをつくらなければならないビジネスでもあり、「ストックビジネス」とも呼ばれています。
主な消費者金融会社:プロミス・アコム・アイフルなど
IT系企業による金融進出と、金融各社のフィンテック分野進出
昨今はFintechに対する関心の高さから、AI(人工知能)やブロックチェーン(分散型台帳技術)といった各技術の発展動向、テクノロジーを強みとする大手企業 “GAFA”(Google, Apple, Facebook, Amazon)による金融サービスへの参入動向などに注目が集まっています。
今後、GAFAに代表されるテクノロジー企業は積極的に銀行業への進出を図る一方、既存金融機関はそのビジネスモデルを変革させ、テクノロジー企業へと近づいていくとの予測も。
このような状況のなか、インターネット上で通貨のように使用できるビットコイン(仮想通貨)を手がけるなどの試みが、資金力のあるメガバンクを中心に進められています。
その一例が、三菱UFJが開発を進めているブロックチェーン技術を活用したデジタル通貨「coin(コイン)」。この実用化が2019年後半となる見通しで、邦銀初の仮想通貨発行に大きな期待が寄せられています。
また、三井住友銀行は定型業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用を推進。社外から専門家150人を集めた推進組織を新設し、本格導入から1年間で110万時間以上のパソコン作業をなくす効果を得たといいます。今後も他金融機関で追従が続くと見られています。
2021年度の国内FinTech市場規模は1兆8,590億円に
矢野経済研究所によると、2017年度の国内FinTech市場規模は前年度比12.5%増の1兆184億円。現在、FinTechが盛り上がりを見せるなか、法律的・技術的・物理的環境の整備が進んでいるといいます。
同研究所では、官民一体となった支援体制の積極的な活用により、2021年度の国内FinTech市場規模は1兆8,590億円に達すると予測しています。
■FinTech系ベンチャー企業の国内市場規模推移予測
(出典: 矢野経済)
金融業界の働き方改革に一石を投じた、テレワークの導入
働き方改革が日本の社会や企業において大きなテーマとなっているなか、金融機関でも働き方改革を掲げた取り組みが進められています。しかし、金融業界では情報漏洩や個人情報などの紛失のリスクがあり、万が一、このような状況に至った場合、金融庁に届け出る義務があります。
このような状況下でテレワークを導入し、今までの常識を打ち破ったのが、あおぞら銀行や三井住友海上火災です。例えば、あおぞら銀行でテレワークを導入できたのは2つのポイントがあります。
1つは社長をはじめ経営陣の同意が得られたこと、もう1つはIT担当者・法務担当者と情報漏洩やウイルス感染のリスクについて話し合い、お墨付きを得られたこと。
最大の問題であるセキュリティ関連では、銀行貸与のモバイルPCを利用するか、自宅PCから業務ツールへのアクセスにワンタイムパスワードを設けることで解消。
利用者からは、「業務に集中できる」「通勤時間が無くなった分、時間を有効活用できる」などのメリットがあがっているといいます。
このような金融2社が情報漏洩のリスクを超えて、生産性の向上や社員全体の働きがいを選択し、テレワークを導入した意義は大きいと言えるでしょう。
金融業界の主な職種。向いているのはこんな人
続いて、金融業界特有の職種や仕事内容を見ていきます。
顧客対応の職種としては、金融商品を個人に向けに販売する個人営業、企業向けに金融商品を提案したり、資金の借り入れを勧める法人営業のほか、顧客に対して資金計画や資産運用などのアドバイスをするファイナンシャルプランナー、富裕層の顧客に対し、資産運用や事業承継、相続のアドバイスやコンサルティングを行うプライベートバンカーなどがあります。
また資金の運用に関わる職種として、顧客から預かった資金を運用して利益を上げるファンドマネージャー、個別企業の将来性や社会の動向などを分析し、株価の推移を予測する証券アナリスト、世界・日本経済の動向を調査し、今後の展望を提供するエコノミストなどがあります。
さらに、ビジネスにおける将来のリスクや不確実性の分析、評価等を専門とするアクチュアリーという職種もあります。「保険数理士」「保険数理人」などと訳され、新たな保険商品の企画に携わることも。
デジタル化の進展により、金融業界を取り巻く環境が劇的に変化するなか、各金融機関は未来に向けた挑戦と変革のさなかにあります。時代の潮流をとらえた、まったく新しい金融ビジネス・サービスの創造に取り組んで行く必要にせまられているのです。
この様な状況下で欠かせないのが、これまでにない発想と方法で、新たなソリューションを創造していける人材です。加えて、変化を先取りすることができ、不確かな道でも、未来への一歩を踏み出していけるチャレンジ精神が旺盛であることも重要なポイントになりそうです。
金融業界年収ランキング、トップはマーキュリアインベストメント
続いて、気になる金融業界の年収を企業別ランキングで見ていきましょう。
■金融業界平均年収ランキング
(出典: プレジデントオンライン)
プレジデントオンラインが全上場企業の「平均年収ランキング(2018年版)」のうち金融業界175社のデータを集計。結果、2位以下に約400万円の差をつけ、マーキュリアインベストメントが平均年収1823万円で圧倒的1位に。
続く2位から4位は各グループを統括する持株会社が占めており、2位は野村HDで平均年収は1455.2万円。3位は東京海上HDで平均年収は1390.1万円。4位は三井住友トラスト・HDで1378.6万円となっています。
4位以下には、上位常連である証券や保険、三井住友フィナンシャルグループなどの大手銀行に加え、再編・統合で誕生している地方銀行として、九州フィナンシャルグループも名前を連ねています。
大手金融グループの給与水準は高く、安定的な傾向にあることがわかります。
金融業界を志望するなら知っておきたい金融用語
続いて金融業界で使われているFinTechやIT用語を7つ、紹介していきます。同業界で使われている専門的な言葉はほとんどが英語か、それを略したもので、英語が得意な人はなじみやすそうな言葉と言えるでしょう。
・PFM
Personal Financial Managementの略称。「個人財務管理」または「個人金融管理」と呼称され、お金の管理を手助けするソフトウェアの総称。一般的にはID連携(アカウントアグリゲーション)機能を用いて複数の銀行・証券やクレジットカードなどの口座情報を一元的に確認できるオンラインサービスを示しています。
・オープンAPI
Application Programming Interfaceの略称。銀行と外部の事業者との間の安全なデータ連携を可能にする取り組み。金融機関がシステムへの接続仕様を外部の事業者に公開し、あらかじめ契約を結んだ外部事業者のアクセスを認めることで、金融機関以外の事業者が金融機関と連携し、利便性の高い高度な金融サービスを展開しやすくしています。
・モバイル決済
スマートフォンなどのモバイル端末を用いた電子決済サービスの総称。専用アプリにクレジットカードやプリペイドカードの情報を登録し、NFCによる非接触の無線通信で決済を行う方式のほか、QRコード決済方式、クレジットカード読み取り機をスマートフォンに接続し、決済端末として利用する方式などがあります。
・ブロックチェーン
仮想通貨「ビットコイン」の基幹技術として発明された概念で、インターネットなどオープンなネットワーク上で、高い信頼性が求められる金融取引や重要データのやりとりなどを可能にした分散台帳を実現する技術。
・トランザクションレンディング
インターネット取引を与信とした融資。決済サービスを利用し始めてから常に売り上げデータが蓄積されているため、審査機関は短くなり、通常銀行融資などで必要な決算書を提出する必要がありません。
・AIスコアレンディング
信用力のスコア化において従来重視された情報に加え、必ずしも重視されなかった顧客の情報を活用することで、スコアの精緻化を目指しています。AIを用いることで、従来では融資できなかった低与信層に融資可能となったり、各種業務が効率化され、より明快かつリーズナブルな貸出条件が提示されるようになります。
・モアタイムシステム
全銀システムを運営している一般社団法人全国銀行資金決済ネットワークが、全銀システムの「現行の稼動時間帯」以外の時間帯をカバーするために本体システムとは別に構築した新たなサブシステム。これにより「平日夕方~朝」と「土日祝日」の他行宛振込のリアルタイム着金を可能とし、24時間365日の即時振込のサービスが可能に。
キャッシュレスから仮想通貨まで。金融業界スタートアップ動向
スマートフォンの普及に伴い、加盟店が決済システムを低コストで導入できる新しいキャッシュレス決済として、QRコード決済が広がり始めています。LINE Pay、楽天ペイ、PAY ID、pring(プリン)、d払い、PayPayなど、多くのサービス事業者がQRコード決済サービスをスタートさせ、利用者と加盟店の獲得に乗り出しています。
そんなキャッシュレス市場におけるスタートアップで、スマホ決済アプリ「Origami」などを提供しているのが、Origami。地域活性化や生産性向上を図るなど、経団連が提案する「Society 5.0 for SDGs」(超スマート社会と持続可能な開発目標)の実現を推進しています。
■キャッシュレスを実現するモバイルにおける金融プラットフォームを提供する、Origami
(出典: Origami)
また、他の金融業界スタートアップとしては、投資系のFOLIO(フォリオ)が挙げられます。初心者でもかんたんに始めることのできる投資サービスを提供。
好きなテーマを選ぶ『テーマ投資』と、ロボアドバイザーが最適なプランを提案&運用してくれる『おまかせ投資』があり、どちらも少額から資産運用を気軽に始められるとのことで支持を得ています。
さらに、仮想通貨系のスタートアップでは、仮想通貨交換業者のbitFlyer(ビットフライヤー)が運営する仮想通貨取引所サービスbitFlyerが有名。日本ブロックチェーン協会の主幹企業として、日本ブロックチェーン協会の設立を主導する存在にまで成長しています。
金融業界に興味があるなら必ずおさえておきたいインターン情報
最後に、金融業界に興味がある人必見のインターンシップ情報です。今回は、就活生に人気の三菱UFJ銀行、日本生命保険、野村證券、
変わりつつある日本の金融業界・・・今後の課題と展望 | 富裕層向け資産防衛メディア | 幻冬舎ゴールドオンライン
歴史に学ぶ銀行の在りかた── 全国銀行協会「金融」 (2004年 1月号) への中原眞審議委員寄稿 : 日本銀行 Bank of Japan
銀行 – Wikipedi
保険 - Wikipedia
証券会社 - Wikipedia
「消費者金融サービスのあるべき姿」
「2018年のFintechトレンド予測」~銀行業へ進出するテクノロジー企業、テクノロジー企業へと変貌する銀行~ : 富士通総研
MUFGにおけるブロックチェーンの取組み
三井住友銀のRPA大作戦、110万時間捻出する成果 :日本経済新聞
国内FinTech(フィンテック)市場に関する調査を実施(2018年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所
三菱UFJ銀行 | Recruiting Information
金融業界の常識「テレワーク導入は困難」をあおぞら銀と三井住友海上はなぜ打ち破れたのか - エキサイトニュース
金融業界175社「平均年収ランキング」 | プレジデントオンライン
金融機関におけるPFM(Personal Financial Management)の活用|2014年8月号|金融ITフォーカス|刊行物|NRI Financial Solutions
オープンAPIって何? | G.金融経済を学ぶ | 一般社団法人 全国銀行協会/u>
ブロックチェーンとは|NTTデータ
GMO-PG『トランザクションレンディング融資サービス』を解説 | EXPACT
AIスコア・レンディング - Wikipedia
9日から24時間365日「即時振込」のサービスが開始、それを可能にしたモアタイムシステムとは(久保田博幸) - 個人 - Yahoo!ニュース
Origami、一般社団法人 日本経済団体連合会(経団連)へ加盟|Origamiのプレスリリース
FOLIO(フォリオ)|テーマ投資とおまかせ投資。あなたにぴったりの投資サービスを提供します。
仮想通貨ビットコイン(Bitcoin)の購入/販売所/取引所【bitFlyer(ビットフライヤー)】
キャッシュレス決済のビジネスモデル | InfoComニューズレター
三菱UFJ銀行 インターンシップサイト
日本生命保険相互会社∥新卒採用ホームページ
インターンシップ | 野村證券 2020年度新卒採用ホームページ
インターンシップ | 三井住友信託銀行 新卒採用情報
JCB インターンシップ|JCB INTERN INFORMATION
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